ファイトカード

高田総統劇場

 突如、リングに姿を現した鈴木健想と浩子GM。健想はマイクを握ると、「おい! ローカルレスラーの川田! 日本のお前と世界のスーパースターであるこのケンゾー・スズキが試合をしてやるんだ。挨拶の一つくらいあってもいいんじゃないのか?」と川田を挑発する。立ち向かおうとした川田だったが、その瞬間、あの声が場内に響き渡った!
「モンスターK、楽しみは本番までとっておけ!」
 大歓声と共に、バルコニーに高田総統が悠然と姿を現したのである。場内は一斉に「そーとー、そーとー」コール。浩子GMは「うるさいっ!」とヒステリーを起こしてしまった。
「ちょっと待て」と高田総統。「ありがとっ!」とお礼にもなっていないお礼を客席に向かって言う。「今日は……」と喋りだそうとした高田総統だが、場内からは「見えないよ!」の声が。総統は「おい! この私に注文するな!」と釘を刺す。「そしてリズムを崩すな!」と注意だ。
「今日は久しぶりの日本なんだ。世間ではライブドア事件、耐震偽造問題、牛肉輸入禁止、アスベスト…得体の知れない大きな不安を広めるかのような事件が、次々と起こっているだろう? 一体、この国はどこへ行くのだろう」と、今日はなぜか社会派な高田総統!
「おい、今日はちょっと違うだろう?」とご満悦だ。「そしてだ、腐りかけた日本のプロレス界。某老舗団体から大量離脱した。得体の知れない不安を業界に与えているそうだ。おい! 不安だらけなんだよ! そしてだ、私は思った。不安だらけだというのにな、今日ここに集まってくれたプロレスファン諸君! 諸君たちはちょっと違うな」という高田総統の言葉に、一斉に盛り上がる場内。
 だが、続く言葉は「実にのんきで暇そうだよ!」だった。「だってそうだろ! どいつもこいつもアホ面だ!」総統への歓声は、当然の如くブーイングへと変わった。
「まあいい。まずはしみったれたキミたちに、今年最初の挨拶をしておこう。我こそは高田モンスター軍総統、高田だ!」と高らかに宣言する総統。場内は一斉に「そーとー、そーとー」コール。しばらくご満悦の表情で聞いていた総統だったが、「もういいぞ」と勝手に打ち切る。
 次なる標的は、リング上にいる鈴木家の人々だった。
「おい、そこにいる新GM! 就任以来、随分と張り切っているようだな。キミのその出たがり根性、すでに鼻についているのはこの私だけかな? ひとつ言っておく。アメリカでは誤魔化せたかもしれんが、日本ではそうはさせんぞ。せいぜいどっかの社長のように、化けの皮が剥がれないように頑張る事だ」
 すると浩子GMが口を開いた。ついに高田総統VS浩子GMの初対決である。
「長いね〜。長い! いやいやいや、待ちくたびれた。ご紹介させていただきます。ワタクシ、新GMの鈴木浩子でございます。いやいやいや〜私も恐妻ですけどね、よっぽど奥さんが怖いのかしら。家でお話が出来ないみたいね〜」と、浩子GMは大胆にも高田総統の私生活をあざ笑ったのである!
「ベラベラベラベラと〜。ワタクシGMになってから日が浅いのでよく存じ上げないのですが、高田総統って言われるんですか? ちょっとその衣装! ダサいっていうか〜、野暮ったいっていうか〜、なんかちょっとプフッて感じよね〜。それからそのマイク・パフォーマンス? ジジィになったら長い事、長い事! アメリカでやったら即却下よね〜」と毒舌を高田総統へ向ける!
 それに対し、高田総統は「おい! お前も長いんだよ!」とカウンターを食らわし、「思ったとおりのバカ夫婦だな! おい、温泉芸者! 格好の事でお前にとやかく言われる筋合いはないよ!」と、ごもっともな高田総統! 「このバカ者めが! お前みたいなヤツがいるから、日本が世界に誤解されるんだよ! この非国民が!」と言い放つ。
 続いてマイクを握ったのは、川田だった。
「健想! お前、俺の事をローカルレスラーって言ったな? お前のかみさんだって、ローカルのアナウンサーだったじゃないか!」と痛いところを突く。「お前ら何が世界の鈴木家だ! お前、普段はかみさんの実家に居候しているらしいじゃないか!」と情報通なモンスターKであった。「スーパースターのわりにはしみったれてるな」。
 だが、健想は「そうですよ、マスオさんですよ」とあっさり認め、「今は板についてきて、マスオさんからマスオ様に変わりました」と、プチ反撃だ。
 呆れ顔の川田は「お前はいつもそうやってかみさんの尻の下に敷かれているんだよ。かみさんの知りに敷かれたまま3月5日、俺と本気で勝負するつもりなのか?」と宣戦布告。それに対して健想は「うるせぇ、歯抜け野郎! 分かった。お前さ、浩子に気があるんだろ? 絶対そうだ!」と見当違いな解釈をする健想。挙句の果てには、「でもね、浩子はね、僕にぞっこんなんだよね〜!!」とのろける健想!
 これには川田もブチ切れ、「お前ら、思った以上のバカ夫婦だな! ひとつ教えといてやる。俺はな、どっちかというと芸者よりキャバ嬢の方が好きなんだよ!」と、怒りのあまり無駄にカミングアウトしてしまった。「それとな、もうひとつ言っておく。お前、ハッスルで一番弱い軍鶏侍に勝って喜んでるらしいな。その割には、軍鶏侍の事を“しゃもざむらい”と読み間違えていたらしいな、この野郎!」と、やはり情報通の川田は衝撃の事実をぶちまけた!
 頭を抱える鈴木家の二人。これには高田総統も眉間に皺を寄せ、「おい、それは笑えないエピソードだな。えっ? ちょっとテンションが落ちちゃったな……。しゃもざむらい? 確かにそうは読むよな」と、哀れみたっぷりに語りかけるのであった。
 高田総統は続ける。「おい、居候! プロレスはな、単細胞じゃ出来ないんだよ。分かるだろう? キミを見ているとあの同じ明大出身のチキンを思い出すよ」。
「ちょっと!」と口を挟むのは浩子GMだ。「さっきから黙って聞いていれば、えっらそうに! ばっかみたーい! こっから見てたら、あなたたちはサル山の猿よ! 言っておきますけど、3月の大会で健想は川田選手を倒してエースになります」と逆・宣戦布告を行った。
「それから、高田総統!」と浩子の牙は再び総統へ向けられた。「私がGMになったからには、もうあなたを特別扱いしません。場内でのその葉巻も禁止します!」と、恐るべき強権発動だ!
「おい、私はまだキミをGMとは認めていないぞ。まあ、せいぜい短い付き合いで終わらないように頑張ってくれたまえ」と高田総統。これにより、モンスター軍と鈴木家も全面抗争に突入しそうである。
 高田総統は客席に向き直り、「下々の諸君、よーく聞きたまえ! 今年2006年のハッスルは、我がモンスター軍の手によって日本のプロレス界が過去到達できなかった未知のステージに突入する事になる。諸君、迷う事無くこの私の後ろに付いてきてくれたまえ。今日はここまでだ! 下々の諸君、居候、温泉芸者、バッドラックだ!」と、またしても謎の言葉を投げかけて去っていった。
 ついに高田総統にも食ってかかった浩子GM、そして健想。
「バッドラックねぇ……今日は本当にバッドラックだったわ」と呟く浩子GM。「でもね、健ちゃん。3月の大会であなたはハッスルのエースですから。こんな事は気にしないでグンと行きましょう」と健想に語りかける。
 それを受けて健想は、「まさしくそのとおり。3月は川田と腰振り野郎を倒して、この鈴木家が日本のプロレス界を牛耳ります!」と高らかに吼える。浩子GMは「カッコいい〜!!」とぞっこんだ。
 すっかりバカ夫婦ぶりを露呈した二人は、ハッスルポーズを待ち望んでいた観客の声を無視し、新オフィシャルポーズの“パワーアップでオー!”を強要。2006年一発目のハッスルは、浩子GMのやりたい放題、言いたい放題の大会となった。来月の3連戦で健想が名実共にハッスルのエースの座を手に入れ、『鈴木家』の天下となるのか? 新戦力が加わったハッスル軍・モンスター軍が『ストップ・ザ・鈴木家』を果たすのか?

メインハッスル

18分36秒 ジャーマンSH

 川田の裏切りから早5ヶ月。4度目の川田との対戦を前に、肩を落とす石狩を「もうあきらめろ。お前の元気がないと、みんなが暗くなるだろう」と励ます大谷。この言葉に石狩も「自分では吹っ切っていたつもりだけど、まだどこかに川田さんのことが残っていて…情けないです」とうつむく。そんな石狩に「だったら吹っ切れるまで俺の付き人をやってもいいぞ。そして独り立ちする自信がついたら辞めればいい」と、ハッスル軍No.2としてやさしい言葉をかける大谷だったが、「大谷さんの付き人やるなら死んだほうがましですよ! 大谷さんに憧れないし、酒飲むとすぐ脱ぐし、ビッグにはなれなそうだし、結婚もできなそうだし…」と、あろうことかボヤく石狩。「髭剃って試合に行こう」と大谷を後に控え室を去っていった。そんな石狩を見て「本当、川田にそっくりだな」と大谷はポツリとつぶやいた。
 一方、モンスター軍の地下アジトでは川田と耕平が何やら話している。しかし耕平の滑舌の悪さを相変わらずで、全く持って何を喋っているのか分からない。「えっ?」と何度も聞き返す川田。どうやら「相手をボコボコにする」というような内容のことは分かった様子。「しゃべり以外は出来るヤツなのにな…」と独り言をもらした。

閉じる リングに上がると石狩は早くも耕平と睨み合い。川田に「出て来い」とアピールするも、川田はそれに応じる気配はなし。試合は石狩と耕平のエルボーの打ち合いで幕を開けた。この攻防で主導権を握ったのは耕平。体格差を生かして、徐々に石狩を後退させると、強烈なエルボーで吹っ飛ばし、ストンピングを見舞った。
 ここで両者タッチし川田と大谷がリングイン。まるで意地を張り合うように、こちらも蹴りとチョップの打ち合いを始める。しかし川田が腕を取ってのスピンキックを大谷の顔面に叩き込むと、川田に促されて耕平が大谷に掟破りの顔面ウォッシュ! 大谷にとっては屈辱この上ない攻撃だ。しかし大谷も負けてはいない。スリーパーに入った耕平の指を噛むと、自陣コーナーで逆さ釣りにして石狩と二人がかりで顔面にキックの連打を浴びせかけた。
 それを脱出した耕平が石狩をタックルでコーナーに押し込んで川田とタッチし、川田と石狩のマッチアップとなる。川田は石狩のジャージを脱がせて剥き出しになった素肌に逆水平。耕平は石狩を場外に落とすと、容赦なく鉄柵に投げ捨てて、エルボーで吹っ飛ばす。リングに石狩を戻した耕平は強烈なストンピングとボディへの膝蹴り、そしてミドルキックを叩き込む。しかし石狩も何とかエルボーで佐藤を後退させて、大谷にタッチする。
 さっきの顔面ウォッシュがよほどムカついたのか大谷は佐藤の顔面かきむしり、さらに耕平の顔面をロープに擦りつけ片エビ固め。ロープに手をかける耕平だったが、大谷はレフェリーのいう事を全く聞かない。さらにタッチを受けた石狩が耕平に打点の高いドロップキック。相手コーナーの川田をエルボーで牽制して、キャメルクラッチで耕平を絞り上げる。するとそこに大谷がすかさず顔面ドロップキック。石狩と二人がかりで、反則すれすれの攻撃を繰り広げ、耕平を痛めつける。
 キャメルクラッチをといた石狩が、再び相手のコーナーの川田にエルボーを見舞うと、それまで静観していた川田が遂にぶち切れた。レフェリーの制止を振り切って石狩にローキックを叩き込むと、そのまま場外に落とすと鉄柵に石狩の体を投げ捨てる。さらに客席の目の前まで石狩の顔面を鉄柵に叩きつけ、逆水平を叩き込む。非情な川田の攻撃に客席は静まり返る。
 グロッキーの石狩をリングに戻すと、耕平が強烈なミドルキック。川田もリングインしローと膝蹴り。気力を振り絞ってエルボーを打つ石狩だが、川田の攻撃で吹っ飛んでしまい、川田のギロチンドロップと佐藤のパイルドライバーを立て続けにくらってしまう。
 しかし石狩は耕平の投げを潰してドロップキックで距離を作ると大谷にタッチ。スタミナ十分の大谷は佐藤にボディキックを放ち、本家本元の顔面ウォッシュ! 『もう一回』コールに応じて何度も耕平の顔面を刷り上げる。そして顔面かきむしりからジャーマンで耕平を投げ飛ばした。
 モンスター軍はここで川田が登場。大谷を顔面蹴り、バックキック、フロントキックと得意の蹴り技で攻め立てると、ブレーンバスターを決めてミドルキックからストレッチプラムの態勢へ。しかし石狩がすかさず川田をカットし、立ち上がった大谷はロープに飛んだ川田にニールキックをヒットさせて、石狩とタッチする。
 石狩はトップロープに上がり川田にミサイルキック! しかしレスラーとしての力は川田の方が上。石狩のフォールを軽々と返すと、すぐにフロントキックを放つ。さらに耕平がリングに入り、石狩をミドルキックで吹っ飛ばす。石狩は耕平のフェイスバスターをくらいながらも、起死回生のDDTで反撃。川田のカットは大谷がミサイルキックで阻止し、一気に試合が加速していく。
 リング内では大谷と石狩が耕平にキックの合体攻撃。大谷が耕平をドラゴンスープレックスで投げ、石狩が逆さ抑え込みでフォールするも、耕平はそれを返す。チャンスと見た石狩はもう一度耕平を丸め込みに入るが、またしても3カウントは奪えない。石狩は耕平のバックについてスリーパーで絞り上げるも、耕平は自分の体ごと石狩をコーナーに叩きつけて脱出。場外では川田が大谷をストップしており、リング内は完全に耕平と石狩の一騎打ちとなる。スリーパーで力を使い果たしたのか動きの止まった石狩とは対照的に、ピンチを脱出した耕平は動きが鋭い。まずは石狩のボディに膝蹴りを突き刺すと間髪いれずにファルコンアロー。これは何とかカウント2で返した石狩だったが、最後は耕平がぶっこ抜きジャーマンで石狩から文句なしの3カウントを奪った。


セミハッスル

9分55秒 フライングエルボードロップ→片エビ固め

 クリスマスの連敗からまだ立ち直れていない様子のErica。マーガレットに「クヨクヨ ダメヨ」と励まされ、「強くなるには前向きじゃなきゃね」と今日の試合へ気持ちを切り替えた。しかし今日の6人タッグマッチ、Ericaとマーガレットのパートナーはまだ決まっていない。するとEricaは「今日のパートナーを見つけるためにこれを使うのよ。パートナーゲットのためのチョコレート作戦よ」と、手作りチョコレートを取り出す。そして何やらマーガレットの耳元でひそひそ話。それを聞いたマーガレットは「Yes!」と大きくうなずくのであった。
 Ericaのチョコレート作戦の標的となったのが田中将斗。今日は試合がなくぼやいていた田中がロッカーを開けるとそこにはチョコレートと手紙が。手紙には「クリスマスの試合でファンになりました。女子更衣室に来てください。安田美沙子より」と書かれている。Ericaの作戦だとも知らず、大喜びの田中はそのまま女子更衣室へ。「美紗子ちゃん!」とドアを開けると、そこには何と着替え中のマーガレットが!
 「キャー」と声を上げるマーガレット。するとEricaが現れ、田中に「何してるのよ」と問い詰める。もちろん田中は「美沙子ちゃんに呼ばれて」と弁明するものの、Ericaは田中を変態呼ばわり。その隣ではマーガレットが泣きじゃくるなど、もう収拾がつかない状態。そこですかさずEricaは「こうなったら、落とし前つけてもらうわよ! 今日のタッグで私たちと組んで勝利をプレゼントしてちょうだい」と、強引に田中をパートナーに任命したのであった。

閉じる ある意味、罠にはめられた田中は微妙な表情でリングイン。Ericaとマーガレットは客席にお菓子をプレゼントしながらの登場だ。しかしなかなかリングに上がろうとしない二人。どうやら虫が嫌いの二人は鬼蜘蛛コンビには近寄れない様子。リングインしたのがドクロンだと分かると、二人がかりで攻撃をしかけた。
 しかしいきなり誤爆するEricaとマーガレット。ドクロンは早くもイスでEricaの頭部を殴りつける。その後も一気に攻め立てるドクロンだったが、やはりパワーで優るEricaがラリアット一発でドクロンを吹っ飛ばした。
 ところが赤鬼蜘蛛が入ってくると、Ericaとマーガレットは怖がって試合にならず、しょうがないといった表情で田中がリングに上がった。
 赤鬼蜘蛛を攻め立てる田中だったが、二匹の鬼蜘蛛に捕まってしまう。関節技で田中の右肩を絞り上げる青鬼蜘蛛。カットに入ろうとするEricaだったが、青鬼蜘蛛の顔を見ると怖がってしまいリングに入れない。
 ドクロンとタッチしたところで、ようやくマーガレットがリングイン。Erica同様、驚異的なパワーでドクロンを攻め立てる。場外では青鬼蜘蛛がEricaを追い掛け回し、逃げ惑うErica。しかし恐怖心からか、Ericaは鉄柵を持って逆に青鬼蜘蛛を追い回すと、田中が青鬼蜘蛛を捕獲。場外の机の上に寝かせると、トップロープから青鬼蜘蛛にダイブする。
 リングはドクロンとErica。Ericaが強烈なバックドロップを連発し、垂直落下式ブレーンバスターを見舞う。そして田中がリングイン。容赦なくドクロンにエルボーを叩き込み、スーパーフライで追い討ちをかける。
 しかし赤鬼蜘蛛がすかさずカット。どさくさにまぎれて黄鬼蜘蛛も入り、鬼蜘蛛3匹で田中をボコボコにする。田中をドクロンがフランケンシュタイナーで投げ捨て、パワーボム! さらにイスを使ってのDDTを狙うが、田中は膝を曲げてそれを迎撃。
 ここぞとばかりに田中は悶絶するドクロンを白いギターで殴りかかる。すると3匹の鬼蜘蛛がこちらも必殺の糸攻撃。チャンスから一転、ピンチを迎えた田中だったが、これまで鬼蜘蛛との接触を嫌っていたマーガレットが、ようやく鬼蜘蛛にボディプレス! 糸に固まった田中を救出すると、田中が赤鬼蜘蛛・青鬼蜘蛛にDDT。マーガレットの頑張りを見たEricaもトップロープへ登って、マーガレットとダブルで赤鬼蜘蛛・青鬼蜘蛛にエルボードロップ! ハッスル軍が見事逆転勝利を奪った。
 試合後、マイクを握った田中は「Erica、マーガレット、お前らなかなかやるやないか。だまされてむかついたけど、この試合見せられたら関係ない。お前ら頼もしいわ」と、改めて二人の実力を認める。田中の言葉を受けて「すごいうれしい。田中さんにこんなこと言われるなんてうれしい。本当にかっこいい。男の中の男よ。自信付くわね」と、ご満悦の様子。
 すると「ハッスル軍はキャプテンもいなくてHGも忙しい、ピンチの状態よね。だから私たちもっと頑張る」と切り出したEricaは、「これからは男子と戦っちゃう」と、何と男子レスラーとの対戦をぶち明けたのだ。「モンスター軍の男子たち、この言葉の意味分かる。あなたたちを標的にするから。ガンガン行っちゃうわよ!」とErica。今後のErica&マーガレットの戦い模様に期待大だ。


ハッスルオーディション

 日本全国が注目の「ハッスル公開オーディションドラフト合戦」が遂にスタート! 下は4歳、上は67歳のおじいちゃんまで応募総数は420通以上となった。
 ハッスル軍からは“ハッスルあちち”の大谷晋二郎、中村カントク、高田モンスター軍からはアン・ジョー司令長官と島田二等兵、鈴木家からは浩子GMが審査員として席についた。
 まずはドラフト合戦の説明をしよう。これから、厳しいハッスルオーディション審査を通過してきた6名(パフォーマー男性部門、パフォーマー女性部門、ファイター部門の各2名)がリング上に上がる。そしてそれぞれが1分間のパフォーマンスを披露。
 軍団で契約の意思がある場合は、自軍の札を上げ、入札する仕組みとなっている。もし、札が上がらない場合、そのエントリー者は落選となってしまい、今後デビューは出来ない。この厳しい環境から残るのは一体誰になるのか?

閉じる パフォーマー男性部門からスタート。「相方は昨年、国民級の大ブレイク! エントリーナンバー1番!」そう案内されると出てきたのはHGの相方、RGだ! 会場からは迷わずブーイングの嵐。
「ヨウヨウヨウヨウ…大阪から参りましたレイザーラモン、RGです」。いつの間にか、会場と審査員の空気は一致している。審査員は迷わず×印を作った。
 ここで1分間の自己PRがスタート。「フォフォフォフォー!」いきなりHGのパクリでポースを決めるRG。会場からブーイングが止まらない。それを制止するかのように、「ヨウヨウヨウヨウ、ホワッツ、アップ? みなさんハッスルしてますか?」RGの問いかけにシーンとする会場。「OK! この一体感!」何を勘違いしているのか、RGはハイテンション。
「いいですか? 僕を取った方がいいですよ? なぜなら学生プロレス出身でプロレスが出来ます!」と“チン先真性”の名で学生プロレスで大暴れしていたことをアピール。
「一押しのギャグがあるんです」そういったRGは「オジャマ……オジャマスープレックスホールド!」そう叫んだRGは一人スープレックスを披露する。今までの汚点を払拭するかのように、RGは見事な弧を描いたブリッジを披露したのだった。微妙な空気が流れる中、RGは、ずれたカツラを慌てて拾いながらリングを降りたのだった。
 続いて、エントリーナンバー2番、お笑いからマイケルの登場だ。HG以上の身体能力という触れ込みである。全身赤のエナメル素材のコスチュームでリングイン。
「ヤッホ、ヤッホ、ヤッホーマイケル!」先ほどの不穏な空気とはうってかわって、マイケルが登場すると、会場からは音楽に合わせての手拍子全開で迎えられた。
「2月1日にマイケルンバ2でデビューしました」と始めに自分のCDをPRするマイケル。
「マイケル、このCD一体何枚売れるんだろう?」そう言いながらマイケルは観客と一緒にカウントをし始めた。「1枚、2枚、3マイケル?」いつものもちネタをアピールし、終わった途端にPR終了時間のブザー! あまりの呆気なさに会場からは「えっー!」の声。

 続いてパフォーマンス女性部門には、バスローブ姿でかわいらしい19歳の田中未由さんがリングイン。会場からは「かわいーい!」の声が乱れ飛ぶ。
「私は石狩選手が大好きでこのオーディションに参加しました。ハッスル軍に入って、石狩選手にお弁当を作りたいです。得意な料理はサバの味噌煮です」と、かわいらしい自己PRは続く。
「特技のエアロビクスとプロレス技をコラボレーションさせました!」そう言った田中さんはバスローブを脱ぐ。下は白色の水着! 暇でもてない男性の鼻の下は伸びっぱなし。エアロビの爽快なダンスミュージックが流れる中、田中さんは軽いステップから蹴り技でポースを決め、アピールタイム終了。
 あまりの色っぽさにハッスル審査員はメロメロ。慌てて審査員の大谷と中村カントクは札を上げる。それはフライングだろっ!
 続いて、元“ハッスルマドンナ”の青木裕子が登場。リングに上がった青木はマイクを握り、「歌を歌わせて下さい」とアピール。
 すると審査員席から身を乗り出した浩子GM。「今なんって言った?」と呆れ顔。「今は自己PRの時間でしょ? 誰があんたの歌を聞きたいっていうのよ? 空気を読みなさい!」といつもの青木への“ダメ出しテポドン”が発射された。
「あんたのトリエはおっぱいだけ、さっきの子みたいに今すぐ脱ぎなさい!」(浩子GM)。それに対し、「何で脱がないといけないんですか?」と珍しく反論する青木裕子。「あんたのトリエはおっぱいだけなの! だから脱げって言ってるの!」
 島田二等兵、アン・ジョー司令長官、そして、青木裕子のグラビア時代にお世話になったエロイお客さんは、一気に「脱げ脱げ」コール! 青木は急にリング上で泣き出した。しーんと静まり帰る場内。「いい女が泣くな!」そう浩子GMが言放った途端に終了のゴング! 青木は何もしないまま終了してしまった…。
「大丈夫ですか??」思わず、進行役のアナウンサーも青木を心配してしまう。
「そこの志村けん!」
 ここで会場内にある男の声が響き渡った。声の主は坂田亘だった。もちろん、矛先は顔に白粉を塗りたくって志村けんのバカ殿似の浩子GMだ。
「さっきから聞いてりゃあ、悪魔みたいな女だな。GMの権力を振りかざして、そういうのを人権なんとかって言うんじゃないのか? 元グラビアアイドルだろうが、乳しか脳がなかろうが、人間だろうが!」と、坂田は青木を擁護する。
 それだけでは怒りの収まらない坂田は、坂田軍のボスである自分が審査員席にいないことに対しても不満を爆発させる。対する浩子GMは「あんた、坂口さんだっけ、坂田さんじゃない? これがこれの、知ってるわよ〜」と巨乳を意味するジェスチャーで坂田をおちょくる。
「何が悪い」そう開き直る坂田は「オレは人読んで、巨乳殺しの坂田亘だ」と、そう偉そうに言うと、横で泣いていた青木を「おい! 裕子、泣くな! オレのマネージャーになるか?」と青木の頭をいやらしくなでる坂田。
「こんなやつと一緒にいるとバカが移るから、今後のことを話し合うか?」そう言った坂田は、青木を優しく包みながら引き揚げていったのだった。
しんみりとした空気が流れる場内。気を取り直してオーディションが再開!
 エントリーナンバー5番のファイター部門で登場したのは、某老舗団体を離脱したばっかりの長尾浩志が登場。元実業団バレー部出身だけに、バレーボール服姿で登場だ。
「某老舗団体を退団した長尾です。特技はバレーです」とまずは自己PR。
「おい! でかいの! ばかか! 何でバレーすんだよ。ファイターもばかばっかりじゃねんか!」(島田二等兵)。「ファイター部門はスパーリングを見ないとわからない」とアン・ジョー司令長官はごもっともな意見を述べる。
言いだしっぺのアン・ジョー司令長官に「アン・ジョー上がれ!」の野次が上がった。アン・ジョー司令長官はスパーリングの同意を浩子GMに求めると、浩子GMは「健想選手がエースになること以外、興味がないんですもん。お好きになさって下さい」と一人しらけムードだ。
 スパーリングということで続いてもう一人。最後の人間が登場した。それは何と! “一番”と胸に大きく書かれたTシャツを着用し、眼鏡姿のTAJIRIだった!
 堂々のリングインで、会場からは「TAJIRIコール」が全開! 「ニューヨークからやってきました、TAJIRIです」そう自己紹介したTAJIRIだったが、審査員の皆様は?マークで頭がいっぱい。
「何なの、そのTシャツ!!」浩子GMはさっそく突っ込みだ。どうやらあのハルク・ホーガンから頂いたTシャツのようだ。島田二等兵もどうも納得のいかない様子だ。「オマエ、形だけ真似して、TAJIRIもどきだろ」
 ここで長尾とTAJIRIによる1分間のスパーリングが決定した。長尾は事前に準備していたバレーボールを掴むとアタックの連打! あまりの迫力にTAJIRIは何も出来ず、コーナーによじ登って逃げるのみ。ここで終了のゴング! スパーリングらしいスパーリングがないまま、終了してしまったことに観客からは「えっー!」の大合唱。
 最終ドラフト選考に移る。なお、途中退場した青木裕子は棄権扱い。リング中央にずらりと並んだ6名の通過者。緊張の一瞬。RGの獲得に名乗りを挙げたのは、浩子GMだった。
「私、これほどの才能の原石を見たことがありません。まぁ、何とかとハサミは使いようと言いますから、いただいておきましょう」(浩子GM)。
 続いてマイケルの獲得に名乗りを挙げたのはモンスター軍。「俺らの漫才に勝てっこないけど、お笑いのセンスは認めるとして。HGの刺客として育ててやるからな」(島田二等兵)。
 そして、田中未由さんを獲得したのは、ハッスル軍。「ハッスル軍としても、インリン様のように強くてパフォーマンスの出来る女性を欲しかった。でも石狩は君が思っているような子ではないかもしれない」(中村カントク)。
 注目の長尾の獲得に手を挙げたのはモンスター軍とハッスル軍。某老舗団体出身で若手レスラー。これからの成長株だけに喉から手が出るほど、獲得したいのはわかる。
「素材は悪くないデース。ユーはハッスラーとしてサクセスしたいのなら、モンスター軍にカモーンデス。ハッスル軍に行ったら、しょっぱくなるだけデース」(アン・ジョー司令長官)。「自分もカントクも、キャプテンも某老舗団体に何かと縁がある。彼のためにもハッスル軍をオススメします」と大谷は語り、どちらの軍も一歩の引かない様子だ。
 長尾に選択権は与えられた。すると、長尾は「前々から決めてました。モンスター軍よろしくお願いします!」とモンスター軍入りを熱望。
 次にTAJIRI。一歩前に出るも、獲得に動いたところはなし。しーんと審査員席は静かまり返ったまま。会場からは「え〜っ」の声。
 そして“カーン”とご丁寧にも無残な落選を知らせる鐘まで鳴ったではないか。
 浩子GMは「偽者ですしね〜。顔が不細工だし、ルックスで言うと健想が100点だったら、あなたは20点」とダメ出しする。島田二等兵も珍しく浩子GMに呼応する。「全然WWEのTAJIRIじゃないよ、しょっぱすぎる」。大谷も「TAJIRIさんと一緒に闘ったことがあるが、あなたは偽者です」。満場一致でリング上のTAJIRIは偽TAJIRIだという結論が下されたのだった。
 TAJIRIは頭を抱えながら愕然……。会場には空しく“TAJIRIコール”が響いた。「そりゃあ、ないですよ……。僕あれだけ外国で頑張ってきたじゃないの〜。クリスマスのハッスルハウスは、凄く面白かったからお役に立とうと思ってやってきたのに、冷たいのはないでしょう」と浩子GMにお情けを求める。
「浩子さん、何とか言ってよ、向こうでさんざん面倒みたじゃないですか?」
 面倒ごとが大嫌いの浩子GM。「本、あげるから」と自身の著作した『ゲイシャ・ガール、リングに上がる』を差し出し追い払おうとするのに精一杯だ。
「おまえ、プロレスのスパーリングだって言ってんのに、何バレーやってだよ!」ふと、開き直ったTAJIRIは、長尾とにらみ合いを展開し、一触即発のムードに。
「お前みたいなのをウドの大木っていうんだよ、くるくるパーですよ」そういったTAJIRI。後ろで見ていた島田二等兵は「おい! ニュー新勢力にいちゃもんつけるのか? オマエがしょっぱいだけだろう? このバッタモンが!」長尾はここで一撃! TAJIRIはいとも簡単に伸びてしまった。
 しかし、立ち上がったTAJIRIは一瞬の隙をつき、攻撃してきた島田二等兵の顔面に毒霧噴射! さらにはアン・ジョー司令長官を捕まえ、ロープを利用して必殺のタランチュラ! ここで妙に納得をした審査員たち。
「本物だ!」ハッスル軍が大慌てで入札し、TAJIRIのハッスル軍入りが決定したのだった。
「これで3月から面白くなってきました。ユーにモンスター軍の恐ろしさを骨の髄までわからしてやりマース! しっかりとメモリーしなさい!」と捨て台詞を吐きながら、モンスター軍はいそいそと引き揚げたのだった。
 リング上を占拠したハッスル軍。何ともハプニングの連続だったが、これにて「ハッスルオーディション2006」は無事に終了したのだった。3月からのそれぞれのニューカマーたちの活躍が楽しみである。


第3ハッスル

5分40秒 53才→片エビ固め

 念願の天龍戦が決まり、モチベーションの高い坂田だったが、パートナーの崔は神妙な表情で何やら悩んでいる様子。崔はちょっと遅めの書初めに何を書くのか、悩んでいるという。
「試合前に精神統一するのにはいいな」と崔の書初めを見守る坂田。しかし崔が半紙に書いた文字は『板田軍団入り』。いきなり漢字を間違える崔に「間違っているぞ」とツッコミを入れる坂田。崔に変わって筆を持つと、書道7級という中途半端な腕前の坂田は「書道で肝心なのは心だよ」と言いながら、『天りゅうブッ潰す』と、“りゅう”の漢字が書けていない…
「冗談だよ。今年は“げこくじょう”だ!」と書いた文字は『下売上』。微妙な表情を浮かべる崔を横目に「…よ、よし。俺の座右の銘だ。“いっきとうせん”!」と三度筆を握った坂田だったが、半紙には『一気当選』の文字が。どうやら漢字は苦手の坂田であった。
 しかし漢字が書けようが書けまいが、プロレスには関係ない。坂田は「俺はちまちましたことが嫌いなんだよ。バカバカしい。正式に坂田軍団に入りたいんだったら、今日の試合頑張れよ」と、崔にハッパをかけた。
 先にリングインし、天龍&安田組を待ち構える坂田と崔。天龍がリングに上がると、坂田はいきなり天龍につかみかかろうとする。

閉じる そんな坂田を押しのけて、崔がいきなり天龍にキックを見舞う。やはり今日は気合いの入り方が違うようだ。崔×安田のマッチアップでゴングが鳴ると、崔は安田の蹴り足を取ってドラゴンスクリュー。ミドルキックで安田を吹っ飛ばし、安田が着ていたTシャツを使って首を絞め上げ、さらに天龍を挑発する。
 崔からタッチを受けた坂田は安田をコーナーに吹っ飛ばすと、手招きのパフォーマンスから天龍にリングインを要求する。そして遂に天龍がリングに上がり、坂田×天龍のマッチアップが実現した。
 天龍にいきなり逆水平を叩き込む坂田。しかし天龍は余裕の表情でそれを受け流すと、これが本物の逆水平と言わんばかりに逆水平を叩き込む。そして必殺のグーパンチ! 天龍の強烈な攻撃で坂田は思わず膝をついた。
 ここで両者がタッチ。安田は崔をコーナーに投げ飛ばすと、そのまま顔面を踏み付け。崔の反撃を急所攻撃でかわし、串刺しボディプレスを狙う。崔はそれを自爆させると、巨漢の安田をジャーマンで投げ捨てる。
 崔からタッチを受けた坂田は「この貧乏人が!」と罵倒して顔面を殴りつける。しかし安田は「誰が貧乏人だ!」と言い返し、ダブルアームスープレックスで坂田を投げ捨てた。
 ここで天龍がリングイン。すると崔もすかさずリングに入り、天龍に二人がかりでミドルキックを叩き込み、ストンピングで踏みつける。
 一気に攻め込みたい崔はロープに飛んで大技を試みるが、ここで安田がそれを妨害。さらにパイプイスで崔の頭を殴りつける。
 このアシストを受けた天龍は崔のハイキックをかわして、グーパンチから逆水平。坂田が安田と場外戦を繰り広げている隙をついて、天龍が53歳で崔をマットに沈めた。
 試合後マイクを握った天龍は「坂田、グチャグチャ大口叩きやがって、何だこれは? どうした?」と挑発し、「コールマンを連れて来い。お前のパートナーはコールマンしかいねえだろう」と、坂田軍団のもう一人のメンバーであるコールマンとの対戦を要求。「お母ちゃんとお姉ちゃんのおっぱい飲んで出直して来い」と吐き捨てた。
 その挑発に対して坂田は「俺とは闘ってねえじゃねえかクソ爺! 長州しかり天龍しかり日本のレジェンドは何喋っているか分からないんだよ。はっきり言ってくれ。今日は肩慣らし程度だ。次はベルトもってこい!」と改めてタイトル戦をアピールした。


第2ハッスル

10分00秒 モンスターボム→エビ固め

 浩子GMが健想をエースに仕立て上げたことに対し、不満を言い合うアン・ジョー司令長官と島田二等兵。「どっかの某老舗団体みたいに離脱者はバンバンじゃないですか?」と島田二等兵はハッスルの行く末をしみじみと心配する。「あのおばちゃんがGMである限り、明るい未来は見えまセン!」とアン・ジョー司令長官も心配を隠せない様子だ。
 すると、ここで光輝く物体が二人の前に出現! 何とそれは以前よりも大きくなった、インリン様の卵のようだ。「卵が大きくなるなんってないですよネ〜」と気持ち悪がるアン・ジョー司令長官。
 そこへ、「うろたえるな! アン、島田!」と高田総統が登場。そして、これがインリン様の卵、“イン卵様”だということを説明する。納得したアン・ジョー司令長官と島田二等兵は「イン卵さま〜」とコール。すると、光輝いた卵の中から赤ん坊の姿。何とM字開脚をしながらスヤスヤと眠っているではないか! 高田総統の説明によると、この卵はインリン様が命をかけて残した、生命のエネルギーを結晶化させたものだと判明。いわば生きた卵。意識も自我もあるとか。「卵ついでに教えてやろう」そう言った高田総統は唐突にレクチャーを開始。
「殻を破る前のたまごは“卵”という字を書く。そして一度、殻を破って食材となったたまごは“玉子”と書く! どうだ、わかるかな?」
 高田総統のどうでもいい無駄知識のお披露目の前に、島田二等兵&アン・ジョー司令長官は“へぇ〜”ボタンを連打。二人は“満へぇ〜”に限りなく近い見事な押しっぷりだ。島田二等兵とアン・ジョー司令長官につられた高田総統は「ヘイヘイヘイヘイヘイヘイ」とHGのセリフをぱくりながら「お控えなすって、お控えなすって」と言葉をつなぎ暴走っぷりを発揮。
「最近の総統はちょっとやりすぎデース」とアン・ジョー司令長官も呆れ顔のご様子だ。
「このイン卵は神聖極まりない。この卵がかえる瞬間、その時こそ、モンスター軍が真に勝利するときだ!」と高田総統は意味深な発言をする。
 次のハッスル仮面との対戦に頭を悩ます島田二等兵とアン・ジョー司令長官。ハッスル仮面イエローの人気もうなぎ上りであるため、アン・ジョー司令長官はニューモンスター投入の案を高田総統に提案する。「そんなことはすでに承知済みだ。すでに手は打ってある」と高田総統は焦りを見せない。密かに採取したハッスル仮面のDNAを、モンスター研究所は培養に成功したとか。ハッスル仮面の能力を100%コピーし、さらに高田総統のビターンでパワーアップした究極の対ハッスル仮面用のモンスター、その名も、モンスター仮面パープル、ブラック、ホワイトが誕生したのだ。「ハッスル仮面の最期の日となるだろう」そう言い放った高田総統はビターンを放ち、姿を消した。

閉じる 最初にモンスター仮面のパープル、ブラック、ホワイトが登場。リングに上がると「ウィ・アー・モンスター!」のポーズを決める。続いて、ハッスル仮面の登場だ。ハッスル仮面の3人はコーナーに立ち、ハッスルポーズを決め、勢いよくリングイン!

 先発は、ハッスル仮面ブルーとモンスター仮面ブラックだ。ブラックはいきなりのトラースキックからフロントチョーク。そのままブルーのバックを制したブラックは腕を締め上げる。そしてぐいぐい絞り上げる。
 続いて、ハッスル仮面レッドとモンスター仮面パープルが対峙。探り合いの状態から、パープルはストンピング連打。そして華麗な技で攻めると、ハッスル仮面イエローを挑発した。挑発に乗ったイエローはたまらずリングイン。しかし、モンスター仮面はいきなり3人総出でイエローを集中攻撃! 2人で巨体のイエローを押さえ込んだモンスター軍。そのままパープルはドロップキックで追撃する。たまらず場外に逃げ出したイエローに対し、島田二等兵が持っていた水筒で一撃! イエローは一気にピンチ! リング上では、モンスター仮面ホワイトとハッスル仮面ブルーがリング上でやり合う。
 ホワイトがマウントパンチを連打。グロッキー状態のブルーに対し、ホワイトは背骨折りで腰をピンポイント攻撃だ。モンスター軍優勢のまま、試合は続く。ホワイトはツープラトン攻撃を決めた。ブラックもぐいぐいとブルーに対し、腰攻撃。ブルーは一瞬の隙を突いて、イエローにタッチ! 
 イエローはラリアットでモンスター仮面を蹴散らすと、ホワイトを集中攻撃。反撃に出たホワイトは蹴りの連打からドロップキック2連発。何とか耐え切ったイエローはドロップキックからぐだぐだの619! コーナーに上り、トドメをさそうとするイエローだったが、ブラックが阻止。イエローは場外に落ちてしまった。
 リング上では、ブラックとレッドが最後の一騎打ち。フランケンシュタイナーにいくレッドだったが、誤爆。モンスター仮面がツープラトンの攻撃から、最後にパープルがパワーボムでフィニッシュにつないだ。大の字に伸びたハッスル仮面レッド。それを見ながら「思い知ったか、ハッスル仮面! これはほんの軽いウォーミングアップです! 3月にユーたちは全滅させます。そしてモンスター軍は一気に増員します。ハッスル仮面! モンスター仮面の恐ろしさをメモリーしなさい!」とアン・ジョー司令長官はさも、自分が今闘ったかのように勝ち名乗りを上げる。中村カントクも思わずたじろいでしまった。意気揚々と引き揚げるモンスター軍。ハッスル仮面レッドは仲間にかつがれながら、控え室に引き揚げていった。


第1ハッスル

5分36秒 おきて破りの逆STO→片エビ固め

 実はここまでハッスルではシングル戦全敗の健想と軍鶏侍。健想は浩子に「あんなのちゃちゃっと片付けなさい」と、軍鶏侍は小川に「今回こそAHE(当たれば百発百中エルボー)をお見舞いしてやれ」と送り出されてリングに上がった。屈辱の無勝街道を突き進むのは健想か? 軍鶏侍か?
 エプロンサイドで健想コールを送る浩子だったが、客席からは軍鶏侍コールが起こる。健想にとっては完全にアウェーだ。

閉じる 軍鶏侍コールを受け、エルボーで健想をひるませる軍鶏侍。しかしすぐに健想は軍鶏侍を投げ飛ばし、強烈な逆水平を叩き込む。ボディプレスはかわされたものの、フロントキックで軍鶏侍をふっ飛ばす健想。軍鶏侍のエルボーを受けても、強烈なラリアットで一蹴した。やはり健想と軍鶏侍では役者が違うのか?
 ブレーンバスターで軍鶏侍を投げ捨てた健想。さああとは軍鶏侍をフォールすれば勝ちというとこまできた健想だが、ここで浩子にかけよって無駄にポーズを決めてアピール。後ろからこっそりと近づいた軍鶏侍に丸め込まれて危うくカウント2でそれを返す。全く学習能力がない健想である。
 しかし健想はすぐに立ち上がり、軍鶏侍をボディスラムで叩きつけると、強烈なギロチンドロップを落とす。
 そのままリング下に降りた健想は、軍鶏侍のセコンドの小川と睨み合い、何と手負いの小川に逆水平をお見舞いする。それを見ていた軍鶏侍はリング内から健想にミサイルキック、場外で健想を鉄柵に叩きつける。
 流れを掴んだ軍鶏侍はリングに戻って健想にエルボー連発。グロッキーの健想をリング中央に寝かせて、「今日こそ決めるぞ」とアピールして、トップロープへ駆け上がった!
 そして健想目がけてダイブしたのだが…やはり目測を誤り自爆。さすがの健想も「うそでしょう」とびっくりした様子。最後は自爆でもだえる軍鶏侍にヒザ蹴りを叩き込み、掟破りの逆STOで健想がハッスル初勝利を上げた。
 軍鶏侍のエルボーで口から大流血の健想さが「しょっぱい。お前、ウォーミングアップにもなりませんよ」と軍鶏侍を“しょっぱい”扱い。さらには「小川先輩、今度は僕とやってくださいよ」と、空気を読まずに小川への対戦要求までぶちあけた。
 そんな健想に「おい、お前の底力は軍鶏侍とどっこいどっこいなんだよ。足が治ったら、お前にはハッスルのエースが無理だって事を教えてやるよ」と小川。「それまでせいぜい頑張れよ」と捨て台詞を残し、軍鶏侍を連れて、控え室へと帰っていった。
 一人リングに残った健想は「僕はどんなことがあっても、ハッスルのエースです。そして世界のスーパースターです」と、相変わらずの空気を読めないコメントを残すのであった。


鈴木浩子新GM登場

 リング上には浩子GM、鈴木健想によるニュー軍団『鈴木家』が登場。
「ようこそ。2006年一発目のハッスル・ハウス。私、新GMの鈴木浩子でございます」と、超満員の観衆に挨拶を行う浩子GM。
「ワタクシ誓います。今年こそこのハッスルを、世界のエンターテインメントに成長させてご覧にいれましょう。その手始めとして、来月、3月5日の横浜、9日の後楽園にある選手の参戦を決定いたしました。元WWEスーパースターズ、そしてワタクシの元・同僚チーム3D!」と、あのWWEのトップファイタータッグであるチーム3Dの電撃参戦を発表したのである!
 しかし、浩子GMによれば「と・こ・ろ・が、このチーム3D。今回はハッスル軍にもモンスター軍にも、そしてこの鈴木家にも属す事無くハッスルを査定したいと言い出した! 受けて立ちましょう! このチーム3Dが他の団体に立っても見られない試合、日本いや世界のプロレス界があっと驚くカードを組んでみせます!」と宣言した。
 続いて本日のカードを発表。第1ハッスルには、いきなり“とりあえず3月のエース”鈴木健想が登場し、藤井軍鶏侍と対戦するという。場内からは「しょっぱい!」の声が乱れ飛んでしまった。
 だが、そんな事で動揺する浩子GMではない。「しょっぱくない! しょっぱくないわよぉ」と観客を諭し、「世界のエンターテインメントと垢抜けない日本のエンターテインメントの差を明確にすべく、世界のエンターテイナーの鈴木健想を起用しました。ダーリン、カモ〜ン」と甘い声で、夫・健想を呼び込む浩子GM!
「健想さん、あちらにもこちらにも“しょっぱい”って言われちゃったわよ」と釘を刺す浩子GMだったが、「でも今日はね、大した事ない。大丈夫。今日の対戦相手はね、大晦日に足を骨折したおっちょこちょいの弟子なんですって。ま、大した事ないですから、サクッと勝って勢いつけちゃいましょう」と、早くも勝った気でいる浩子GMであった。
 その時、場内に響き渡るあの声が! 「おっちょこちょいで悪かったな!」そう、“キャプテン・ハッスル”小川直也の登場である。
「おい、バカ夫婦!」と鈴木夫妻を睨みつける小川。「いいかよく聞け。ハッスルは俺たちハッスル軍が命がけで創ってきたんだよ。何でポッと出のお前たちが仕切ってんだよ。それにな、あの“パワーアップでオー!”(浩子GMの命によりハッスル・オフィシャルポーズに認定された)は、俺が細木数子先生から頂いたものなんだよ! 俺に断りもなしに、勝手にオフィシャル化してんじゃねぇぞ!」と怒鳴りつけた。
 すると浩子GM、やはり微動だにせず「小川さん、あんたねぇ。そんな大きな図体してみみっちい事をぴーちくぱーちくと! いいじゃないの、これでハッスルが元気になるんだから。あんたね、GMとして言わせてもらいますけど、大晦日? 私たちあのクソ寒い中、わざわざ埼玉まで行って、トークショーまでして! もうこれじゃあね、骨折り損のくたびれもうけよ! まあ、あんたはね、ガッポリ儲けてよかったかもしれないですけど!」と、小川に毒づく。
「あんたね、それでハッスルのイメージがグーンと落ちちゃったら、どう責任をとるおつもり?」と浩子GMは小川に詰め寄る。
 小川は「人の心配しているよりも、まずはお前のそのバカ殿のような格好、どうにかならないものなのかよ!」と浩子GMの衣装に噛み付くが、浩子GMは「バカ殿ですよ。あたしは世界のバカ殿ですよ! 今後はね、そういう軽はずみな言動は慎んでください」と開き直る。
 するとそこで、観客席から「可愛い!」との声援が。「そうよね?」とさらに調子付く浩子GM。「そういえば健想さん、この方、私たちの大学の大先輩なんですって! 挨拶しておきましょうか」という事実も明らかにした。
 健想はニッコリと笑い、「小川先輩! 足折っちゃったみたいですけど、大丈夫ですか? 先輩、俺マジでね、先輩をおんぶしてハッスル! ハッスル!! やりましょうか、せんぱーい!」とはしゃぐ。
 これには小川も憮然として、「あのよ、お前みたいなアホな後輩をもった覚えはないんだよ。お前、ハッスルで1回も勝った事がないらしいな。かみさんがいなければ、ただのデクの棒じゃないかよ! まあ、この3月も連戦連敗してちょうだい。お前にはな、負けないんだよ!」と言い返す。
 そこへ割って入ったのが浩子GMだ。「冗談じゃないわよ。何でウチの健想さんがこんなニワトリみたいなのに負けなきゃいけないの」と、軍鶏侍を指差し、「ちゃっちゃと片付けて、帰りましょう」と言い放った。


オープニングムービー

 続いてスクリーンには、「ハッスルとは日本のプロレス界を根こそぎ壊滅しようとする高田モンスター軍と、それを阻止せんとするハッスル軍の壮大なるファイティングオペラである」というお馴染みのフレーズが流れたのだが……。今回はそのフレーズに続きがあった。
「だったはずだが……。今年からは世界に発信する壮大で神聖なる真のエンターテインメントである」
 そう、三代目GMに浩子夫人が就任した事によって、ハッスルは大きく方向転換させられてしまったのだ。
 VTRは続く。「我々はあえて身の危険を冒し、ある疑問点を検証してみようと思う。それはズバリ、鈴木浩子・新GMは果たしてそんなにキレ者なのか?」と、大胆不敵にも浩子GMを検証するというのである。
『疑問その1』は身内に甘い事。ハッスルで格下ばかりに3戦全敗の夫・鈴木健想を3月シリーズのエースに仕立て上げた事だ。公私混同もはなはだしい。
『疑問その2』は同性には厳しい事。ご存知のとおり、“ハッスル・マドンナ”こと青木裕子に噛み付き、一方的な言いがかりの末にハッスル中継解説の座を勝手に降ろしてしまった。
 その新GMが初プロデュースする今大会では、ハッスル軍とモンスター軍の抗争に『鈴木家』が本格参戦。一体、どんな展開を見せるのか?


江頭2:50による諸注意

 オープニングのVTRに現れたのは“ハッスルあちち”こと大谷の後姿……と思われたが、次の瞬間、ガウンを脱いで現れたのは“似すぎている男”江頭2:50だった!
「ハッスル2006年一発目の大会だ! 今日の大会がコケたら、俺が落としたように見えるから、絶対にみんなハッスルしろよ!」と呼びかけ、「盛り上げなかったヤツの家には、俺が行って“ダイブ”いや、“江頭アタック”しまくるから覚悟しておけ!」と、脅迫にも近い脅しをかける。
「それとここで、お前らにお知らせがある!」と、絶賛発売中のDVD付きハッスル公式読本を宣伝。「そしてもう一つ、お前らに一言ものもーす!」とテンション上がりっぱなしの江頭。「これすっごく大切な話だから、よーく聞け! 最近、イベントの進行を妨げる質の悪い野次を飛ばすバカがいる! 特に後楽園大会では、独りよがりの野次が目立つんだよ! それ、面白いと思ってんの? 実はお前だけだぞ! よーく周りを見てみろ、だ〜れも笑ってない!」と、悪質な野次を飛ばす一部の心無いファンを一喝だ。
「あまりのセンスの悪さに、総統も相当怒ってんだよ!」……シーン……江頭渾身のダジャレは、見事に滑ってしまった。気を取り直した江頭は、「どうだ、こんな空気にしてんだよ!」と逆ギレ。「お前らの寂しい気持ちは分かる。でも、進行の足を妨げるような事はするな! な! そんな役立たずな元気があるんだったら、もっと選手を応援しろ! そうしたら、テンションは2倍、3倍、6倍、100倍、500倍ぐらいいくぞ!」と言いながら、ますますテンションの上がっていく江頭!
 しかし、ハッと我に帰り時計を見ると「いかん、バイトの時間だ!」と苦しい台所事情を露呈してしまう。「でも、最後にこれだけは言っておく」と江頭。「1クールのレギュラーより、1回の伝説だ!」と、あの名言を繰り出し、「1回の伝説より年間のスポンサーだ!」とKYORAKUほか、ハッスル協賛各社の紹介をするのであった。