ファイトカード

高田総統劇場

「モンスター軍なんてな、この黄金トリオにかかればイチコロなんだよ! 聞いてんのか、高田!?」
 勝どきをあげる小川の声に、あのお方の声が被さった。
「おい、何が黄金トリオだ。この3バカトリオが!」
 威風堂々のテーマ曲が鳴り響き、高田総統がついに仙台の地に降り立った! が、場内から起こるブーイングもそーとーコールもまばらである。
「おい、(前を指差して)総統コールここだけだよ。それになんだ、この匂いは? 臭いよ。去年、青森に行ったんだが同じ匂いだ。これが東北独特の田舎臭だ! キミたちはすでに鼻が曲がっているから分からないだろう」と、ご機嫌ナナメな高田総統。いつものように“出て来いやーっ!”という声が飛ぶが、「それは友人だよ!」とさらに怒りが増していく。
「いなかっぺでごじゃっぺな仙台の諸君! ご機嫌いかがかな? 我こそが高田モンスター軍総統・高田だ!」
 総統のご挨拶も虚しく、場内からは申し訳ない程度のそーとーコールとブーイング。「もういいよ、テンション落ちるから」とさすがの総統も諦めた。
「今回、私はこの仙台でモンスター軍の養成所を作る、そんな計画を進めていたんだ。しかし、あることに気づいた。あの耐震強度偽装事件で、散々世間を震撼させた、そして騒がせた姉○元一級建築士。そしてだ、事もあろうにヒュー○ーの小嶋社長もだ。分かるだろう? あの二人、揃いも揃ってこの宮城県出身らしいな! 全知全能のこの私も、ちょっとだけたじろいだよ」
 場内からは一斉に笑いが起こるが、「笑ってる場合じゃないよ!」と仙台市民をたしなめる総統であった。
「ある意味、私に言わせてもらえば2人はとんでもないモンスターだよ。その事実を知って、私は直ちに養成所を作る計画を中止したんだ。だってそうだろう? 我がモンスター軍に、あのような私利私欲にまみれた県民性を注入されてはロクことにならんからな! ワッハッハッハッハッハ!」
 県民性をバカにされたことよりも、なぜかモンスター軍養成所の建設中止を聞いて残念がる仙台のファン。ご満悦の高田総統をHGが制した。
「セイセイセイ! 相変わらず話が長いですねぇ、その時間があれば包茎手術くらいなら出来ますよ! 前回、あのドSのニューリンにやられたおかげで危うく私、勃起不全EDになってしまうところでした〜。しかし、私はブラジルへ渡ってあの絶倫ペレにご指導してもらい、私の股間は今、炊き立てのササニシキのようにふっくらと立ちまくってますよ〜! 下ネタ、フー!」
 HGに続いたのはサスケだった。
「高田総統! 私は同じ東北を愛する岩手県会議員として言わせていただきますぅ」と金八先生口調のサスケは、「あなたのその地方をバカにする発言の数々、私は絶対に許しましぇん! それはね、東京に住む人間の思い上がりですよ! いいですか? 人という字は、都会と田舎が支え合って出来ているんです! 分かりましたか?」と説教モード。
「おい! 薄っぺらいぞ、この野郎!」と割って入ったのは、最近は高田総統に匹敵するマイク・パフォーマンスを誇ると評判の川田であった。
「お前が議員やってる方が、よっぽど東北のイメージダウンになるんじゃないのか? それとだ、お前普段はマスクしてるのをいいことに、夜は素顔でチョメチョメしてるらしいな。悪さばっかりしてるんだろう?」と、またしても情報ツウぶりを発揮する川田。一体、この男の情報源はいくつあるのだろうか? 動揺するサスケを見て、川田は「この野郎〜!」とバッドラックに続いて高田総統のお株を奪ってしまう!
「どっかで聞いたようなセリフだな…」これには高田総統も動揺を隠せない。二人のマイク主導権の争いはまだまだ続いているようだ。
 してやったりの表情の川田は続ける。「それと、今日は議会はどうしたんだ? まさか、すっぽかしたんじゃないだろうな?」
 この川田の言葉に、サスケの怒りが爆発した!
「こらぁ、川田くん! このバカチンがぁ! 土日は議会はありましぇ〜ん! そういうこと言ってると、あなた訴えますよ。それと、高田総統! 白使はこの東北に取り返しましたよ!」
 ところが、高田総統はまるでいま思い出したかのように、「ん? そういえば、そんな奴もいたことをすっかり忘れていたよ。分かった、白使のモンスター軍入りは今日で“白紙”だ。ワッハッハッハッハッハ!」と自分の強烈なおやじギャグにウケる高田総統!
「高田総統! 今のダジャレはセイ! でしょう。そんなダジャレは野口五郎以下じゃないですか〜。そんな事よりも私はね、どうしたらあなたが本番プレイをする気になるのか、よくよく考えたんですよ。そして、ようやくその答えを見つけました。キャプテン、言ってやって下さい!」と、HGはなにやら意味深な事を言う。その言葉を受けて、小川が「いいか! びびってたじろぐんじゃねえぞ! これだ!」と何かを取り出した。
 卵だ! 直径20cmほどで最初のイン卵様に似ているが、表面に書かれている文字は“M”ではなく“A”である。しかも、なぜか下の方がしゃくれるように尖っているのだ。
「何かと思えば、低レベルな猿真似じゃないですか! ユーたち、インリン様が命がけでお産みになったイン卵様への侮辱は許しません!」と怒るアン・ジョー司令長官だったが、小川は「うるせえ、ダボハゼ! これはな、タダの卵じゃねえんだよ。よーく見てみろ。これ、アゴが出てるだろ、アゴが! 名づけて“タマアゴ”だ!」とその正体を明かす。
「タ・マ・ア・ゴ?」と不審な表情を浮かべるアン・ジョー。
 小川は続ける。「いいか? よーく聞け! 来月の『ハッスル・エイド2006』で、この中から500%お前がビビッてたじろぐモノが出て来るぞ。覚悟しておけよ!」。
 するとここで、TAJIRIが割って入る。
「解説させていただきます。そのタマアゴはですね、誰が産んだとか生物学的にどうだとかは関係なくて、我々が高田モンスター軍を本気で叩き潰すということ、それから高田総統をリングに上げることが本気だということの決意の象徴なんですね。これがだんだん大きくなって、この卵の中から“ダーッ!”と人物が現れる、そういう事なんですよ。現代における究極のメルヘン、それがこの卵なんですよ。もう心理戦が始まっているんです」
 一体どこで息継ぎしているのかと疑問に思うほど、スラスラと言葉が出て来るTAJIRIのマシンガントーク。待ちくたびれたHGがすかさず制す。
「セイセイセイ! TAJIRIさん、あなたホントによくしゃべりますね〜。ちょっとセイして下さい。それから今日TAJIRIさんに顔射されたニューリン、次は私がお尻ペンペンしてあげますよ! そして高田総統、『ハッスル・エイド2006』では、このタマアゴがあなたの独壇場を許さないですからね!」と宣戦布告だ。
 それを聞いた高田総統、「おい、いま何と言った? 私の独壇場を許さないと言ったのか? この野郎〜!」と、元祖“この野郎〜”をHGに浴びせかけた。が、「ちょっと期待しちゃうじゃないか」となかなか素直な態度。
「せいぜい、大観衆をシラケさせないよう、面白いものを用意するんだな」と、川田にマイクを奪われた時ほどの動揺が見られない高田総統。余裕で葉巻を吹かしている。それどころか、「『ハッスル・エイド2006』の話が出たので、最後にひとつここにいる諸君に言っておこう。6月17日『ハッスル・エイド2006』において、私がかねてから暖めてきた誰もがビビッてたじろぐある計画を裏から実行する! これは、私から諸君へのささやかな気持ちだと思ってくれ。詳細は、近日中に明らかにするから楽しみにしていたまえ」と、逆に高田総統も“ビッグサプライズ”を予告したのだ!
「では、今日はここまでだ。さて、田舎臭い田舎の諸君、バッドラックだ!」
 そう言って、高田総統は去って行った。今日は川田に邪魔をされずに…。
 高田総統が姿を消すと、小川は「サスケ先生、今日はどうも助っ人ありがとう。さすが、東北のローカルスターは違うよな」とお礼を言うが、この失礼な言葉にサスケは「ちょっとちょっと! ローカルじゃないから! 東北のスーパースターだから!」とツッコミ。続いてHGも「サスケ先生! 今日はあなたとタッグを組めて私、感動しております〜。でも、大丈夫なんですか、議会は?」と先ほどからの会話を全く聞いていなかった様子。「だから〜、今日は議会はありましぇん!」と口を酸っぱくさせるサスケだった。
「それより、今日は白使を取り戻せた。ありがとう!」とサスケ。
 大谷も「よぉ〜し! 弾みがついて来たゾォ〜! このタマアゴから出てくるものはな、ハッスル軍に福音をもたらすぞ! 高田総統はもちろん、日本中がビビッてたじろぐ! みんな、期待していてくれ!」と熱いメッセージだ。
 小川は「仙台のみんな、今日はどうもありがとう! また帰ってくるからな」と仙台再上陸を約束し、「今度も頼むぞHG! 最後はキッチリ締めてくれ」と大トリを本日華麗な復活を果たしたHGに託した。
「はい、それでは仙台の皆さん。ご勃起、いや、ご起立お願いします。余計は所は起てなくていいですからね」と下ネタを交えつつ、「スリー・ツー・ワン、ハッスル! ハッスル!! フー!」と締めたのだった。
 6・17『ハッスル・エイド2006』へ向けて、両軍が明かした心理戦とは? ハッスル軍が持ち出した「A」とかかれたアゴ付き卵、“タマアゴ”から産まれてくる物とは? 高田総統が予告したある計画とは? HGとニューリン様&TAJIRIの複雑な三角関係の行方は? 様々な謎を残し、『ハッスル17』は幕を閉じた。

メインハッスル

19分41秒 STOボンバー→片エビ固め

 2年前の『ハッスル5』の直前、元WWEスーパースターでみちのくプロレス所属のレスラーである白使の墓がモンスター軍の手によって暴かれた。そして高田総統のビターンによって洗脳された白使は『ハッスル5』でザ・グレート・サスケを襲撃、そのままモンスター軍の一員に。サスケはキャプテン・ハッスル小川、ニューリン戦からの傷も癒えたHGと東北限定黄金トリオを結成、洗脳された白使奪回を胸に東北の英雄が立ち上がる! 

 ハッスル軍の控え室。HGはグラインドの深い腰運動で準備に余念が無い。相当気合が入っているのか、それとも単なる趣味なのか、後ろを向いている小川の臀部に股間をあてがい始める。
「な、何やってんだよ〜!」と驚く小川に「一緒にアップしましょうよ〜」と誘うHG。 そうしていると背広姿でサスケが登場。議員としての仕事が忙しく、たったいま会場に到着したようである。
「モンスター軍だかなんだか知りませんが『けっぱれ! けっぱれ!』精神で、叩きのめしてやりましょうよ!」と久しぶりのハッスル登場、そして白使奪回にこちらもヤル気マンマンな様子だ。
 HGは「あの東北の英雄とタッグを組めるとあって、私の股間は、一足早く七夕祭りを開催してますよ〜!」と独特な表現で歓迎。すると今や岩手県議会の少子化対策特別委員であるサスケは「実はね、キミにひとこと言いたいことがあるんだ! 君はいったい何年選手なんだ? その腰フリ、ちょっといただけないなぁ」と、唐突に教育的指導。
 ここで小川が「HGはね、子供に夢を与えている男なんだよ。外見だけで判断しないでくれよな」とフォローすると、サスケは「そうじゃありません、キャプテン。そんな腰使いで少子化は食い止められんと言いたかったんですよ! 見たまえ! これこそが正しい腰フリだよ! 少子化対策! オケ〜〜!! アオー!!」と奇声を発して悦に入りながら腰を激しくグラインドする。
 さすが16年選手、腰の動きもグレートだ。HGも負けじと腰をフリフリ、コラボで下半身中心のウォーミングアップが繰り広げられる。
 小川は「そんなことしてないで早く着替てくださいよ!」とサスケを促す。するとHGも「着替え!? 手伝いますよ〜〜!!」と一緒に出て行ってしまう。その光景を見て「先生、また叩かれないといいけどな…。ま、いいや。先生が勝手にやったことだ。俺、しーらねえ」と呆れ顔のキャプテンであった。

閉じる まずはアン・ジョー司令長官が、ドーベルマンのDNAを注入された凶暴なモンスター、ゴモラを引きつれ入場。続いて荘厳なテーマで白装束の白使が登場。成仏できずに彷徨う白使、その目には悲しみの色が見えるかのよう。白装束を脱ぐと全身にはお経が施されていて神々しささえ感じさせる。ハッスル軍はサスケ、小川、HGの順に登場。東北限定黄金トリオが出揃い、リング上は一気に豪華絢爛な風景となった。

 気持ちの先走るサスケがモンスター軍に突っかかる形で試合はスタート。アン・ジョーは白使、ゴモラは小川を捕らえて場外戦に突入。会場内を所狭しとモンスター軍はハッスル軍を引っ張りまわし、試合は序盤から乱戦の様相。サスケはどこからか脚立を持ち出すとリング内に設置。場外の白使にはノータッチでトペ・コンヒーロを放つ。
 続いてサスケはリング内で白使を脚立に横たわらせると、トップロープからトペ・アトミコ。しかし、これはかわされ硬い脚立に壮絶な自爆。悶絶するサスケに対して、白使にかわってリングインしたアン・ジョーがキック、ニードロップの容赦ない波状攻撃。
 続いてはゴモラが登場、サスケの頭に噛み付き、さらに右手一本で高々と抱え上げるとボディスラムで叩き付ける。瀕死のサスケに追い討ちをかけるように白使は打点の高いドロップキック。サスケは動きが止まり逃げることも出来ず、モンスター軍のなすがままに。しかし、ゴモラのダイビング・エルボーを交わすとようやく小川にタッチ。小川はゴモラをコーナーに追い詰めると、ロープの反動を利用した踏み付け攻撃。そして得意の柔道殺法、逆水平チョップで攻め立てる。
 さらにロープを利用した攻撃を狙った小川だったが、ゴモラは旋回式のスクラップバスターで捕獲。力に押され劣勢に成りつつある小川は、ゴモラのラリアットを交わすとバックドロップ。
 ここでHGにタッチ。HGは腰をグラインドさせながらストンピングを見舞うも、強靭な肉体を誇るゴモラには通用せず。ゴモラは立ち上がりHGを威嚇すると、強烈なショートレンジ・ラリアット、そして滞空時間の長いブレンバスターで叩きつける。肝心要の腰をしたたかに打ちつけたHGはグロッキー状態。
 アン・ジョーがさらに痛めた腰に追い討ちをかけるようにボディスラム、逆片エビ固めで攻め立てるとHGは苦悶の表情。ここで白使がフィニッシュとばかりにボロボロのHGに対して念仏パワーボムを狙うが、これはサスケがミサイルキックで何とか阻止。サスケは白使に前方一回転式のスタナーからソバット、キックの厳しい攻めで「目が覚めろ」とばかりに情感のこもった攻撃。そしてHGとドンピシャリなタイミングで見事な合体ドロップキックを見舞う。
 それでも洗脳の解けない白使、HGのリストを取ると念仏拝み渡りから脳天に手刀を落とす。さらにトップロープからのミサイルキックでHGを追い詰める。たまらずサスケが飛び出し白使を攻撃すると、HGも芸術点の高いフライング・ニールキックで逆襲。そして白使の股を広げて腕で極めながら、何度も己の股間を当てる技、その名も「S8(ショックエイト)」を初披露!
 白使をコーナーに追い詰めると、硬くなった股間を駆使して得意のPW。すると突如、頭を抱え苦悩の表情を浮かべ始める白使、総統の洗脳が解けかかっているのか? ダメ押しとばかりにHGは白使を逆さに抱え上げ、念入りに相手の顔面に股間をヒットさせながら69ドライバーを敢行。
 白使が大の字になると、ここで厳かなBGMが場内に。すると白使は起き上がり、味方であるはずのアン・ジョーにトラースキック! 乱入してきたゴモラを小川とHGがブレンバスターで投げつけると、白使はトップコーナーに上がり、場内をゆっくり見渡し何かから吹っ切れたかのように豪快なダイビングヘッドバットを見舞う。アン・ジョーに狙いを定めたハッスル軍は小川、サスケ、HGの順でドロップキックの三重奏。最後は小川がSTOでアン・ジョーをマットに沈めた。
 洗脳が解けた白使ではあるが、事態を把握できないのかその目は虚ろ、まるで行き先を探すようにリング下をさまよう。白使奪回に成功したサスケは「棺桶を持ってこないと! 早く白使を元のこの東北の宮城県某所にあるという墓に返してあげようよ!」と呼びかける。ハッスル仮面が持ってきた棺桶の中に、まるで何かを悟ったかのような表情で自らその体を横たえる白使。
「ゆっくりと安らかに眠ってください。そしてまた、東北を温かく見守ってください」とサスケは名残惜しそうながらも見送りの言葉。2年の時を経て、こうして白使は帰るべき場所に帰っていった…。
 サスケは「これがハッスル軍最強トリオだー!」と高々と勝ち名乗りを挙げ、小川も「モンスター軍なんかよ、俺たち黄金トリオにかかればイチコロなんだよ! おい、聞いてんのか高田!」と宿命のライバルに呼びかけたその時、あの声が天から響き渡った!


セミハッスル“ハッスルスーパータッグ選手権〜坂田軍が負けたら青木裕子が即水着マッチ”

13分14秒 前方回転エビ固め

 いまやハッスル軍とモンスター軍の二大勢力に迫る勢いを誇る、武闘派集団・坂田軍。今回の試合はモンスター軍の川田&佐藤との『ハッスル・ハウスvol.14』で苦杯を舐めさせられたリベンジマッチである。
 しかも、今回の再戦には大きな意味がある。ハッスルスーパータッグ選手権が賭けられているから? いや、違う。坂田の提案によって生まれた「青木裕子、負けたらその場で即水着マッチ」だからである!
 全国の20代後半〜30代前半の男性諸君のアツい注目を集める一戦、いよいよゴング!

閉じる いつものように白いジャージに身を包み、坂田に寄り添うように入場してきた青木裕子。水着マッチである事が認定されると、首を大きく振って抵抗する。そんな事はお構いナシに認定書は読み上げられ、本人の意思は全く無関係に試合はスタートした。
 坂田と熱い抱擁を交わし、崔のハグ要求はさっとかわしてリング下に陣取る青木裕子。頼れるのは坂田だけ、という雰囲気が溢れている。
 試合では『ハッスル・ハウスvol.14』でも繰り広げられた、川田と坂田によるチョップ合戦再び! お互いの胸がミミズ腫れで真っ赤になる。が、押していくのは坂田の方だ。全身に力を込めて耐える川田。が、チョップ合戦はやめてトラースキック、そして顔面蹴りだ。
 これにキレた坂田は「いてぇだろ、この野郎!」とやはりチョップ連発! 川田もこれに応え、強烈なチョップで逆襲するとローキック連打だ。しかし、坂田はロープにしがみついてダウンを拒否する。
 川田のビッグブーツ二連発、とことん張り合おうとする坂田はロープの反動を利用してのビッグブーツを狙うが、待っていたのは川田のラリアットだった。。
 川田は佐藤にタッチ。しかし、坂田は軽々と佐藤をリング下に放り投げると、川田に「出て来い!」と挑発する。その間に崔が佐藤をリング下で痛めつけ、リングに上げると坂田はストンピングとローキックを連発だ。一方的に蹴られ続ける佐藤。
 坂田が崔にタッチ。崔は坂田が痛めつけた右足を狙って、逆片エビ固め。何とかロープに逃げた佐藤だったが、坂田のサマーソルトドロップ、ロメロ・スペシャルのように固めた所へ佐藤がキックの一撃。
 今度は佐藤をチョップで痛めつける坂田だったが、佐藤に首投げで逆転される。満を持して川田にタッチ。川田はキックを織り交ぜながらストレッチ・プラムやブレーンバスター、ビッグブーツに顔面蹴りと坂田に猛攻を加えていく。佐藤と二人で交互に坂田に蹴りを見舞う。
 完全にグロッギーとなった坂田に、佐藤はトドメのジャーマン・スープレックスの体勢に入るが、なんと坂田はレフェリーを抱きかかえて一緒に投げられてしまった。フォールに入る佐藤だったが、レフェリーは完全にダウン。カウントが入らない。
 慌てた川田はレフェリーの手をとってカウントを入れようとしたが、崔がそれをストップ。ならばと佐藤が後ろから抱えた坂田へ、ハイキックを見舞った川田。しかし、間一髪で坂田がこれをかわした! 誤爆され、ダウンする佐藤をエビ固めに丸め込む坂田。カウントは3! 場内から、いや、全国から男性諸君のため息が洩れた。
 坂田&崔組はハッスルスーパータッグチャンピオンの座を見事初防衛。坂田は「どうだ? 仙台の猿どもよ! お前ら裕子の水着姿が見たかっただろ。こんなんだけど脱いだら凄いんだぞ。でも、お前ら猿は一回、発情すると治めるのが大変らしいからな!」と勝ち誇る坂田。
 崔も「心配するなって言ったやろ、裕子! 俺と兄貴が本気を出せばな、誰にも負けんやろ! 思い知ったか、ボケ!」と川田&佐藤を挑発する。
 すかさずマイクを握って反論する佐藤だったが、「×●▼■×〇$☆!」全く何を言っているのか分からない!
「は? 何ゆうてんの、自分? のど、手術した方がええんちゃう?」と忠告する崔。坂田も「ただガナってるのを騒音っていうんだよ! 騒音おばさんって知ってるか? 訴えるぞ!」と法的手段を持ち出すほどである。
 たまらず川田がフォローに入る。「耕平、確かにお前の言葉は何にも伝わってない。でもな、その悔しさは充分、伝わってるぞ。男はな、黙って勝負すりゃいいんだよ」と佐藤を慰め、矛先を坂田へ向けた。
「アホの坂田! お前、俺とやりたいっていってるけど、俺はな、そんな安くねえんだよ! そこにいるくたびれた姉ちゃんよりも、お前の本物の彼女を連れて来いよ!」と爆弾要求だ。
 さらに、「お前、彼女とお忍びで温泉に行ったらしいな。しかも、彼女に高級温泉に連れて行ってもらったらしいじゃないか!」と、相変わらず情報通の川田であった。
「その彼女の水着姿を賭けるなら、考えてやってもいいぞ。そういうことだよ、バッドラックだ!」と、TAJIRIのニューリン様に対する食いつき以上の食いつきを坂田の彼女に対して燃やす川田。実はファンなんじゃないのか?
 坂田はそんな川田の言葉を無視して、「いいかモンスター軍、いずれお前らを追い詰めて、ハッスル軍より先に高田総統をこの俺がリングに上げてやる。よーく覚えとけ!」と宣言したが、川田は「その前にな、お前の彼女を追い詰めてやるよ」と鋭いカウンターパンチ。言葉を失い、立ち尽くす坂田。試合には敗れたが、マイクアピールでは川田が完全勝利を収めた。
「おい、そういう事にはな、政治的な問題があるんだよ!」とやっとの事で反論した坂田は、怒りをファンにぶつけ始めた。
「この田舎モノどもが! 田舎モノに田舎モノと言って何が悪い! お前ら、東京を見たことがあるのか?」
 場内は大ブーイングである。ある意味、モンスター軍以上の大ヒールと化した坂田。その中には、男性諸君の坂田に対する嫉妬心も含まれていることも忘れてはならない。「グダグダやらせるな、収集がつかないだろ! とにかく、ハッスル軍よりも先に俺たちが総統を引きずり出してやるからな!」改めて宣言すると、坂田は青木裕子と共に去っていくのであった。


ニューリン様登場!

 勝利を収め、マイクを握ったTAJIRIは「ニューリン様〜。もし聞いていたらリングに上がって下さい、それとも最後のトリに出るつもりでお着替え中でしょうか?」と、『ハッスル16』でそのベールを明かしたNEWインリン、略してニューリン様を粘着気味に挑発。
 すると「黒ひげ、うぜえんだよ!」の声と共に、足元をルーズソックスで固めた露出多めで制服風のエロカワなコスチュームで、ニューリン様がエプロンサイドに姿を現した。その後に慌てて島田二等兵、バボが追ってくるのを見ると、これはモンスター軍にとっても想定外のハプニングの様子。
 ニューリン様は「暇でもてねえ、仙台の豚ども! アタシの名前はNEWインリン。お前ら、私をニューリン様と呼べ!」と凶暴性を露にした命令口調で場内に要求。島田が「発音には注意しろよ! せーの」と煽れば観客は「ニューリンさま〜!」と東北初お目見えのニューリン様に歓迎のレスポンス。
 ニューリン様がイン卵様だった頃から、異様な執着心を見せているTAJIRIは「ニューリン様〜、いやぁ憧れのニューリン様が目の前にいる〜。あ〜、ニューリン様の吐息を感じる。ニューリン様の肌の温かさを感じちゃうな…。もう、僕の頭の中はあなたのことでいっぱいなんです」と病的にラブコール、心底から興味津々の様子である。
 それに対してニューリン様は、「はあ? うぜえ!」とつれない冷たい態度。すると素に戻ったTAJIRIは、「あ、勘違いしないでくださいね。僕は結婚してるし子供もいるし犬も飼ってますし、そうじゃなくて、あなたがどれくらい強いのか、肉体と肉体のコミュニケーションで知りたいなぁと思って。ニューリン様、 僕と『ハッスル・エイド2006』で勝負して下さい!」と改めて対戦を表明。
 しかも、その舞台に選んだのは『ハッスル・マニア』と並ぶビッグマッチである『ハッスル・エイド2006』。この一戦に対する並々ならぬ決意が感じられる。
 するとニューリン様は鼻で笑いながら「そんなにヤリてえなら、アタシの靴をなめてみろよ! そうしたら考えてやるよ!」とSっ気タップリに返答。ドMにはたまらないシチュエーションだが、世界のスーパースターTAJIRIがプライドをかなぐり捨て果たしてそんなことをするのだろうか…?
 見るに見かねたあちちが、「おい小娘、冗談も休み休み言えよ。誰にものを言ってんだ? TAJIRIはな、元WWEのスーパースターだぞ」と、いい加減にしろとばかりに反論。しかし、ニューリン様は「うるせぇ、ハゲ!」とミもフタもない返答。哀れあちち、弱点を指摘され本当に悲しげな泣き顔に。
 そんなやりとりをヨソに、TAJIRIはヒザまづいて四つんばいの状態でニューリン様の足元に近づいていく。あちちが止めようとするがお構いなし。周りの島田・バボもこれには大笑いだ。しかし、まさになめようとしたその瞬間、TAJIRIはニューリン様の不意をついて至近距離からのグリーンミスト! 目を潰されたニューリン様は突然の事態に「この黒ひげ! やりやがったな! 殺す! 殺す! 殺す!」と錯乱に陥いり、バボに抱えられて引き下がる始末に。
 最後に「おい、黒ひげ! 本気で私を怒らせたな! マジでヤリてぇのかよ! どうなっても知らねぇからよ!」とヒステリックに絶叫。TAJIRIの仕打ちで怒りが沸点に到達した様子である。
 その姿に高笑いのTAJIRIは、「ニューリンさま〜。ちょっとはボクのこと気にかけてくれますかね〜。6月17日『ハッスル・エイド2006』で僕と勝負してくださいね、いい返事、お待ちしてます!」と余裕のコメント。
 前哨戦はTAJIRIが一本取った形になった。しかしこのままニューリン様が引き下がるはずはない。一気に対戦の機運が高まってきたこの二人、今後の展開に要注目だ!


第3ハッスル

11分11秒 バスソーキック→体固め

 毎度毎度、日本全国津々浦々でご当地モンスターを発掘し、ハッスル軍を恐怖のズンドコに追い込んできている高田総統。ここ仙台では、果たしてどんな脅威が産み落とされるのか?
 アン・ジョー司令長官が「おそらく牛タン・ハンセンとか出てくるんじゃないですか? ウィー!」とロングホーンのポーズをすれば、島田二等兵は「いやいや、ボクシングが得意の青葉ジョーですよ。(丹下段平のマネで)ジョー! 立つんだジョー!」と似てない物マネを披露。
 二人がご当地モンスターの予想合戦を繰り広げていると、高田総統が「はしゃぐな! このアダルトチルドレンが! お前らのは、ただのダジャレではないか!」と至極真っ当なツッコミ。
 島田がここでご当地モンスターについて尋ねると、総統は「ここ仙台に伝わる、『仙台四郎』の伝説は知っているか? 明治時代に実在した人物、仙台四郎。彼が訪れた店は、その後、不思議と客足が増え、商売がたいそう繁盛したそうだ。そんなことから『福の神』とあがめられた仙台四郎。現在でも、彼の写真や人形を飾っている店も多いという。そこで私は、この仙台四郎の魂を現代によみがえらせ、さらにビターンを加えることで新たなモンスターとして生み出すことに成功したんだ、その名も“仙台市・ロー”だ!」と声高々にその全貌を明かした。
 仙台市・ロー! 思いっきりダジャレではあるが、総統なら何を言っても許される。さらに「得意技は、仙台市経済の土台から打ち壊すローキック。そして、相手の内臓を潰しトロトロにしてしまう『萩の突き』だ!」と、総統はご当地ゆかりの脅威の必殺技を解説。今宵、杜の都・仙台に恐怖のモンスターが覚醒する!

閉じる ゴングが鳴る前にモンスター軍が襲い掛かり、試合はスタート、全員が場外になだれ込んでの乱戦模様。あちちはバンパイア25世を攻めながら「盛り上がっていこうぜー!」と客席を熱くあおる。
 リング上ではTAJIRIと鬼蜘蛛の「クモ」対決。TAJIRIは豪快な水平チョップを見舞い、ロープに鬼蜘蛛を飛ばしてカウンターのハイキックを狙うが、これは素早く回避される。
 続いてあちちとバンパイア25世がリングイン、バンパイア25世はあちちの右足、頚動脈に噛み付く吸血攻撃。それに対してあちちは手を水平に広げて十字架ポーズを決めて対抗。ひるんだバンパイア25世はローと交代、ハッスル軍からは田中が飛び出した。
 終始ニヤけた表情が不気味なローは、いきなりリング中央で正座。当地ではお馴染みの仙台四郎の写真のポーズである。その不可解な行動に戸惑う田中だが、とりあえず真向かいに正座。その状態からローをヘッドロックで固め、ロープに飛ばしてラリアットを狙うも、ローはまたしても正座に座り込みそれをよける。交わされて立ち止まった田中は、思わず後ろから「アホか!」とローの頭をハタく。
 スタンディングになるとローが文字通りの得意技であるローキックで、田中を攻め立てる。田中はそのローをジャンプで交わすとお返しにローを見舞う。するとローは悶絶、意外とモロい。劣勢を打破しようとローが取り出したのは、仙台銘菓「萩の月」。それを握り締め田中の喉もと目がけて「萩の突き」を決めるが全く通用せず、また頭をハタかれる顛末。
 そこで田中は得意の白ギターを振りかぶるもローは回避、逆にそのスキをついた鬼蜘蛛のクモの巣攻撃を食らってしまう。モンスター軍は田中を捕えて集中砲火。ローは田中の口元に「萩の月」を押し込み、返す刀でTAJIRI、大谷の口にも「萩の月」を押し込む。すると大谷は普通に一言「美味いな、コレ」。
 モンスター軍のコンビネーションの前にローンバトルが続く田中だが、ローと鬼蜘蛛を捕らえるとDDTとスタナーの複合技「まとめて」をお見舞い。ここであちちにスイッチ、やっと出番のきたあちちは縦横無尽にモンスターたちを蹴散らし、バンパイア25世をロープに追い詰めると顔面ウォッシュの洗礼!
 ローと鬼蜘蛛が乱入するも、ハッスル軍は三方向のコーナーにそれぞれモンスターを追い詰めて、一斉に掟破りの噛み付き攻撃、そしてドロップキックとハッスル軍中年トリオが見事なチームプレイを見せる。
 リング上ではTAJIRIが25世に風車式バックブリーカーを決められるが、ロープワークを駆使してフライング・ニールキック、その場飛びムーンサルトと華麗なテクニックを披露。鬼蜘蛛とローには見事なハンドスプリング・エルボーを炸裂させ、最後は孤立したバンパイア25世からバズソーキックでフォールを奪った。


第2ハッスル

7分49秒 爆YAMAスペシャル→体固め

 一人ポツンと体育座りし、遠い目で寂しそうに歌うバボ。「苦しくたって〜。悲しくたって〜リングの中では、へ・い・き・な・の♪だけど、涙が出ちゃう。だって僕、バボなんだもん!」。歌はもちろん、『アタックNo.1』のテーマだ。
 そこへ現れたアン・ジョー司令長官、「ヘイ! バボ! 試合前なのになぜ歌なんて歌っているんデスか?」と問いかけると、なんとバボは「司令長官…俺、もう死にたい」と衝撃の告白!
「ワッツ? どうしたんデスか? 何かあったんデスか!」と慌てるアン・ジョー。バボが告白を始める。
「このユニフォーム…バボじゃなくてボバになってるんですよ」と、胸に書かれたVOBAの文字を指差す。まあ、確かにバボというよりはボバと読める。
「なんか、しょっちゅうボバって呼ばれるからおかしいなと思って…。自分の名前を間違われるなんて、某老舗団体じゃこんなことなかったですよ!」と、かつて所属していた団体を懐かしがるバボ。
 しかし、アン・ジョーはそんなバボを一喝する。「ユーはそんな大きな体をして、なに小さいことを気にしているんデスか。いいデスか? これは、Volleyballの略なので、これでバボとなるんデース。高田総統はバレーボールで日本のTOPまで上り詰めたユーの才能を認めて、この戦闘服をユーに与えたんデスよ!」と諭すのであった。
「え!? そうだったんですか?」と途端に表情が明るくなるバボ。
「そうデース! ユーのことを誰よりも考えてくださっているんデスよ」とアン・ジョーが続けると、バボは「そうか…。Vobaはvolleyballの略なんや! そうとは知らずにボバと間違えるとは…アホな奴らや! よし! そうと分かったらハッスル軍の連中にバボの恐ろしさを教えてやりますよ!」と、颯爽とリングへ向かったのだった。
 一人残ったアン・ジョーがポツリと呟く。
「某老舗団体出身は手間がかかるワ…」
 一方、ハッスル軍の控え室ではEricaとマーガレットが打ち合わせ中。
「マーガレット、今日も私たちのパートナーはキンタに頼もうと思うの」と仲良しの金村を指名するErica。マーガレットも「OK! キンタ!」と嬉しそう。
 そこへ現れた金村、「な、マーガレット。俺たちはもう、ホンマの仲良しや。これからは気兼ねなしにお前のことマーって呼ばしてもらうで。お互いキンタとマーって呼び合おうな」と提案する。
「キンタ」「マー」「キンタ」「マー」と呼び合う二人。
 さらに金村は、「そうや。仲良しなんやから、お前がピンチの時は、俺に“守って”って言うんやで」と優しい。マーガレットはさっそく練習だ。「キンタ守って。キンタマモッテ」。
 これには赤くなってしまったErica、「マーガレット、意味が違って聞こえるわよ!」とたしなめるが、突然「あっ! いけない! 私今日、急用でこれからマカオに行かなきゃ。どうしよう、試合…」と困り始めたのだ。
「おい。いくらなんでも、その展開は強引すぎるやろ?」ともっともな金村。しかし、Ericaはそんな声にお構いなく、「どうしよう、すぐ行かなきゃ! キンタ、今からここを出て今日中にマカオに着くかしら?」と心配そう。マーガレットも「キンタ、マカオに着く? キンタマカオニツク?」と心配するが、またしても違った意味に聞こえるのは気のせいだろうか。
 金村が「間に合うと思うで。それより、誰か他のパートナー探さんと」と見渡すと、そこにわざとらしく黒田が通りかかる。
「おっ、黒田! ええとこに来た。試合に出てくれ」と金村が頼むと、黒田は暇だったのか「あ、いいすよ」とあっさり了承。 黒田が「マー、俺もお前とは仲良しだ」と言うと、マーガレットは嬉しそうに「OK。キンタ、マー、黒田。キンタマークロダ。キンタマックロダ」とトリオ名を連呼する。
 金村は張り切る。「よーし、今日もドクロンのおっぱいをモミモミして、絶対にチューしたるぞー!」と控え室を勢いよく飛び出して行った。
 後に残った黒田は「どんな抱負や…」と試合の行方を心配するのであった。

閉じる マーガレットは花篭、金村はバケツを持ち、黒田は自転車に乗って入場。リング上で三人仲良くブリブラダンス、ファンも一緒に楽しく踊る。続いてモンスター軍が登場、バボは今日もネットで包んで棒状にしたバレーボールを持ってのリングイン。
 ゴングが鳴るとバボはさっそくバレーボールで金村に一撃、返す刀で黒田を痛めつけるが、その隙に金村は完全にドクロンに狙いを定め、ロープから跳ね返ってきたところへあつ〜いキッスだ。すぐに反撃したドクロンのボディアタックなどの技をなぜか受け続ける金村。明らかにスキンシップを狙っての行動である。
 マーガレットはドクロンとピラニアンにダブルのラリアット、戦場は場外へ移る。いつの間にか用意された机へバボが金村をネックハンギング・バスターで叩きつける。ハッスル軍も負けてはいない。黒田が自転車で花道を戻り、大きく助走をつけてバボとピラニアンを轢き飛ばした! その間にも金村は机をセットし、ドクロンをその上に寝かせるとコーナー最上段からのダイビング・ボディプレス!
 リング上で勝ち誇る金村は、マーガレットとピラニアンに交互に攻撃を加えていく。場内からは「キンタ! マー!」の大合唱。そして合体攻撃のクロスラインでは「キンタ・マー!」だ。
 コンビネーションが冴え渡るハッスル軍はモンスター軍の三人を寝かせて一斉にエルボードロップ、そしてフォールに行くが返される。
 このモンスター軍のピンチを救ったのはバボの大暴れだ。ネットで包んだバレーボールで、ハッスル軍を次々と殴り飛ばす。ドクロンは先ほどの仕返しとばかりに、金村の頭を机で一撃! が、金村は正面から胸に顔を埋める様にしてドクロンに抱きつくと、嫌がるドクロンをそのままフロントスープレックス、続くジャーマンで持ち上がらないと見るや、胸をモミモミのセクハラ攻撃連発である。
 戦場は再び場外へ移り、リング上に残ったピラニアはトップロープから金村に攻撃を加えようとしたが、黒田が哲っちゃんカッターでナイスアシスト。金村がピラニアを寝かせて、その上にマーガレットが超重爆撃のスプラッシュ! さらに金村が爆YAMAスペシャルだ! この完璧なコンビネーションに3カウントが入る! 強いぞ、素晴らしいぞ、キンタ・マー・クロダ!
 しかし、ドクロンに対するセクハラ攻撃の数々は、場内の男性ファンの不評と嫉妬を買った事は言うまでもない。


第1ハッスル

10分00秒 フライングボディプレス→体固め

 場面変わってモンスター軍の秘密アジト、いつものように高田総統の助さん格さんである島田二等兵とアン・ジョー司令長官の姿が。
「それにしても何にもないところですね〜、仙台って」と、のっけから失礼なことを口にする島田二等兵に対して、アン・ジョー司令長官は「何を言ってるんデスか? 仙台は東北中のビューティフルなガールたちが集まる日本有数の歓楽街なんですヨ。ここの国分町ハ!」と、とっておきの情報を披露だ。
 それを受けて島田二等兵は、「じゃあ、伊達の牛タン食べて、キャバクラでも行って牛タンゲームで盛り上がりますか! 田舎のキャバ嬢は東京と違ってイチコロですよ!」と早くも試合後の予定を計画。二人揃って相変わらずのはしゃぎっぷりで牛タンゲームの予行練習を始める。
 すると高田総統が「はしゃぐな! 島田、アン!」と叱責。さらに素になって「今日は日帰りだよ」残念なお知らせを二人に告げる。
 ここから舌鋒鋭く「こんなしみったれた都市からは、一刻も早く立ち去りたいよ。これといった産業がないくせに、東北一の大都市と名乗る。さらに『学徒都市』だか知らんが、教育に力を入れる風潮も気に入らん。それにだ、あのリサイクルのキャラクター、ワケルくん……なんなんだ、あいつの髪型は!」と十八番である地方いじりを展開、今日も痛烈な挑発が冴え渡る。
 そして第1ハッスルには、仙台と同じ東北の青森で誕生した、恐山出身のイタコモンスター・恐イタコの投入を宣言。今宵、イタコに降臨するレジェンドは果たして?

閉じる 先発を決める時点で場内からは自然発生的にイタココール。いまや降霊術ですっかり人気者である。
 まずリングインしたのはピエロ1号とブルー。華麗なロープさばき、軽やかなホイップでブルーがピエロ1号を翻弄、トップロープに飛び乗るとその反動でピエロ1号を大きく投げる。続いて登場したのはピエロ2号とレッド。レッドも見事に2回転旋回ヘッドシザーズでピエロ2号をリング外まで吹っ飛ばす。
 ここでイタコがノッソリと待望のリングイン。イエローが組みかかろうとするも、脱力系の動きでかわす。続けて突っかかって来たイエローの勢いを利用して独特な首投げを見せると、ここで本日最初の憑依だ!
 場内にとどろいたのは『J』のテーマ、ジャンボ●田が降臨した。ジャンピング・ニー、ラリアットでハッスル仮面たちを蹴散らすとトップロープでオーポーズを連発、場内に不思議な一体感が生まれる。続けてレッドに懐かしの拷問式コブラを仕掛けたところでテーマ曲が終了。途端にイタコは倒れこむ。
 間髪いれずに第二の憑依、降臨したのは世界のジャイアント●場! 貫禄たっぷりの悠然とした動きで、ロープを背にした16文キック、そして伝家の宝刀ジャンピングネックブリーカーをスローモーに決める。相手の攻撃を受けてから、ワンテンポずれてダメージを受けるというところまでも完璧、脅威の憑依っぷりである。
 リング上は変わってピエロ二人がブルーを捕獲、ツープラトン攻撃で攻め立てる。コーナートップからのトペ・アトミコなど厳しい攻めを食らうも、なんとか返すブルー。ピエロは自軍のコーナーにブルーを引っ張っていくと、モンスター軍総出でストンピング攻撃。しかし、イタコのそれはまるで何かのリハビリ運動のよう。ピエロが激しくストンピングしろとけしかけるも、イタコは力なく踏み付けるだけ。
 長時間つかまったブルーだったが、何とかピエロの二人をムーンサルトアタックで蹴散らすとイエローに交代。体格を利用してイエローはパワフルファイトを全開、ピエロ二人をまとめてブレンバスターで投げ捨てた。
 場外に逃げたピエロ1号に対してレッドがトペ・スイシーダ、イエローも飛ぼうとするが、ここはピエロ2号に足をすくわれ不発に。リングに戻ったレッドはイタコに逆エビ固め。するとここで第3の憑依が!
 鳴り響く重低音……ブラックサバスの『アイアンマン』と来れば、もちろん“暴走戦士”のテーマ曲、ホー●・ウォ●アーが初降臨した! イタコはプッシュアップで力強く逆エビを返すと、豪快なフライングショルダーアタック! しかし、よりによってトップロープに上ったところでテーマ曲が終了してしまい、そのまま力尽きた。
 リング内で両軍が混戦を極める中、またも場内にBGMが! すると、イタコに憑依したのは某老舗団体の退団騒動で最近スポーツ紙面を賑わせていた藤●辰●! トップロープからドラゴンリングインすると、レッドにドラゴンスリーパーを見舞う。
 場面変わってリング上はイエローがピエロ二人相手に応戦、まとめて619を炸裂させる。場外に逃げたピエロ2号にはブルーがトペ・スイシーダ、イエローはピエロ1号にいい具合の巨腹を駆使したフライングボディソーセージを決めて圧殺! ハッスル仮面に凱歌が上がった。


オープニング劇場

 ドラムロールと「レディース&ジェントルマン…GM…アールズィー!」というDJのアナウンスで、招かれざる客RGMが『GOLDFINGER’99』(郷ひろみ)のテーマ曲で入場! 楽天イーグルスのユニフォームとキャップを被り、仙台のファンに媚び媚びの登場だ。しかし、このパフォーマンスが効いたのか場内からは意外にも声援が沸き起こる!
「RGM、フォフォフォフォー! 仙台の皆さん、ハッスルしてますか? 東京からHGを凌ぐ人気の、ハッスルGMのRGがやって来ました〜」とご挨拶。「やべ、今日のオレ、カッコよすぎる」と最近どこかで聞いたようなセリフをパクッて悦に入るRGMだったが、さっそく反感を買って場内からは「帰れ!」との罵声が飛ぶ。これにはRGM逆ギレだ。
「帰れ? せっかくスターが来たというのに何という扱いですか?」と初代の笹原GMを超えるスター気取りのRGMだったが、あまりのブーイングの多さにビビってたじろぎ、「今日は皆さんにGMとして、お知らせがあります。こちらを見てください!」と上手く話を逸らせた。
 ビジョンにはハッスル7月二連戦の日程として、7・9パシフィコ横浜にて『ハッスル18』、7・11後楽園ホールにて『ハッスル・ハウスvol.17』の開催が決定した旨が映し出された。
「詳しいことは例によって何も聞かされていませんが、どちらの大会もプロレスファンにとって大きな記念日になるそうで〜す」と、まるで他人事の無責任なRGM。それどころか、「では、一仕事やり終えたところで、ここでRGの7色のギャグ百連発コーナー!」と誰も期待していないライブをやらかそうとする。
 リング下では「対戦カード発表」と書かれたカンペを掲げるAD。それをRGMが無視すると、今度は「早く行け」と書かれたカンペを掲げるADであった。明らかに格下のADに命令され、「俺はGMだ!」と虚勢を張ってみたものの、強制的に対戦カードVTRへ!
 またしてもないがしろな扱いを受けたRGMは怒り心頭だ。「おジャーマン・スープレックスの途中でVTRに行くとはどういう事だ! これから『フォルテシモ』(ハウンドドッグ)を歌うんだよ! 歌ってから試合が始まるんだよ」とまたしてもパクるRGM。もう耐え切れなくなった仙台のファンから帰れコールがぶつけられる。
 しかし、そんな事で懲りるRGMではない。
「YOYOYO、シャラップ!」と初代・笹原GMの得意技をパクリ、「いいですか? 僕はね、(山本)KIDに憧れて坊主にしたんですよ」とキャップを脱いだが、このRGM渾身のギャグに場内はシーン。
「分かった。調子悪いのが分かった! この調子悪い球団のユニフォームなんか着てるからだ。こんなもんはこうだ!」と、楽天イーグルスのユニフォームを脱ぎ捨て、踏みにじる暴挙に出るRGM。まさに逆ギレだ。さらにはユニフォームでお尻を拭き、「こんなもん、お尻を拭くのにちょうどいい!」と暴虐の限りを尽くす。
 するとそこで、楽天イーグルスの応援歌であるARB『荒鷲のうた』に乗って、同球団のマスコット・カラスコとセクシーな衣装のダンサーズが颯爽と登場! カラスコはトップロープを華麗に飛び越えてリングインすると、コーナーに上ってアピールし、そのままリング中央へバック転宙返り! ダンサーズも激しいダンスを披露して、観客を魅了する。すっかり忘れ去られた存在となったRGMはリングに這いつくばり、ダンサーズのスカートの中身を覗く情けない姿をさらしたが、カラスコに気付かれお仕置きのフロントチョークを喰らってしまった。
「YOYOYO、あなたたち、勝手に上がりこんで何者ですか?」と問いかけるRGMに、ダンサーズの一人が「カラスコ・ジャパン!」と元気よく応える。カラスコ&ダンサーズに声援が送られると、RGMは彼らのパフォーマンスを邪魔しようとしたが、カラスコにドロップキックでリング外に吹っ飛ばされてしまった。サングラスも外れ、逃げるように去っていくRGM。
 開演の掛け声はダンサーズの一人が、「今日は盛り上がっていきましょう! じゃあ、カラスコ、行きましょう! ハッスル17スタート!」と爽やかに言った。


オープニングムービー


オーディエンスタイム

 久しぶりのオーディエンスタイムからスタート。リング上にはハッスル軍の中村カントク、マーガレット、金村キンタロー、田中将斗が上がり、サインボール投げで場内を盛り上げる。
 続いての“ビッグサプライズ”は、我らがハッスル軍キャプテン小川直也と一緒にハッスルポーズを決められるというスペシャル特典だ。選ばれたのは五人組のファミリー、三人のお子さん連れである。場内の「キャプテ〜ン!」の呼び声に、小川がリング上に登場し、場内からは大声援! 恒例の「おいっす!」にもファンは元気よく応え、小川も笑顔が隠せない。
 ファンを代表したファミリー五人と小川による、「スリー、ツー、ワン、ハッスル! ハッスル!!」で仙台大会、いよいよスタート。


“ハッスルあちち”大谷晋二郎からの諸注意

 オープニングVTRには“ハッスルあちち”大谷晋二郎が登場! パンフレットや応援グッズなどを熱く熱く紹介し、ビールのおつまみにピッタリな『ハッスルあちちあられ』、江頭2:50と大谷の夢のコラボTシャツ『Achichi2:50 Tシャツ』のホットな紹介も忘れない。
 さらに、『ハッスル・エイド2006』の告知をし、「仙台からランニングしても三日三晩ですぐに着く!」と無茶を言う。
 続いて、ハッスルの教科書17ページに書いてある『観戦の諸注意』を読み上げる。「最近、ハッスル軍ではなくモンスター軍を応援している不届き者がいる! ハッスル軍には声援、モンスター軍には全身全霊でブーイング! それと、これはまあどうでもいいことなんだが…今、RGMっていうハッスルの最高責任者を名乗る変な男がいるんだ。悪いやつじゃないんだろうが、生理的に受け付けないんだ。みんなも、耐え切れない時には我慢せず遠慮なくブーイングを送ってくれ!」とメッセージ。
 それから「ハッスルの教科書1ページに書いてある最も大切な事を教えておこう」と、スポンサー各社のご紹介をする大谷だった。