ファイトカード

高田総統劇場

「下々の諸君、我々モンスター軍の怖さを思い知ったか?」
 川田の勝利を受けて、高田総統が登場した。しかも、今回はいつものバルコニーではなく、リング上への登場である。場内は一斉に「そーとー、そーとー」の大合唱。
「おい、正直嬉しいよ」とご機嫌の総統。「今日は気持ちよく喋らせてもらうぞ」と言ったまではよかったが、場内を一瞥すると「ちょっと待てよ。今日は休日の真昼間だぞ? キミたちは何をやっているんだ! しかもだ、世間はクリスマスだ。にも関わらずやはり暇でもてない諸君でいっぱいだな!」と呆れ顔。
「しかしだ…」と話題を変えようとしたところで、会場のあちこちから反発の声が。総統は「ちょっと野次が多いぞ、お前ら! リズムが崩れる!」と一喝。すると再び沸き起こる「そーとー、そーとー」のコール。これには総統も「おい、今日は気持ちいいよ」とご機嫌を直した。「続けて喋らせてくれ! 頼む!」と珍しい低姿勢も。
「しかしだ、世の中の流れに惑わされず、自分の気持ちに正直に行動するしみったれた下々の諸君。来年は必ず幸福が訪れるだろうよ」と、褒めているのか馬鹿にしているのか分からない総統。
「そんな事はどーでもいいんだけどよ」と、やはりどうでも良かった事を明かし、「我こそは高田モンスター軍総統、高田だ!」とご挨拶。三度爆発する「そーとー」コールに、すっかり気を良くした総統は「おい、GM。あと1時間喋らせてくれ」と要求した。
「モンスターKよ、今年1年の締め括りにふさわしい、見事な勝ちっぷりだったぞ。来年はこの私が創造する新たなハッスルへ向けて、最も大事な1年だ」と川田の労をねぎらう。
 川田は「来年はあのにわか人気で調子に乗ってる、腰振り野郎を俺が潰しますよ」とHGの抹殺を予告! それを聞いた総統は「大いにやりたまえ!」と頼もしい右腕に満足そう。
「ところでだ。昨日、確かハッスル軍の連中がサインボール投げをやったよな。いささかモンスター軍らしくないが、今日はクリスマス。特別だ、やってやろうじゃないか。やりたまえ」と、負けず嫌いの総統は昨日のハッスル軍に対抗してサインボール投げを行った。
 突然の出来事に、大喜びでサインボール投げに夢中となる観客。そこへ総統の一言、「おい、たかがサインボールに卑しいやつらだ。がっつくな」とグサリ。
「さて、本題だ。今年1年、我々モンスター軍の最前線で闘ってきたインリンよ、出てきたまえ」と総統がインリン様を呼び出す。いよいよ、今日の主役の登場だ。
 全身黒ずくめ、大胆な胸開きとショートパンツでセクシーではあるが、顔を覆う黒いレースのベールがまるでお葬式のようで意味深なインリン様。
 総統が「インリンよ、ハッスル・マニアで受けた傷はもういいのか?」と聞くと、「はい、総統。再生してくださったおかげで、すっかり癒えました」と答えるインリン様。どうやら完全復活をしたようだ。
 ところが、「それはなによりだ。ならば、来年も我がモンスター軍のために、これまで以上に力を尽くしてくれるな?」との総統の言葉に、インリン様から信じられないお言葉が…。
「総統。この1年、私は全知全能なるあなた様の右腕として、精一杯闘いました。でも、どうやら限界が来たようです。もう、この私がこの世界で使えるM字パワーは底をついてしまいました。そうなってしまえば、私はただの女。総統の傍にはいられません。ですから、今日をもって私は……モンスター軍を去ります」
 一斉に木霊する「えーっ!」という声。まさかのインリン様のさよなら発言である。
「そうか! それがお前の選択なら、私は引き止めない。インリンよ、本当にこれまでよくやってくれたな。ありがとう」と高田総統もインリン様の気持ちを理解し、申し出を受け止めた。
「総統、ご理解感謝します。モンスターK、私に代わってモンスター軍をよろしく頼んだわ。島田、アン! 今までいろいろとありがとう」と別れの言葉を告げるインリン様。島田二等兵もアン・ジョー司令長官も、涙が堪えきれない。
「総統、最後に残ったM字パワーを振り絞って、“ラストM字ビターン”をやらせていただいてよろしいでしょうか?」というインリン様であった。高田総統も「インリンよ、まさかアレをやるつもりなのか? よかろう、やりたまえ」と、最後を見届ける。
 特製お立ち台に立ったインリン様は、「暇でもてないプロレスファンの諸君。高田モンスター軍は永久に不滅よ! ラストM字ビターンよ! 行くわよ!」と、神々しいまでに美しいM字ビターンを決めた。いつもよりも長く、お立ち台は回るのであった。観客の中には、涙で見えなかった人もいるに違いない。
 たっぷりとM字ビターンを見せ付けたインリン様が、お立ち台から立ち上がると、なぜかそこには「M」の字が書かれた光り輝く卵が! インリン様はその卵をそっと拾い上げ、高田総統に手渡した。
「まだ温かいじゃないか。インリンよ、お前は我がモンスター軍に祝福をもたらした。何も思い残す事はなく、旅立ちたまえ。そして、下々の諸君、バッドラック!」と高田総統。
 インリン様は、まるであの伝説の山口百恵引退コンサートで、山口百恵が白いマイクを置いて去ったように、自分の分身である鞭をロープに引っ掛けて去っていった。バックミュージックは、もちろん山口百恵のラストソング『さよならの向こう側』である。
 あの大きな卵は何なのか? そして、3年目を迎えるハッスルの今後の展開は? ハッスルはさらにパワーアップして、来年も命がけで突き進む!
 そして、さようならインリン様。ありがとう、インリン様!

メインインリン

6分00秒 パワーボム→エビ固め

 モンスター軍に寝返った川田の心を取り戻そうと、立ち上がった石狩。今夜は自ら対戦を直訴しての一騎打ちである。石狩にとって「メリークリスマス」になるのか、それとも「ベリー苦しみます」になるのか? 愛憎師弟対決のゴングが鳴る。

閉じる テーマ曲が鳴り響いているのに、なぜか石狩が登場しない。曲は変わって川田の入場テーマ曲となり、川田が先にリングインした。しかし、待てど暮らせど石狩は姿を現さない。まさか、あれだけの大口を叩いておきながら、敵前逃亡か?
 と思いきや、厚着に身を包み、マスクをつけて風邪をこじらせた石狩がやっと入ってきた。「ごほっごほっ」と咳き込む。
「すいません、この川田の野郎を叩き潰してやろうと思ったんですけど、昨日の夜、山篭りの疲れが出てこのとおり風邪をひき、ドクターストップがかかってしまいました。次こそは川田と戦いますんで」と石狩。場内からはまさかの出来事に、大ブーイングである。
「お詫びと言ってはなんですが、みなさん、ハッスルIのTシャツのプレゼントをもってきました」と、紙袋からTシャツを取り出し、客席に投げようという石狩。これにはさすがの川田もバカ負けして、油断してしまう。
 その時! 石狩はなんと紙袋からネットを取り出して川田に被せ、ストンピングの雨あられ。ミサイルキックまで浴びせるという姑息な手段で奇襲攻撃をかけたのである。石狩はカウントに入るが、あっさりと返され、ついにはネットを川田に取られてしまった。すかさず逃げる石狩。
「ちょっと待って」と、石狩はジャージ姿に。リングに上がって川田にヒジを見舞うが、川田はビクともしない。それどころか、川田の蹴り一発でダウンする。顔面を蹴られ、ジャージをめくった背中に平手打ちを見舞われ、チョップをくらう石狩。川田はジャージを脱がせ、バチンと胸に平手打ちの一撃だ。
 石狩は果敢にヒジを見舞っていくも、蹴りをもらって悶絶。川田は容赦なく顔面を踏み付け、蹴る。完全にダウンした石狩を見下ろす川田。石狩はなおもエルボーを見舞うが、川田は「こい、おりゃー」と胸を突き出して挑発。石狩はロープに飛んでのエルボー、さらにもう一発というところでビッグブーツをもらってダウン。コーナーに叩きつけられ、さらにビッグブーツで顔面を打ち抜かれる。
 石狩はヒジで猛攻を加えるが、どうしてもダウンを奪う事が出来ない。それならばとロープに飛んで、今度はビッグブーツをかわし、意表を突いてエビに丸め込むもカウントは2。
 再びエルボー、平手打ちを必死に放つ石狩。「こいっ!」と挑発する川田。攻める石狩だったが、ビッグブーツで逆襲され、ラリアットであわやのカウント2・9。川田は石狩を持ち上げ、滞空時間をたっぷりととり、空中で回転を加えてのパワーボム! 石狩は為す術なく3カウントを奪われた。
 完全に失神した石狩は、無残にも担架で運ばれていった。


セミインリン

2分00秒 飛び付き式回転エビ固め

 緻密な策略(?)によって草間前GMからGMの座を奪い取ったゲイシャガール浩子。昨日は野望の第一歩となる記念すべき日だったのに、夫の健想が不覚をとり秒殺という失態を犯してしまった。ハッスル・マドンナこと青木裕子にも噛みつき、新GMとして傍若無人な振る舞いを続ける浩子。今夜はどんな暴走ぶりを発揮するのか? そして、健想に明るい未来は見えるのか?

閉じる 自称・世界の浩子&鈴木健想が登場。先にリングインした浩子夫人はマイクを握り、「メリークリスマス!私が新GMとなった鈴木浩子でございます」とまずはあいさつ。それでは飽きたらず、昨日と同様に浩子夫人は解説席に座っていた青木裕子に食って掛かる。

「おいっ!そこのグラビア崩れ!」青木は立ち上がり、ぶすっとした表情を見せた。口撃が物足りない浩子は、なおも続ける。「あなた歌を歌ってるらしいじゃない?ここにいる会場の誰も知らないわよ。歌も、グラビアも、解説もぜ〜んぶ中途半端。そこはアンタが座る席じゃない!」これを聞いた青木は泣いてしまった。

「泣くな!あたしがGMよ。あんたみたいな中途半端の処分先は考えてますから」と浩子夫人は青木に対しプレッシャーを与え、「来年のハッスルのエースになるのは鈴木健想ですから」と愛する夫のアピールも忘れない。しかし、昨日の苦い敗戦を思い出した浩子夫人はいきなり夫に対し、説教モード。「(今日の相手が)ヒーローと言っても、昨日みたいなのは寒いよ。真のスーパーヒーローは鈴木健想だと証明して下さい!」と浩子夫人は夫に喝を入れたのだった。

「ちょっと待った〜。健想、浩子、おまえたちの好きにはさせないぜ」ここでホール全体を包んだのは正義のヒーロー、ライオセイザーとライザーグレンの声だった。リングインするとポーズを決め、観客のハートをがっちり掴んだ二大ヒーロー。“主役は渡さない”とばかりに、ヒーローの間に割って入った健想は観客に向かって「僕はスーパースターです!鈴木健想健在!今日は楽勝だぞ〜」と余裕ぶる。    

 ここで油断している健想に向けて、ライオセイザーとライザーグレンはダブルでミサイルキックを発射。立て続けに二大ヒーローは合体のスライディングキック&ニールキックを健想にお見舞いし、二人で押さえつけるようにカバー。昨日の秒殺された健想の姿が脳裏を横切ったのか、観客からは「え〜っ」の声。健想はカウント2、9で返す。

 怒りに満ちた健想は、二大ヒーローの首を同時に捕まえるとチョークスラムで高々と持ち上げ、マットに叩きつけた!健想はカウントにいくも、返されてしまう。ならばと、健想はライザーグレンにブレーンバスター。カウントを取りにいく健想だが、ライオセイザーが絶妙なカット!するとここで「ヒーローなのに卑怯だぞ!」と観客から、これまた絶妙な突っ込み。

 健想はハンデを物ともせず、ライオセイザーに強烈なラリアットをぶちかまし、力が有り余っていることをアピール。そしてライザーグレンにスピアーを放ち、再びカウントにいく健想だが、ライオセイザーにカットされてしまう。

 二大ヒーローを軽くあしらう健想はまたも勝ちをアピールし、マッスルポーズ。「負けないぞ!」と場外にいるライザーグレンに対し、健想が気を取られてる隙に、ライオセイザーに千載一遇のチャンスが訪れる!飛び付き式回転エビ固めであっさり健想から3カウントを奪い、ライオセイザーが勝ち名乗りを受けた。

「ちょっと〜しっぱい、しょっぱい、しょっぱい」と浩子夫人は、負けてだらしない夫に対し、しょっぱいを連発。何とここで健想が浩子夫人に張り手を一発!「オレだって一生懸命やってんだ!」と健想が一喝すると、「逆ギレ?」と浩子夫人は猛反撃だ。

「狂言師、昨日、そしてあんな子供だましに負けて逆ギレ?」と連敗から抜けられない夫に対し、怒り狂う浩子夫人。それに対し、「わかった!お前がいるから負けるんだよ!」と言い捨てて、健想は退場した。

 リング上に残された浩子夫人は「私がGMになってハッスルの抜本的構造改革をします。改革なくして成長なし。それに伴い、健想は必ずパーフェクトなレスラーになって、私と一緒に戻ってまいります」と観客に告げ、リングを去った。


江頭2:50登場

モンスター軍の矛先はリング上に取り残された、大谷へと向かった。「我々、高田モンスター軍から、あちちに元気になるプレゼントを用意した」と島田二等兵。「ハハハハッ、ユーのために最高のスリルを味わわせてやりマース」とアン・ジョー司令長官。ハッスルあちちもビビる、クリスマスプレゼントとは…。
 その時、なんと客席後方から本物の江頭2:50が登場! 観客席に飛び込み、大暴れしてリングイン。リング上で惜しげもなく少ない持ちネタを披露する。大谷は頭を抱えてしまった。
「ハッスルあちち、お前にひとこと物申す!」と江頭。「お前は江頭に似ているって言われて怒ってるけど、俺は最高!」と喜び、嫌がる大谷と肩を組み、「そっくりだぜ!」とご満悦だ。「似てるぜ、特にこの禿げ方」と、大谷の頭を撫でる江頭は、「あちち、お前は今日から“あちち2:50”だ!」と勝手に命名し、「あちちにステキなプレゼントを持ってきたぞ」とお揃いの黒ロングタイツを取り出した。
 すでに試合よりも大きなダメージを負ってしまった大谷に、追い討ちをかけるように場内からは「着ろ」コールが沸き起こる。
 見かねた中村カントクが、「あちち、江頭の相手なんかしてないで帰ろう」と、そっと肩に手を掛けるが、残念ながらそれは大谷ではなく江頭の方だった。
「カントク、あまりにもわざとらしいよ!」さすがにそれはないだろう、と大谷。
 江頭が「最後にあれをやらせてくれ!」と頼み込むと、大谷は「似てるか、そんなに? 似てる?」と観客に問いかける。当然、客席からは「そっくりー」との声が飛んだ。すると大谷、「なんか楽しくなってきたな。一緒にやっちゃうか」とまんざらでもない様子。すっかり江頭に洗脳されてしまったようだ。
 そこで江頭は「あれ」を披露した。「あれ」とは、江頭の持ちネタである「スリーツーワン、がっぺ、ムカつく!」である。「がっぺ」でわき毛に手をやり、「ムカつく」でむしったわき毛を投げる大技だ。
 それを見て逃げようとした大谷だったが、「レスラーがお笑いにきてもいいんだぞ」と江頭に説得され、ついに一緒にやってしまった。
 こうして江頭は、あちちに最高のスリルを味わわせ、走り去っていった…。


第3インリン

9分55秒 飛び付きエビ固め

 今日のパートナーはXと発表されているErica&マーガレットだが、誰をパートナーにするか決めかねている様子。「せっかくのクリスマスなんだから、パッと華やかな人がよくない?」と相談中である。
 そこで二人の眼に入ったのは、頭部から神々しいまでの光を放つ大谷の姿であった。
「江頭さ〜ん、ちょっとお願いがあるんですけど」と近寄るEricaたちだったが、大谷は「タッグならごめんだぞ」と断固拒否。
 しかし、「今日はクリスマスだから、パッと明るく華やかな人をパートナーにしたいの。大谷さんはハッスルの中で一番輝いている人じゃないですか」と言われると、本当の意味が分からず、まんざらでもない大谷は「そうかな? 組みたいのなら組んでやってもいいぞ」とタッグをOKしてしまった。
「一番輝いてる人か〜」と満足そうに笑う大谷。かわいそう…。
 一方、こちらはモンスター軍の司令室。ジャガーYが競馬新聞を熱心に読んでいる。その手には札束だ。
「ジャガーさん、どうしたんですか、その大金?」とドクロンZが問いかけると、「レース前、馬に当たり馬券を聞いてきたニャー」と、動物と会話する事が出来る能力を持っていたジャガーは得意気だ。「有馬記念も絶対当てるニャー」と張り切る。
 さらに画面が切り替わり、ハッスルのスタッフたちがコソコソと噂話。「ねぇねぇ、知ってる? ジャガーさんって馬と喋れるから競馬で大金を当てたらしいよ」。すると、その背後から現れたのは安田!
「ジャガーの控え室はどこだ! 携帯の番号を教えろ!」と詰め寄った。
 モンスター軍の司令室では、ドクロンがジャガーに問いかける。「今夜のパートナーはどうしますか?」「そうだニャー…」。その時、ジャガーの携帯が鳴った。
「おい! これジャガーの携帯か? 俺、安田だよ」電話の主はやはり安田であった。「有馬の結果、教えてくれよ! 頼むよ!」と詰め寄る。ジャガーは「これは使える」とほくそ笑み、「知りたいか? なら取引ニャー。タッグを組むなら教えてやる」と交換条件を掲示したのだ。
 一瞬、戸惑った安田だったが、「待ってくれ! タッグでも何でも組むから有馬を教えてくれ」と、あっさりと取引成立。

閉じる Erica&マーガレットの恥ずかしいTシャツを着させられて、かなり不満そうな大谷。Ericaとマーガレットに迎え入れられて、リングインする。
 先発はEricaとジャガー。Ericaは「昨日はよくもやってくれたわね!」とジャガー、そしてドクロンに猛攻を加える。ドクロンは平手打ちを見舞うが、一発で逆転。それでもソバットで逆襲、ジャーマンを狙うが当然持ち上がらない。Ericaはそのままコーナーへ押し込み、ヒップアタックからスティンクフェイスだ。ドクロンの回転エビもヒップドロップで返す。
「これで終わりにしていいわね?」とコーナーへ登るEricaだが、安田に邪魔され、ドクロンのイス攻撃をもらってしまう。ロープに飛ばされ、顔面にもイスの一撃。
 タッチを受けたジャガーは、回転蹴りから顔面引っ掻き、さらに背中を引っ掻く。救出に入ったマーガレットだったが、シャーッと威嚇されてビビる。そこでマーガレットは考えた。ボールを持ち出し、ジャガーの気をひいたのだ。
 大谷が登場すると、ジャガーが夢中になってじゃれていたボールを蹴ってしまった。この行為がジャガーの怒りを買い、引っ掻き攻撃で髪の毛をむしられるハメに。
 安田にタッチ。最初は安田のパワー殺法にタジタジとなった大谷だったが、バックドロップで逆襲。さらにドラゴンスープレックスを狙い、腕のロックを外されるとすかさずバックドロップ。「ステキ!」とEricaの黄色い声が飛ぶ。。
 タッチを受けたドクロンが大谷の顔面へ低空ドロップキック、大谷はミドルキックを受け止めたが延髄切りに返される。怒った大谷は「女でもやるぞ」とドクロンに顔面ウォッシュだ! 大喜びのErica&マーガレット。さらにEricaコールを受けて、ドクロンへエリカのスティンクフェイス、マーガレットも股間を押し付けてスリスリ。ドクロンは最大の屈辱を味わってしまった。
 調子に乗ったマーガレットをエビに丸め込むドクロンだったが、再び巨大なオケツの下敷きに。そして、マーガレットは必殺のダイビングボディプレス! カウントは2!
 大きなダメージを受けているドクロンに、マーガレットがラリアット。だが、ドクロンは隙を見逃さずイスを持ち出して一撃、続いて安田とジャガーが入り、マーガレットに三人がかりの攻撃を加えようとしたが、巨大なオケツを突き出されるとタジタジに。マーガレットは安田に張り手を見舞って圧倒する。
 捕まったジャガーにEricaとマーガレットが二人でタックル、続いてEricaが高角度のバックドロップ。そして滞空時間の長い垂直落下式ブレンバスターと大技を連発する。Ericaはトドメとばかりにコーナーへ登るも、ヒップドロップは自爆。
 安田のダブルアームスープレックスは大谷が阻止。両軍入り乱れるも、その間にEricaがお得意のハートマークの石油缶を持ち出した。ジャガーの頭部へ一撃を食らわせ、Ericaはトドメのラリアットに行くが、ジャガーはさっと猫のようなしなやかな動きでかわし、エビに丸め込んでしまった。虚を突かれたEricaに3カウントが入った。
 島田二等兵は「このブサイクトリオ。負けるとさらに無様だな」と勝ち誇り、アン・ジョー司令長官も「これじゃあ、張り合いがナッシングですよ」と続く。


第2インリン

8分8秒 スーパーフライ→体固め

 ハッスルマニアで出番がなかった崔は、ハッスル軍に不満を持ち退団。坂田軍入りを狙う崔は、テストマッチを意味した昨日の試合で、かつての戦友だったハッスル軍の藤井から勝利し第1関門を突破。これで裏切った崔とハッスル軍の間には新たな遺恨が勃発したのだった。この結末は果たしてどうなる!?

閉じる まずはブリフラダンスに乗って金村&田中が登場。今日はハッスルクリスマスとあって、一味違うブリフラダンスをリング上で披露した。続いて坂田と崔の登場だ。

 崔がマイクで何か言おうとしたところ、田中がいきなり白いギターで殴打し、試合はスタート。

 場外乱闘に発展した両軍。ハッスル軍はボルテージ全快だ。机を南側観客席の通路に設置すると、坂田をその上に寝転ばせ、金村がダイブを敢行。同じ頃、リングサイドでは田中が崔にダイビングボディプレスをお見舞いだ。場外で優勢に試合を運ぶ田中は、引き続き机をリング中央に設置し、有効利用する。
 田中は金村との連係プレーで崔を机の上に叩きつけた。観客から、すかさず「もう一丁!」の声。崔はラリアットで反撃しようとするも、金村は頬をはたく。金村がパイプイスでさらなる追い討ち。
 ダメージ大の崔を捕らえた金村はコーナーに座らせ、机を使用しての急所攻撃。崔は股間をいたぶられ、大ピンチ!観客からはまたも「もう一丁!」の声。手作業では十分な苦痛を味わわせられない、と感じた金村はイスをハンマーの代わりに使用し、強烈な一撃。崔はうめき声を上げるのみ。金村は田中にタッチ。

 田中は崔を持ち上げ、設置された机の上にブレンバスター。さらに田中は割れた破片で崔の額をぐりぐりし、えぐりつける。田中は金村にタッチ。田中&金村は崔をロープに振ると、2人がかりでショルダースルーを狙ったのだが、崔は起死回生のDDTを2人にお見舞い! 崔はここでようやく坂田にタッチ!坂田は「待ってました!」とばかりにリングイン。フロントスープレックスで金村を投げ飛ばすと、変形片エビ固めで首と足を同時に極めた! 金村はピンチ。坂田はエルボー2発で追い討ち。金村は反撃しようと試みるも、坂田のげんこつを額に食らい、大人しくなってしまった……。

 ここで両者入れ替わり、田中と崔がリング上で対峙。試合の流れを受け継ぐように、崔は田中にミドルキックからミサイルキックを喰らわせた。そして崔はノーザンライトスープレックスでフォールにいくがカウント2。続けてバックドロップも放つ。ここは辛うじて金村がカット。ならばと、崔がボディスラムで田中をリング上に寝かせると、コーナーポストによじ登り、フットスタンプ狙いへ。

 しかし、田中は間一髪で逃げることに成功。待ち構えていた金村はパイプイスで崔の頭を一撃! 田中は間髪入れずバックドロップで崔を黙らせた。「スーパーフライ!」そう叫んだ金村と田中は2人ともコーナーポストの最上段へ。金村はダイビング・セントーン。そして田中は必殺のスーパーフライへ! 返す力なく、崔はカウント3を聞いてしまった。

 金村と田中は勝利をアピール。その脇で坂田は崔の頬を叩き、目を覚まさせた。

 ここで田中は「おい!崔!思い知ったか?おまえはハッスル軍にはいらん。どこにでも行っとけ!」と崔に対し、絶縁状を突きつけた。金村も「アホの坂田に付いてどうするの?坂田の頭の中は女性のことでいっぱいやで」と崔にマイクアピール。

 すると突然、崔のことはどうでもよくなったのか、勝利したことで勢いづいた金村は会場で聖なる昼に坂田ばりのナンパを敢行。最前列で観戦していた女性を見つけると、リング上から声をかけた。

「ええ乳しとるね、乳くり合おうか?」女性は愛想笑いをうかべるのみ。こんな言葉でナンパが成立するわけがない。ここで黙る金村ではなかった。「東京の子は、回りくどい口説き方は必要ない。ねぇ、ハチミツちゃん??セックスしようか??」

 ここは昼間の後楽園ホール。カップル、お子様と大勢の満員の観客が見守っていたが一斉にドン引き。見かねた田中は後ろからマイクで金村の頭をポカリ。「ストレートすぎる。おまえしゃべりすぎるねん」と、田中は金村をなだめるようにリングを降りたのだった。


第1インリン

8分8秒 ムーンサルトプレス→体固め

「あの腰振りめ。昨日は散々だったな。サタン・ザ・サンタは負けるし、ネェちゃんにはフラレるし、散々なイブだ…」
 のっけから愚痴る島田二等兵。その姿を見たアン・ジョー司令長官は、「今日は久しぶりにインリン様がご降臨しマース。ですから掃除しなサーイ」と命じるが、二人とも掃除が好きそうではなさそう。
 そこへ「サボるな、島田! アン・ジョー!」と高田総統が登場。しかし、二人は高田総統の恰好を見て驚きを隠せない。総統は頭に頭巾を被り、エプロンをつけてモップを片手に持つという“お掃除おばさん”ルックだったのだ。
「綺麗好きな私の前で、よくもそんな口がきけるな。今日はハッスル軍を一掃するぞ。それとも、お前たちも一緒に掃除されたいのか?」
 総統の言葉にビビる二人だが、「昨日負けているサタン・ザ・サンタとトナカイじゃあ…」と不安そう。その姿を見た高田総統は笑みを浮かべ、「よかろう。私がさらなるパワーアップを施そう。岩をも砕くサンタクローを得意とするサタン・ザ・サンタ、ぶらり途中下車の旅が大好きなトナカイよ。今年の汚れは今年の内にな」と、リベンジを命じた。
 最後にはモップを持って「ビターン!」。綺麗好きな高田総統は、カメラをもモップで拭き拭きするのであった。

閉じる 一斉に襲い掛かるモンスター軍。レッドとトナカイが、リング上で華麗なる空中殺法の競演だ。しかし、トナカイが角ヘッドバットで逆襲。昨日に続き、ア・トーナ・カイとカ・トーナ・アイは全く区別がつかないため、トナカイと表記したい。
 トナカイとイエローになり、トナカイはタックルを連発するもイエローはびくともしない。逆にイエローのタックルをぶちかまされ、トナカイは吹っ飛んでしまった。
 トナカイのピンチにカットに入ったサンタは、プレゼントの袋でブルーを滅多打ち。サンタクローを狙ったが、ブルーのケプラーダ逆襲され、ミサイルキックでカウント2。
 トナカイは二匹がかりでダブルの角ヘッドバット。ブルーにダメージを与えたところでサンタが出てきて、ダイビングエルボー。そしてサンタクローを狙うが、ブルーに手をキャッチされ失敗。ブルーのフランケンシュタイナーをパワーボムに返し、再びブルーにサンタクローを狙ったが、勢いあまって手をリングに打ち付けてしまった。
 ブルーにトナカイ二匹が襲い掛かり、サンタも交えてコーナーでタックル三連打、三人がかりで雪崩式のパワーボムも狙ったが、フランケンシュタイナーに返される。
 ここで満を持して、ハッスル仮面のエース・イエローが登場。三人にラリアットを見舞う八面六臂の大活躍、そしてトドメの必殺フライングボディソーセージを見舞おうとコーナーへ上がったが、トナカイに阻止されてしまった。
 レッドはダブルのドロップキックでトナカイを一蹴するも、ついにサンタクローに捕まってしまう。救出に入ったイエローも自慢の贅肉を鷲づかみにされてしまった。
 が、レッドはリング下に落ちたサンタにケブラーダ、ブルーはダイビングエルボー。イエローとトナカイがリング上に残り、イエローが今度はとばかりにフライングボディソーセージを繰り出したが自爆! トナカイのエビ固めにあやうくカウント3が入る直前の大ピンチ。
 ブルーがリングに戻り、トナカイをリング下に落としてプランチャ。リング上ではサンタがレッドにライガーボムを見舞い、ボディスラムからコーナー最上段からのプレゼント袋を持ってのセントーンは自爆。レッドがフォールするもトナカイが救出に入る。
 タッチを受けたイエローはサンタを捕まえて、シュミット式バックブリーカーから後ろ向きにコーナーへ登る。この流れはまさか…そう、なんとイエローが重爆撃のムーンサルトプレス! これをもらってはたまらず、カウント3が入り、見事、ハッスル仮面チームがサンタチームを返り討ちにした。
 敗れたトナカイは、何やらアン・ジョー司令長官に耳打ち。「ハッスル仮面、今日のところはこれくらいにしておいてやります」と通訳したアン・ジョーだったが、「え、違う? 分かったOK」と聞きなおし、「ハッスル仮面、今年のところはこれくらいにしておいてやる。この借りは来年のクリスマスに必ず返しマース! 覚悟しなサーイ!」。
 どうやら、ハッスル仮面とサタン・ザ・サンタチームの因縁は来年のクリスマスまで続きそうである。


RG&HG登場

 場内が暗転すると、リングに現れたのは黒のエナメルレザー一色のHG!ではなく……HGの相方、RGではないか!

「GMに就任しましたミスター・リアルゲイこと、RGで〜す!」

 場内からはブーイングの嵐だ。RGはすかさず「ヨウヨウヨウヨウ、ヨヨウ、ヨウ」で観客を制す。続けてRGは「みなさん、ハッスルしてますか!?ワッツ、アップ、ボーイズ&ガールズ??」と満員の客に呼びかける。ブーイングの収まらない観客をよそに、「ヨウヨウヨウ、ブーイングの意味がわかりませ〜ん、ウケない空気には慣れてます」と自分の立場をまるでわかってない様子。「アウェーなら慣れてます。こんな中で得意なギャグをやらせてもらっていいですか?」とRGは問いかけながら、無理やりに「フォフォフォフォー!」とHGのパクリであるセリフを披露したのだった。ここで観客の心を察知したのか、RGは慌てて弁解だ。「ぱくってません、アレンジしただけです」
 一発で飽き足らず、RGがもう一回やろうとしたところ、まさかの!「ゴールド・フィンガー」のテーマ曲が場内に流れた!観客がどよめく中、登場したのはHG!観客が大きな拍手で迎え、HGがゆっくりとロープ最下段から、ゆ〜っくりと腰を落としながらリングイン!「ハッスルフォー!どうも〜HGで〜す!クリスマスフォー!」と先ほどのRGとは全く違い、観客のハートをがっちりと掴んでいるHG。そして、すかさずHGはグダグダのオープニングを進めているRGに向け「セイ、セイ、セイ。正気かお前?大切なオープニングが何とも言えない雰囲気になってるじゃないか!」と説教を始める。RGも反省したのか、「正直、天狗になってた……。テレビに出て認知度があると思っていた」と少ししょんぼり気味だ。
 HGの説教は止まらない。先ほどのRGのポーズに対して「ぱくってない、なんて言えるのか?気は確かか?楽屋で今後のことは話し合おう」とHGは呼びかける。ここで観客からRGの本名である「出渕〜」との声援。不意を突かれたRGは「本名、ヨウヨウヨウ」と慌てて制止にかかった。ジャストタイミングで続けざまにHGの本名である「住谷〜」の声援も観客から飛ぶ。HGも慌てる慌てる。しかし、「そんなジャパニーズネームはございません!」とHGは軽く一蹴したのだった。
 そしてHGは気を取り直して、来年開催される「ハッスルオーディション」を告知。「我こそはと思うゴリゴリの男性はバチコーイ!」と股間に手を当て、会場にいるハッスルで活躍したいと思う男性諸君に呼びかけるのだった。

 本日行われる全対戦カードが順番にスクリーンに映し出された後、HGは「みなさんに謝らないといけないことがあります。昨日の試合でKOSHIKARIの攻撃で腰を痛めました。大事に至らなかったのですが・・・」とファンに謝罪をし、試合後にRGのモミほぐしで更に腰を痛めたことを告白。場内からは物凄い「え〜っ!」と残念がる声。「私から腰を取ったら何も残らないので、腰を完治させたら復帰します!」と再びリングに戻ってくることを誓うHGだった。
 するとここでアン・ジョー司令長官と島田二等兵がいきなりリングイン!「この一流エンターテイナーを差し置いて、オープニングを務めるなんって…」と説教にかかる島田二等兵。続けて「M-1の決勝に上がれなかったやつらは帰りなさい。今宵はインリン様が主役の聖なる夜」と、HGとRGの2人を2流芸人呼ばわりし、島田二等兵が罵倒するのだった。
 ここまで言われて、黙っちゃいられないHG。「セイセイセイ。こっそりそっちはM-1に出たそうだけど、あっさり2回戦落ち。そっちが4流フォー!」とお笑いには情報通であることを伺わせ、猛反撃した。アン・ジョー司令長官も負けてはいられない。「ユーも去年2回戦落ちしたそうですね〜。よくも昨日はやってくれましたね。ここで今リベンジマッチしましょう!」と、この場でのリベンジマッチを呼びかける。ここでRGが割ってはいる。「ヨウヨウヨウ、相方に手を出すのはオレが許さない」と勇気ある決断をしたRGだったのだが・・・。アン・ジョー司令長官はあっさりと「あなたWhoですか??」。
 何とか、いいところを見せようと頑張るRGは「オレは学生プロレスで名の知れた男だぞ〜」。すると観客からナイスな質問が「リングネームは何ですか?」。「チン先真性だ〜」(RG)。「オレに触れると色んな意味でヤケドするぜ〜。ワッツ・アップ・エルボーでやっつけてやるぜ〜」と意気込んだRGは、エルボーをアン・ジョー司令長官の顔面に1発、2発、3発と叩き込んだ。仁王立ちのアン・ジョー司令長官が張り手一発でRGをぶっ飛ばすと、RGのカツラはぽろり。それを見かねたHGもアン・ジョー司令長官に鋭い張り手を一閃!強くダメージを受けたアン・ジョー司令長官は「これで借りが一つ出来ましたね。とりあえずゴー・ホームです。ネクスト タイムに期待してください」と言い放ち、島田二等兵とこの場を引き揚げるのだった。

 2人が過ぎ去ったのをしっかりと確認したRGは「今日はこれぐらいにしとくか」と、吉本興業の池野めだかばりのギャグで言うもマイクの音声は拾ってなく、会場のみんなには行き届いていない。「どれだけ、ついてないんだアンタ」とHGは素の突っ込み。苦笑いするしかないRGは「ここは編集してください」とカメラに向かって懇願し、もう一度決めセリフをいうのだった。
 気を取り直した2人は「いつものやついきましょう!」と観客にご起立をお願いすると、相方の「ハッスル、ハッスル、フォフォフォ、フォー!」を否定しながら、「ハッスル、ハッスル、フォー!」でハードゲイバージョンのハッスルポーズを決め、大会の幕が切って落とされた。


オープニングムービー


藤井軍鶏侍&金村キンタローによる諸注意

 昨日に引き続いて行われたハッスルクリスマススペシャル。オープニングに登場したのは金村キンタロー&藤井軍鶏侍だ。好評発売中のハッスルオフィシャルブック第2弾を見る二人。モンスター軍のことばかり掲載されてあり、ハッスル軍のことが少しも書かれてないことに不平不満を爆発だ。
 また、名古屋で高視聴率を取っている情報番組「ハッスル、ハッスル」を見ることの出来ない東京のハッスルファンのために、金村と藤井は丁寧にお詫びを言った。
 気を取り戻した2人はブリフラダンスを披露。そして、金村による協賛各社の発表が行われると、2005年ハッスルラスト興行となる「涙のラストM字ビターン」がスタート!