ファイトカード

高田総統劇場

「おい、モンスターK! なんだ、このオチはよ!」
 醜態をさらしたモンスターKに吐き捨てるような言葉を投げかけたのは、高田総統だった。M十字架に貼り付けられた川田の隣に姿を現した高田総統は、眉間に皺を寄せている。
 中途半端なそーとーコールを「もういいよ!」と遮った総統は、「明日からの三連休、家でゴロゴロするだけの大阪の諸君よ、半年ぶりのご無沙汰だったな。我こそが高田モンスター軍総統、高田だ!」とご挨拶。
 しかし、全知全能、完全無欠なはずの高田総統にここで信じられないアクシデントが! 場内から最近話題のニュースについて「おめでとうございます!」という声があちらこちらから飛ぶと、「おい、それはなしにしてくれよ。リズムが狂うんだよ」と注意を促すと、「おい、よく聞いておくんだ。いま私は半年ぶりに大阪へやってきた。拍手だ!」とここまではよかったが、「おい、そこでだ……忘れちゃったよ! どうすんだよ! おい、ちょっと持ってこい! おめでとうなんていうから忘れちゃったよ!」なんと、セリフを忘れてしまったのだ! 慌てて台本を読む高田総統であった。
 総統は照れ笑いを浮かべながら、「待たせたな! そんなことよりも私はとっても不愉快なんだよ。だってそうだろ。モンスターK、私は情けないよ。貴様はどこまで壊れれば気がすむんだよ!」と、M十字架に貼り付けになったままの川田に嘆く。
 すると川田、「好きでやってるんじゃないよ! 総統がセリフを忘れるから長くなっちゃったんだよ!」と逆ギレだ。
「痛いところを突くねぇ」と言う総統だが、あまり気にはしていない様子。「驚いちゃったよ。負けたくせにその言い草とは! こんの野郎! しばらく、そのままで反省してるがいい」と川田を放置プレーに処す。
 ニューリン様は「おい、天パーのジジイ! 次はオメーの番だよ。3日後の名古屋でお前も同じ目に合わせてやろうか?」と天龍を挑発、HGも「その豊満な胸を特製ブラジャーで包んであげましょうか? これが本当の勝負下着、フー!」と続く。
 この挑発にニヤリと笑った天龍は「俺もナメられたもんだな。俺はな、エラそうな素人が一番嫌いなんだよ、この野郎! 名古屋でプロレスの怖さを貴様らのきったない体に叩き込んでやるから、覚悟しろ!」と凄む。
 しかし、小川も黙ってはいない。「今日はM十字架マッチを受けたんだから、今度は俺たちが要求する番だ! 名古屋でNo.2のジジイが負けたら、『ハッスル・マニア2006』にエスペランサーを出して来い!」と打倒・天龍を条件にエスペランサーとの一騎打ちを要求する。しかし、冷静な総統が「さすが損得でしか考えられない銭ゲバのチキンだな」とツッコミを入れると、ナイスなタイミングでガクッとズッコケる小川。コレには総統も「いいズッコケだぞ」とお褒めの言葉だ。
 総統が続ける。「そんなにエスペランサーと闘いたいなら、名古屋で完全決着をつけようじゃないか! 貴様らハッスル軍5人(小川、大谷、TAJIRI、HG、ニューリン様)とモンスター5人の全面対抗戦としゃれこもうじゃないか!」なんと、総統は5対5マッチをぶち上げたのだ。が、大阪のファンは反応がイマイチ…「拍手がまばらなんだよ!」と総統もお怒りになる。しかし、気を取り直して「万が一、いや億が一、貴様らが勝った暁には、この私がエスペランサーを降臨させることを約束しよう」と、ハッスル軍が名古屋での5対5マッチに勝利すれば『ハッスル・マニア2006』にエスペランサーを出すことを宣言した。
「願ったり叶ったりだ! いま吐いた言葉を飲み込むなよ」と念押しする小川。すると総統は、「よかろう」と承諾!
「しかし、名古屋まで日にちがない。5対5のメンバーをとっとと決めておこう。まずは当然のことながらモンスター大将、そしてモンスター℃とK'、ジャイアント・バボも入れておこう」と次々とモンスター軍選抜メンバーを決めていく総統。
「あと一人だな。ソドムとゴモラは名古屋の夜は、たしか3Dを潰す役割があったな…。であれば! KIDATA・ロー2006……ではないな。おい! ドクロンお前がやるか? それともハカイヤーか? ん?」ともったいつけて悩みに悩む総統だったが、明らかに誰かを無視していた。
「総統! 総統! 総統ってば!」その“誰か”である川田が、足をジタバタさせて呼びかける。「なんだ、まだいたのかモンスターK!」と冷たい態度の総統。川田は「俺に名古屋でモンスター軍のプライドをかけてリベンジさせて下さいよ! このままで済むと思うなよ!」と精一杯凄む川田であったが、「そんな格好で何を言っても説得力ないんだよ」と総統の言うとおりだ。それにしても、積年の恨みがあるのか総統は川田に冷たい。
 そこに助け舟を出したのは天龍だった。「川田! う〜ん、情けない。でもよ、この失敗は自分で取り戻すしかない! たのんますよ、総統」と直訴する。
 モンスター大将たっての頼みに、総統も「大将がそう言うのであれば、モンスターKにもう一度だけチャンスを与えてやろう。最後のメンバーはモンスターKだ! モンスターKよ、この屈辱を二度と忘れるなよ!」と川田のメンバー入りを承諾!
 これにて、10・9名古屋での『ハッスル20』におけるハッスル軍VSモンスター軍5対5全面対抗戦のメンバーは、ハッスル軍が“キャプテン・ハッスル”小川直也、“ハッスルあちち”大谷晋二郎、TAJIRI、HG、ニューリン様。モンスター軍が“モンスター大将”天龍源一郎、モンスター℃、“モンスターK’”佐藤耕平、ジャイアント・バボ、そして“モンスターK”川田利明と両軍総力戦になることが決定した!
 さらに総統は、「さて、ハッスル軍の諸君よ。よ〜く聞きたまえ。3日後の名古屋は言うまでもないが、『ハッスル・マニア2006』に向けての最大の山場だ。それがどういうことか、分かるだろう? 今度の『ハッスル・マニア2006』のメインテーマが明らかとなるビッグ・サプライズが起こることをここに約束しておこう。肝に銘じておけよ」と、またしても10・9名古屋にビッグ・サプライズを投入することを予告した。一体、何が起きるのだろうか?
「若干セリフを忘れてしまったが、お許しくれたまえ。下々の諸君、また来年この場所でお会いしよう! バッドラックだ!」高田総統はビッグ・サプライズを予告しただけではなく、セリフを忘れてしまった非礼を丁寧に詫びて大阪のファンに別れを告げた。
 リング上では小川が「おいHG、ニューリン。ついにエスペランサーに王手がかかったぞ。『ハッスル・マニア2006』では俺とタイマン勝負だ!」と興奮気味に語りかけたが、ニューリン様は「はぁ? 待てよチキン、いやキャプテン。エスペランサーはアタシが潰すんだ!」、HGは「何を言ってるんですか。私がスペルマンサーとTバックローションマッチをするんですよ!」とそれぞれが自己主張。これには小川も我慢ならず、「俺がキャプテンだ! 俺が決めるんだ!」と権力を振りかざして自分とのシングルマッチを主張する。
 この争いを諌めたのは、もちろん大人のハッスル軍副キャプテン大谷だった。「まあまあ、名古屋で勝ってから決めようよ。な、TAJIRI」と同意を求めるが、TAJIRIが例によって変態チックな笑顔を浮かべてニヤリニヤリとしている。
「いや、いひひひひっ! 名古屋よりも、もっと大事なことがあるんじゃないかなって考えちゃってね」とTAJIRI。お目当ては、もちろんニューリン様のM字だ。HGもTAJIRIの真意に気付き、「そう言えばニューリン様、初の大阪凱旋じゃないですか。ニューリン様がM字で締めて下さいよ」と、本日の締めをニューリン様に依頼する。
「まぁ、今日は気分がいいからやってやってもいいけど?」と、やや高飛車ながら珍しく素直に応えてくれるニューリン様。TAJIRIがトルネードMAXを解説。しかも、大阪のファンに敬意を表して、「生まれてはじめての大阪弁」(TAJIRI)で説明した。
 お立ち台の上に颯爽と立ったニューリン様は、「大阪はな、私の生まれ故郷だからよ、今日は帰ってこれて正直、嬉しいよ。また帰省するからよ、その時は見に来てくれよな」と挨拶すると、「M字で世界を救うぞ! スリーツーワン、トルネードMAX!」大阪のファンは総立ちとなった。
 モンスターKをニューリン様がフォールするという、ハッスル軍の完全勝利で幕を閉じた大阪大会。ハッピーエンドではあったが、不気味なのは高田総統が名古屋大会に投入を予告した“ビッグ・サプライズ”である。ハッスル軍とモンスター軍の抗争の最終局面ともいえる名古屋での、5対5全面対抗戦に勝利するのはどっちだ? そして、エスペランサーはどうなる? ついでに坂田GMWの存在も忘れてはいけないぞ!

メインハッスル(敗者即M十字架はりつけマッチ)

11分17秒 ニューM字固め

 モンスター軍との大一番を控えたハッスル軍控え室。“キャプテン・ハッスル”小川とHGが大会ポスターを前に何やら話をしている。「HG、俺さ、勝ってあいつらをM十字にはりつけにしたらよ、これで、落書きしてやろうと思ってんだよ」と小川。すると川田の顔にマジックでいたずら書きし、「こんなんでどうかな?」といたずらっ子のような笑顔を浮かべる。さらに「それはナイスアイデアですね」と同意するHGに「だろ? お前は何しちゃうの?」と問いかける。小川の問いかけにHGは「この日の為に秘密兵器を用意しておいたんです。もう楽しみで楽しみで。もうすでに我慢●が…セイ! 今日は絶対に勝ちますよ」とニヤリと笑った。
 するとここで「何だよ、秘密兵器って?」と、ニューリン様が登場。すかさずHGは「ニューリン様は何するおつもりなんですか? ドSのあなたのことですから、さぞかしとんでもないことを考えているんじゃ?」と、これまたいやらしい笑顔を浮かべる。しかしそんな期待とは裏腹にニューリン様から返ってきた言葉はというと…
「アタシはM字で世界を救いてえんだよ!」
 思わずきょとんとする小川とHGにニューリン様はこう続ける。
「今までは目の前の敵を痛めつけることしか考えてなかった。ただな、オメーらと仲間になって考えが変わったんだよ。つまり、ハッスル軍に入ったっていうことが、どういうことなのかって考えたんだよ。この顔に傷をつけた高田の野郎は許さねぇ。ぜってー殺す! だけどな、それはそれとして、根本的にアタシは何のために闘っていくのかってことを考えたんだよ」とニューリン様。「根本的?」とさらに不思議そうな顔をする小川に、ニューリン様はその真意を説いた。
「見に来てくれたファンを、アタシが昇天させてやるのは当たり前だよ。それだけじゃなく、その先にいる世界中の人々をアタシのM字でハッスルさせていくんだ。みんながハッスルすれば、ぜってー世界は救われる。これからは、M字のMは真心のMだよ!」
 これまでのニューリン様からは想像も付かない言葉に「どうしちゃったんですか〜、ニューリン様」とHGも驚きを隠せない。戦闘服に変身するといって部屋を出るニューリン様の後姿を見て「やっぱりあいつはただモンじゃねえな。HG、俺たちも負けられねえぞ」と感心する小川。それを聞いたHGも「なるほど。私もニューリン様も一緒に大阪凱旋ですからね、モンスター軍の股間を刀狩してやりますよ! 秀吉フォー!」とHG風に気合を入れ直すのであった。
 一方、所変わってここはモンスター軍アジト。ニューリン様との対戦を控える“モンスターK”川田利明に「ヘイ! モンスターK! ユーたちのことですから大丈夫だとは思いますが、くれぐれも油断のないヨウニ!」(アン・ジョー司令長官)「そうですよ! ニューリンは、敵に回すととんでもなく厄介ですよ!」(島田二等兵)と詰め寄る二人。しかし川田は二人の心配を他所に「そんなことより、あの女の大股開きが見たいだろ?」とスケベな笑顔を見せる。するとそれまで険しい表情をしていた二人は「大股開き? それは、観たいデース! 正直、モンスター軍にいた頃は、恐れ多くて正面から見れませんでしたカラネ!」(アン・ジョー司令長官)「さすがモンスターK! 勝ったら1分間、心置きなく、奴の股間をガン見しますよ!」(島田二等兵)とデレデレだ。それを聞いた川田はさらに表情を緩ませ「1分と言わず、何分でも見させてやるよ…何なら虫眼鏡持ってきてもいいぞ。それと、あの新婚ボケの腰フリが子作りができないようにようにしてやる。今日はいろんな意味でギリギリの闘いを見せてやるから楽しみにしとけよ。おい!ソド・ゴモ行くぞ!」と、アジトを飛び出していった。いつになくテンションの高い川田を見て「それにしても、M十字架はりつけマッチなんて、いや〜よく考えつきましたね、モンスターKは! テンション上がってきたな〜」と島田二等兵。「油断は禁物ですが、今日はなんだか、物凄いことが起きそうデス!」と、“何か”を予感するアン・ジョー司令長官だった。
 まずはソドムとゴモラが入場。もともとはニューリンの飼い犬だった二人だけに、ニューリンに対する怒りは他のモンスターよりも大きい。続いて敗者M十字架はりつけマッチを提案した川田が険しい表情でリングへ上がり、モンスター軍の3人がリングに集まった。ハッスル軍はまず小川が入場、フードをすっぽりとかぶり静かに気合を入れている。次に花道に現れたニューリン様の今回の戦闘服はセーラー服を改造した超セクシーなもの。ムチを振り回しながら駆け足でリングへ上がると、大阪のファンは大声援を送った。そしてそれ以上の声援を受けてリングへ上がったのが地元出身のHG。必要以上に腰を突き出してロープをまたぐ姿からはコンディションの良さがうかがい知れる。両陣営が勢ぞろいすると、リング中央では睨み合いがスタート。すると場内がブルー光と煙に包まれ、ステージにM十字架はりつけ台が不気味に姿を現した。

閉じる 先制攻撃しかけたのはハッスル軍。小川がすぐに川田に殴りかかり、コーナー際で顔面を踏みつける。しかし川田も一歩も引かずに、二人は意地を張り合うようにエルボーと逆水平の打ち合い。小川が巴投げを見せれば、川田が得意のミドルキックを連発するなど対抗意識を燃やした。ここで小川は川田の蹴り足をとって4の字固めへ。川田が小川が足をかけるのを阻止しようとすれば、すかさずHGがギロチンドロップで小川をアシスト。がっちりと4の字固めを極められた川田は、裏返って逆に小川の足を極めにいこうとするもの、今度はニューリン様がムチで川田を叩いて小川を助けるなど、ハッスル軍のコンビネーションはぴったりだ。
そして一番張り切っていたのが地元出身のHG。ロープを利用して川田の左足にヒップアタックを連発したHGは、ここからフライング二ールキック、ドロップキック、トラースキックと華麗な蹴り技のオンパレード。コーナー際で休む川田に小川が延髄蹴りを見舞うと、川田はそのまま崩れ落ちる。するとHGは舌なめずりしながら股間を激しく前後させる。ここで自らの股間を相手の顔面に打ち付けるPWだ! HGが正統派なプロレス技とゲイ殺法で観客を魅了した。
 しかしここはやはり元“モンスター軍No.2”の川田。HGの攻撃をすべて受け切ると、HGに強烈なラリアットを叩き込み、一気に試合の流れをひっくり返す。悶絶するHGに対して、ソドムがHGを挑発するように腰振ってからのドロップキック。このフォールは何とかロープブレイクしたHGだったが、代わって入ったゴモラの旋回式バスターを受けて、それまでとは一転、一気にHGがピンチに陥った。なおもソドム&ゴモラの猛攻を受けるHGだったが、二人の合体攻撃をうまく誤爆させると、高角度のドロップキックでロンリーファイトから脱出。ニューリン様へとタッチした。
 元飼い犬のソドムを前に「ストップ!」と叫ぶニューリン様。やはり飼い主の言うことには逆らえないのか、ニューリン様の一言でソドムの動きが止まった…かに見えたのだが、ソドムはニューリン様を強引に自陣コーナーに放り投げると、川田がリングへと上がった。すぐさまムチ攻撃を繰り出すニューリン様。しかし川田はびくともしない。すると川田にリング下に落とされたニューリン様はそのまま川田と島田二等兵に捕まってしまい、川田に担がれる形でM十字架はりつけ台に連れて行かれてしまう! 必死にそれを阻止しようとリングを降りようとする小川とHGだったが、ソドムとゴモラの妨害にあってしまい、M十字架はりつけ台に連れて行かれるニューリン様をただ見つめるだけしかできなかった。M十字架はりつけ台にたどり着いた川田は、ニューリン様をM十字架はりつけ台に座らせると、モンスター軍の面々を使って無理やりM十字架はりつけ台にくくりつける。必死に抵抗するニューリン様だったが、数人のモンスターを相手にはなす術がない。もはやファイティング・オペラの枠を超え、R指定ギリギリのシーンが繰り広げられ、ニューリン様はM十字架にはりつけにされてしまった。
 あられもない姿となったニューリン様に川田が「俺はな、これを最後までとっておくのが嫌だったんだ。子供の頃から美味しいものは先に食べる方でな」とニヤリ。「外せよ!」と必死に抵抗するニューリン様に対し「何を外すんだ? お前らこれを外してて中が見たいか?」と、あろうことかニューリン様のコスチュームの胸元に手をかける。すると川田は「中はこういうもんだよ!」とニューリン様の服を引きちぎってしまう! さすがのニューリン様もこの辱めには苦悶の表情を浮かべた。ニューリン様を辱めた川田はリングに戻り、2対3の状態で小川とHGをボコボコにする。身動きの取れないニューリン様、さらにリング上はハンデキャップマッチとなり、もはやモンスター軍の勝利は時間の問題かに思われたのが…ここでハッスル軍のTAJIRIと大谷がM十字架はりつけ台に颯爽と現れ、ニューリン様を救出したのだ。ムチを片手に花道へ走り出すニューリン様。「ぶっ殺す」と叫ぶその表情は怒りに満ち溢れている。
 そしてリングへ戻ったニューリン様はソドムに強烈な股間蹴り! もだえ苦しむソドムをよそに川田をムチ攻撃、さらにミドルキックを連発する。そして川田をロープに振って胸元を強烈にムチでたたきつけた。一旦は川田に捕らえられたニューリン様だったが、ゴモラと川田の合体攻撃を誤爆させると、すぐに小川がゴモラをリング下に落とし、リング内はニューリン様&HG対川田という構図に。するとここでニューリン様&HGは究極の合体技M字スタナーを敢行! さらに小川が強烈なSTO、HGがダイビングヘッドバットと続いて、最後はニューリン様が「真心!」と叫ぶM字フォール“ニューM字固め”を決め、川田から大逆転勝利を奪った。そしてこの結果により敗者即M十字架はりつけマッチの考案者川田自身がはりつけの刑に処されることとなった…
 すたすたとリングを降りる川田に対し「はりつけ台に早く行けよ!」(ニューリン様)「逃げんじゃねえぞ!」(小川)と叫ぶハッスル軍の面々。HGにいたっては「こっちは素敵なものを用意しているんですよ!」と、真っ白い刷毛のようなものを手に「これで乳首を立たせますよ」と変態っぷりを発揮している。そんな言葉を背に受けながら、川田は男らしく自らM十字はりつけ台に座り、モンスター軍の面々に「縛れ」とM十字架にくくりつけさせるのであった。
 それを見たハッスル軍は川田のいるM十字架に猛ダッシュ! そして小川の「いくぞ、おら」の掛け声にあわせて、1分間の公開辱めがスタート。まずは小川が試合前の控え室でやっていたように、川田の顔に落書き。続くHGは川田の顔面から数cmのところで過去最高の腰振りをした後に、用意した刷毛で川田の乳首を…これはもはや放送禁止な内容なので、HGが「いやあ快感ですね!」と喜んだとだけ書いておこう。そして最後はニューリン様。先ほどの屈辱をぶつけるかのように「ざまあみろ、バーカ!」と川田を罵倒しまくってムチ打ちを続ける。こうしてハッスル軍は川田にこれ以上ないほどの屈辱を味合わせ、リングへと戻っていったのだった… 


セミハッスル

7分43秒 53才

 今から2ヵ月前、固い絆で結ばれていたと思われていた天龍と坂田だったが、天龍の突然の裏切り&敵対していたはずのモンスター軍入り。その後、新GMとなって巨大な権力を手にした坂田は高田総統にエスペランサーとの一騎打ちを要求したが、そこへストップをかけたのも天龍だった。しかし、坂田は飛んで火にいる夏の虫とばかりに、「俺サマとお前のシングルマッチ決定だよ」と今回の一騎打ちを決めたのだった。今宵、大阪が天下分け目の決戦場と化す! 坂田が裏切り者の天龍に制裁を加えるのか、それとも天龍が坂田に大人の世界の厳しさを教え込むのか? 天龍はニューアレンジの『サンダーストーム』で入場だ。しかし、リング下にいた崔が先制攻撃を加える!

閉じる まだガウンを着たままの天龍に攻撃を加え、ガウンを頭からすっぽり被せた坂田が天龍の顔面へ蹴り! いきなり大きなダメージを受けた天龍に、坂田はペットボトルを投げつける。
 これに怒った天龍は、坂田に強烈な逆水平の連打! 連打! さらにラリアット! が、坂田は急所蹴りで逆襲し、天龍の顔面を踏みつける。顔面パンチ、顔面かきむしり、サミングとなりふり構わぬ攻撃を仕掛ける坂田。天龍を場外へ誘い出すと、場内が大きくどよめくほどのチョップ合戦だ!
 坂田はチョップではかなわないとみるや、顔面かきむしり。坂田の合図でRGがリング内へ椅子を何脚も放り込み、坂田は椅子で天龍の頭を直撃。そして椅子を天龍の体の上に積み上げ、コーナー最上段からのダブル・フットスタンプだ! のたうちまわる天龍! そこへ坂田の顔面サッカーボールキック! 天龍が流血してしまう。
 今度は机をリングに上げるRG。坂田はコーナーへ立たせた天龍の前に机を立たせ、ドロップキックを見舞う。まさにやりたい放題! セコンドの島田二等兵もモンスター大将の大ピンチに狼狽するが、坂田はその島田をリングに引きずり上げると天龍に叩きつけた。
 顔面を血に染めた天龍は逆水平! 仁王立ちとなって坂田の逆水平を受け、その倍以上の逆水平! グーパンチにはグーパンチでお返しする坂田だったが、グーパンチの相打ちから天龍のラリアット、そして延髄斬り! トドメは53歳のフルコース! 3カウントが入った。
 怒りの収まらない天龍はRGにペットボトル、椅子を投げつける! RGはマジでビビッて逃げまどった。天龍はマイクを持つ。
「おい、アホの坂田。若いな、お前はまだ。負けたんだから、エスペランサーは気持ちよく諦めろ。それとな、もっと大きくなるためには姉ちゃんのおっぱいを触ってばかりいないで、こんな試合の後で俺がこんなこと言う元気があるってことは、お前の人間が小さい証拠だ。もっと大きな人間になりたければ、世間に揉まれて、揉まれて、揉まれておっきな人間になれ。そういうことだよ、バッドラック!」と、カッコよすぎる捨てゼリフ!
 坂田もマイクを握る。「ちくしょう……何が諦めろだ、この野郎! 俺サマは最初からエスペランサーなんかこれっぽちも考えてないんだ。俺にはやることが山ほどあるんだ。いいか、モンスター軍、ハッスル軍! ハッスルの最高責任者はこの俺だ!」と捨てゼリフを吐いたが、残念ながら負け犬の遠吠えにしか聞こえないのであった……。


第4ハッスル

12分08秒 レフェリーストップ(逆エビ固め)

 プロレスデビュー以降、モンスター軍から数々の嫌がらせを受け、デビュー戦でもジャイアント・シルバに屈辱の敗戦を喫したカイヤ。さらにはプロレス第2戦を前に最愛の母パトリシアさんが永眠するという悲劇までもがカイヤを襲う。それでもアメリカには戻らず日本でこの試合に向けてハードな練習を積んだカイヤは、試合前「今はレスリングを頑張るしかない」と涙交じりに意気込みを語ったのだった。そんなカイヤにモンスター軍が用意したのは、カイヤのDNAから生まれたワイルド・ハカイヤー。カイヤよりも若くセクシーなモンスターだというのだが、果たしてのその正体とは…?
 先に入場したモンスター軍の先頭を切って現れたハカイヤーは、シルクハットを深々とかぶり、アン・ジョー司令長官の言葉通り抜群のプロポーションを誇るモンスターだ。一方、カイヤはデビュー戦と同じコスチューム、スタン・ハンセンばりに荒縄を振り回してのリングインだ。

閉じる 先発はいきなりカイヤとハカイヤー。「ハハハハハッ!」と不気味に笑い続けるハカイヤーは長い足から強烈なミドルキックを連発する。しかしカイヤはそれをしっかり受け切って、豪快な投げ技でハカイヤーの体を宙に回せ、後ろからのスリーパーでハカイヤーを一気に攻め込んだ。
 続いてリングに上がったのは、ここも因縁のあるKUSHIDAとバボ。体格とパワー差を生かして攻めるバボに対し、KUSHIDAはスピードと技の切れでバボに対抗。ムーンサルトや側転キック、さらにはTAJIRIとの華麗な合体攻撃を披露し、二人係のブレーンバスターでバボの巨体を投げ捨てた。そのままリングに入ったTAJIRIはトラースキックや二ールキックでバボの顔面を蹴り上げると、ここからバボの左腕に照準を定め、KUSHIDAとTAJIRIが代わる代わるバボの左腕を攻めていく。しかしここでKUSHIDAがバボの強烈なドロップキックを受けてしまい、動きが止まってしまうと、流れはモンスター軍へ。
 ハカイヤーがKUSHIDAに強烈なヒザ蹴りを連打し、ブレーンバスターでKUSHIDAを後方に投げ飛ばす。さらにハカイヤーからタッチを受けたアンはKUSHIDAにエルボースマッシュとストンピングを連打。苦しむKUSHIDAの顔をテレビカメラに見せ付けるというオマケつきだ。再びリングに上がったハカイヤーはKUSHIDAの顔面をロープにこすりつけ、連続側転から串刺しのヒップアタック、さらには長い手足を生かしたコブラツイストまで披露し、KUSHIDAの脇腹を爪で引っ掻くという非情な攻めを見せた。
 KUSHIDAと因縁のあるバボは逆水平から、KUSHIDAをアルゼンチンバックブリーカー。KUSHIDAの腰に膝を付きたて、ここまでのお返しとばかりにキャメルクラッチで締め上げ、KUSHIDAの腰を攻める。何とか形勢を逆転させたいハッスル軍はTAJIRIがKUSHIDAを救出しようとするものの、ハカイヤーが後ろから鎖を使って首を絞め、TAJIRIのカットを阻止。そらにはバボの必殺ボール攻撃も飛び出し、何とハカイヤーまでもがバボのボールを手に取り、TAJIRIを殴りつけるという暴れっぷりだ。アン・ジョー司令長官に捉えられたKUSHIDAも、アン・ジョー司令長官とのチョップ合戦から脱出を試みるものの、一発の破壊力に勝るアン・ジョー司令長官を崩すことが出来ない。しかしここでアン・ジョー司令長官がKUSHIDAを羽交い絞めにし、バボとの合体攻撃を試みたところでKUSHIDAが絶妙のエスケープ! バボの誤爆を受けたアン・ジョー司令長官をリング下に叩き落すと、すぐにバボにフライングボディプレスを決めて、カイヤへとタッチした。
 しかしカイヤはバボの容赦ない逆水平や顔面かきむしりを受け、いきなり攻め込まれてしまう。さらにコーナーポストに座らせられ、バボがアタックチョップを狙うというピンチを迎える。ここでカイヤは突進してくるバボの体を蹴って突き放し、カウンターでスイング式DDTを決めてピンチを脱出。タッチを受けたTAJIRIがバボを必殺のキック攻撃で攻め、強烈なトラースキックでバボを吹っ飛ばす。そしてここでカイヤを再びリングに呼び込むと、ここでカイヤがこの日のために身につけたカイヤボンバー! そのままバボをフォールし、3カウントを狙ったのだがアン・ジョー司令長官がすんでのところでカット。するとここで一気にモンスター軍がリングになだれ込み、TAJIRIとKUSHIDAをリング下に落とし、カイヤを孤立させることに成功する。アン・ジョー司令長官とバボに捕まってしまったカイヤは、バボにロープに括り付けられ中刷りにされると、アン・ジョー司令長官のサイドバスターを受けて万事休す。アン・ジョー司令長官に逆エビ固めを極められると、タップこそしなかったものの、あまりに危険な角度で反り返ったカイヤの体を見たレフェリーが試合を止めた。
 ぐったりと崩れ落ちるカイヤに「ヘイ、カイヤ! ユーは口先だけの3流タレントデ〜ス! もう少しやると思っていたんで心底がっかりしま〜シタ。100万回闘ってもユーは男には勝てまセン。とっととアメリカにゴー・ホームデス!」と屈辱的な言葉を吐き捨てるアン・ジョー司令長官。リベンジに燃えるカイヤを完膚なきまでに叩きのめしたモンスター軍は意気揚々とリングを降りた。一方、TAJIRIとKUSHIDAに介抱されながらも、カイヤはなかなか立ち上がることが出来ない。するとTAJIRIがマイクを握り、カイヤに、そして客席にこう語りかけた。「カイヤさん、すいませんでした。モンスター軍はあんなにひどいこと言ってましたけど、僕は頑張ったと思います。お母さんが亡くなったのにアメリカに帰らないで、この日のために毎日練習していたんですよ。皆さんもこの頑張りを認めてもらえたらなと思います」
 そんなTAJIRIの温かい言葉を受けたカイヤは「ママ、アメリカに帰らなくてごめんね。私、また負けちゃった。本当に弱いね…」と思わず涙ぐんでそうつぶやく。すると「いいよ、いいよ。今日負けてもまた頑張っていこうよ。天国のお母さんもよくやったって言っているよ」とカイヤをなぐさめる。その言葉を受けて「ママ、みんな、ありがとう。今から本当にまた頑張ります」とカイヤ。試合には敗れたカイヤだが、この試合にかけるカイヤの想い、そして頑張りは誰の心にも届いたはずだ。


第3ハッスル

15分23秒 3D

 場外乱闘アリ、凶器アリ、何でもアリのハードコアマッチ。そのハードコアマッチで世界最強と言われているのがチーム3Dだ。対するは日本が世界に誇るハードコア最強チームの金村&田中。世界最高峰のハードコアマッチがここに再び開戦!
 金村&田中は手を上下に動かす新しい振り付けを披露し、トップロープに飛び乗ってのブリブラダンス。場内はもちろん大盛り上がりである。が、その雰囲気を一気にぶち壊したのがチーム3Dの二人だ。ババ・レイはさっそく椅子を床に叩きつけ、パイプ椅子をぐにゃりと曲げてしまった。恐怖に包まれる場内! 睨み合うディーボンと金村! ババ・レイと田中!

閉じる 先発はディーボンと金村。ディーボンはショルダータックルで金村を吹っ飛ばすと、ロープから返ってくる金村を軽々と投げ捨て、ダメージを与えたところでババ・レイがジャーマンで投げ飛ばした。するとババ・レイは「タナカサーン!」と田中に出て来いと挑発。さらになぜか、「タナカ! タナカ!」と田中コールを連発する。
 ショルダーブロックで2度、田中を吹っ飛ばすババ・レイ。田中をコーナーへ釘付けにし、口に指を当てて「シー!」と場内に静かにするように言い、強烈な張り手! 痛い音が場内に響き渡る。
 パンチで反撃した田中だったが、今度はババ・レイの四の字固めに捕まってしまう。これは金村がカットに入ると、それを合図に場外乱闘が勃発! ババ・レイと田中はフェンスをぶち壊して鉄棒を取り、チャンバラのように打ち合う! ディーボンは金村を後方まで連れて行き、会場の壁に叩きつける! ディーボンはさらに、なんとゲスト解説者のグラビアアイドル二人の机に金村の頭を叩きつける暴挙! 逃げるグラビアアイドル!
 リング上に戻ったディーボンはババ・レイの投げた椅子を受け取り、金村に一撃。どこから持ってきたのか、パソコンのキーボードを持ち出してディーボンとババ・レイがそれぞれ金村の頭に叩きつける。粉々になって砕け散るキーボード!
 ダウンした金村にたらいを叩きつけ、ババ・レイはゴルフクラブでの一撃。金村はゴルフクラブで首を絞められながらも、何とかヒジで反撃。が、ディーボンにゴミ箱の蓋で殴られてカウント2.8。ディーボンのフライングヘッドバットにもカウント2・9だ。ババ・レイがダイビング・エルボードロップ。ここで田中がカットに入ったが、ゴルフクラブで股間の玉をナイスショットされてしまった。
 ババ・レイは股間に手を擦り付けてのチョップ。追い込まれていた金村だったが、フランケンシュタイナーで逆襲すると、田中にタッチ。田中は何度もショルダーアタックを仕掛け、三度目でようやくディーボンを吹っ飛ばす。そして金村とダブルのDDT! が、カウントは2.9! 金村がディーボンにムーンサルトプレス。が、フォールは跳ね返される。
 金村は用意した脚立に乗るが、ババ・レイに脚立ごと倒されてしまい、股間をロープに強打してしまった! その金村にゴミ箱を被せたババ・レイは有刺鉄線バットでの一撃! 返す刀で田中の白いギターを奪って田中の頭に叩きつけた!
 ここでリング上に登場したのは長机。田中と金村はダブルのブレンバスターで逆に机に叩きつけようとするが、投げられてしまったのは田中&金村。捕まった田中がパワーボムで叩きつけられ、机は真っ二つ! 完全にダウンしてしまった田中。その隙に金村が必殺の3Dの餌食に! 粘りに粘った金村&田中だったが、ついに金村が3カウントを奪われてしまった。
 勝ち誇るババ・レイはマイクを握り、「カネムラ! タナカ!」とダウンしている二人に呼びかけると、「ガンバッテ!」と深々と一礼。続いては恒例の“割れた長机プレゼント”。ディーボンが選んだのは、今回は男の子ではなくおしゃれな女の子! ディーボンに軽々と担ぎ上げられ、リングに運び込まれた女の子はババ・レイにキスを強要され、さらにリング上で押し倒される! しかし、最後にはジェントルマンらしくサインした机を渡し、女の子を担ぎ上げてリング上を一周する大サービス。
 場内はすっかりチーム3D色に染められてしまった。こいつらを倒せるチームは日本に存在するのか!? ハッスルがチーム3Dに乗っ取られる……。


第2ハッスル

7分40秒 空から乙女がふってきた!!

「ハッスル仮面の諸君! 君たちの大切な仲間であるイエローは預かった。もし、仲間を助けたいというなら、次の名古屋でどうぞ遠慮なく取り返しにくるがいい。モンスター仮面はいくらでも相手になるぞ」と、ハッスル仮面イエローの誘拐に成功した高田総統は高笑い。「それにしても上手くいきましたね。この勢いで次の試合もいただきですよ!」と、島田二等兵も気分上々である。
 そしてアン・ジョー司令長官が「1年3ヶ月ぶりに、あのモンスターがリニューアルして復活デス。KIDATA・ロー2006! 破壊力抜群のローキックで、あのバケモノ女とあちちの足をデストロイデス!」と、KIDATA・ロー2006の投入を宣言。アン・ジョー司令長官と島田二等兵は「ロー! ロー! KIDATA・ロー!」と、声を合わせてローキックを蹴る真似をする。
 すると「はしゃぐな島田、アン!」と、二人をどなりつける高田総統。アン・ジョー指令長官のメガネと島田二等兵の帽子を指差し「あんまりはしゃぐとメガネと頭の上の“お帽子”が落ちるぞ」と不適な笑みを浮かべる。アン・ジョー司令長官は思わず「お、お帽子って…さすが総統! ローカルネタでも怖いものなしデ〜ス」とつぶやくのであった。
 さらにKIDATA・ロー2006の本家キダタローが出演するTV番組を引き合いに出し、「探偵ナイトスクープは、街にあふれる謎を解明する前に、スタジオの中の謎を解明しろ、と言いたいな」と、ますます危ない方向に話を進める高田総統。しかし危険なトークはここで終わり、「さあ行くがよいKIDATA・ロー2006よ、1年3ヶ月ぶりに貴様独特の闘いのメロディを大阪の民に聞かせてやるがよい! ラ〜ブアタック!!」とKIDATA・ロー2006を送り出した。“闘う浪速のベートベン”KIDATA・ロー2006は今回一人で登場。どうやら本家のキタタローはお休みのようだ。対するEricaとマーガレットは仲良く肩を組んでの入場、先に大谷がリングに上がり手を挙げてファンにアピールした。

閉じる いきなり掴み掛ったのはハッスル軍の方だ。ドクロンZを孤立させ、Ericaとマーガレットが二人がかりでドクロンZを痛めつけていく。EricaはドクロンZのムーンサルトを剣山で迎撃すると、へそで投げる急角度のバックドロップ。そこからドクロンZとEricaが張り手の打ち合いを繰り広げる。ここで張り手の連打でEricaをひざまずかせたドクロンZは、入場時に持ってきてパイプ椅子でEricaを滅多打ちに。カットに入ったマーガレットもろとも得意の空中殺法で蹴散らした。
 リング内はKIDATA・ロー2006と大谷。大谷はKIDATA・ロー2006の顔面をかきむしると、早くも顔面ウォッシュへ! 会場からは大谷の攻撃に合わせて大きな声援が送られる。しかしここで黙っているKIDATA・ロー2006ではない。大谷の攻撃をかわすと必殺のローキックを連発! 「ロー! ロー! KIDATA・ロー!」の掛け声に合わせて、大谷の左足にローを突き刺し、大谷の動きを止めた。KIDATA・ロー2006に代わってリングに入ったモンスター℃も大谷の足にローキック。そのまま大谷をコーナーポストに追い込み、大谷の顔面に℃パンチを見舞う。
 フライング二ールキックでモンスター℃の攻撃から脱出した大谷はマーガレットとタッチ。一度は失敗したおけつ攻撃だったが、Ericaが一斗缶でモンスター℃を殴りつけて、遂にマーガレットがおけつ攻撃。しかし久しぶりのハッスル登場のモンスター℃はすぐさまマーガレットに延髄蹴りを叩き込み、必死にKIDATA・ロー2006にタッチする。リングに上がったKIDATA・ロー2006はEricaに「ロー! ロー! KIDATA・ロー!」。さらに体を真っ直ぐに伸ばして相手に飛び込む、オリジナルのボディアタックを決める。
 ここでモンスター軍が大谷とマーガレットをリング下に落とし、リング上はKIDATA・ローとEricaの一騎打ちとなる。一気に攻め込むKIDATA・ロー2006だったが、一瞬の隙をついて大谷がKIDATA・ロー2006にミサイルキックを決める。するとコーナートップからマーガレットが強烈なボディプレス! ハッスル軍の絶妙な連携攻撃で虫の息となったKIDATA・ロー2006に、最後はEricaがコーナーポストからのダイビングエルボーを決め、EricaがKIDATA・ロー2006から3カウントを奪った。
「Erica、マーガレット! 君たちは本当に頼もしいな。今日も助けられたよ」と、二人の健闘を称える大谷。するとEricaは「お礼なんていいのに。あんなの前菜、串焼きで言ったらキャベツみたいなものよ」とニッコリ。さらに「私たちの本当の相手はチーム3D、ソドム&ゴモラ。名古屋で私たちに挑戦するらしいけど、大和撫子の恐ろしさをキッチリ教えてあげるから!」と、3日後に控えた王座防衛に向けて想いを語った。
 するとここで「試合に向けて栄養つけないとね。ふぐ刺しのづぼらやに行きましょう」と大谷の方を見つめるErica。それまでにこやかにEricaとマーガレットを見つめていた大谷だが「えっ!? 俺も一緒に行かないといけないの?」と表情を一変させる。Ericaは「ごちそうしてくれたっていいでしょ」と、大谷に高級ふぐ料理をおごらせようとするつもりだ。そこまで二人のやりとりを静観していたマーガレットもここぞとばかりに日本語で「ごっちゃんです」と笑顔を見せるのであった。


第1ハッスル

7分56秒 モンスターボム part.2

 モンスター軍のアジトでは島田二等兵とアン・ジョー司令長官が、いつものようなはしゃぎっぷりではなく、感慨深そうに語り合う。
「いや〜司令長官、思えば4月にここでニューリンが生まれたんですよね」と島田が話しかけると、アン・ジョーは「もう半年になりますか…。ミーは生まれたばかりのニューリンの世話で育児ノイローゼになりそうでしたヨ!」と不満をぶちまけると、「♪試合で疲れた〜府立の帰り〜ミーの青春も終わりかなとつぶやいた〜」とBOROの『大阪で生まれた女』の替え歌を口ずさみ始める。
 これに島田も続く。「司令長官の肩をながめながら〜やせたなと思ったら泣けてきた〜」。
 すると、高田総統がギターを手に歌いながら登場! 「♪モンスター軍で生まれた〜 ニューリンやのに〜モンスター軍を裏切った〜モンスター軍で生まれた〜ニューリンやのに…総統にはようついていかん」とアン・ジョー&島田に続いたが、急に素に戻りカメラ目線で「正直寂しいよ」と呟く総統であった。
「そ、総統…そんな弱気な総統、見たくありまセーン!」とアン・ジョーが言うと、「バカモノ! 島田・アン! 貴様らにちょっとつき合ってやっただけだ! 闘いにおいては、常に冷静さを保っておくことが必要だ。それをジョークを通じて教えてやったまでだ。わかるだろ?」とたしなめる総統。それにしては、かなり気持ちよく歌っていたが…。
「はっ! 失礼しました!」と恐縮する島田とアン・ジョーに、総統は「オープニングマッチの準備はできてるのか? ん?」と問いかけた。
 島田は「はっ、それなんですが、一つだけ不安が…」と不安があると口にする。「不安だと?(ジャーン)なんだ言ってみろ!(ジャーン)」と総統はギターをかき鳴らしながら聞く。
 答えたのはアン・ジョーだ。「最近、ハッスル仮面の連中にやられっぱなしなんデース。特にあのデブのイエローは、人気も出てきてかなり目障りになってマース!」。島田も「今から出撃するモンスター仮面は、一度ハッスル仮面に負けてますし。本当に大丈夫でしょうか?」と不安で不安でしょうがない。
 しかし、総統は微動だにしなかった。「そんなことに私が気づいていないとでも思ったのか! ここまでハッスル仮面を調子づかせていたのは、全て計算だ!」と言い放つ!
「計算!?」驚くアン・ジョーに、「そうだ。今から、ハッスル仮面のことを好きなお子ちゃまの夢を、ことごとく踏みにじる作戦を決行するぞ!」と驚きの計画があることを打ち明けた。
 アン・ジョーに、なにやら耳打ちをする総統……アン・ジョーは「なるほど! それは面白い! 二等兵、さっそく準備デース! レッツゴー!」と、張り切って試合場へ向かって行った。
 それを見送る総統。一人になるとポローンとギターを鳴らし、「ニューリンは……ボインちゃんやないんやで〜……」と口ずさむのであった。

閉じる リングに颯爽と駆け込むレッド&ブルー、だいぶ遅れてイエローがリングイン。パープルはイエローに「出て来い」と指名する。
 まずはイエローが投げを見舞うが、両者距離をとってリングをグルグルと回る。イエローのショルダーアタックに吹っ飛ぶパープル、イエローは続いてドロップキックからヘッドシザースホイップ。
 レッドとブラックに代わると、ブラックはサイドバスターを見舞ってレッドをリング外へ放り投げる。リング上はブルーとホワイト。ブルーがトップロープに乗ってのホイップを見舞おうとしたが、ホワイトはバランスを崩させてブルーを場外へ転落させる。そして、パープルとブラックが鉄柱や鉄柵を使ってブルーの左膝に集中砲火だ。
 リングに戻ってもブルーの左膝へ集中攻撃を見舞うモンスター仮面たち。イエローがカットに入ろうとすると、すぐにイエローを場外へ投げてしまい試合に参加させない。ブルーは立ち上がれないほどのダメージを負ってしまい、何とかニールキックを見舞ってタッチに行こうとするが、モンスター仮面たちはそれを阻止。
 パープルがブルーにハーフボストンクラブ。ブルーの苦しそうなうめき声が場内に響き渡る。パープルはブルーの膝に蹴りを見舞い、ロープへ飛ばすが膝に大きなダメージを負ったブルーはすぐに倒れこむ。ここでちびっ子から「ブルーコール」。ちびっ子のパワーを受け取ったブルーは回転蹴りで逆襲、やっとタッチ成功!
 タッチを受けたレッドがトペ・コンヒーロ。ハッスル仮面の逆襲が始まるかと思われたが、イエローがブラックにロープを利用した回転蹴りに行こうとするも、場外にいた島田に足を引っ張られてしまう。今日はイエローに対するマークが厳しい。リング上には膝を押さえてのたうち回るブルー。ここで乱入したバボとK'がイエローをリング下で押さえ付けて集中攻撃を仕掛ける。その間にパープルがホワイトの力を借りてブルーを合体パワーボム! カウント3が入ってしまった……。
 決着がついても、なおもイエローに集中攻撃を加えるモンスター軍は、なんとロープを取り出してイエローを後ろ手にグルグル巻き。そのままK'に担がれ、イエローはリヤカーに入れられてモンスター軍に誘拐されてしまった! まさか、高田総統の計画とはイエローを誘拐し、ビターンで洗脳することだったのか!?
 場内には勝ち誇る高田総統の姿がビジョンに映し出された。
「ハッスル仮面の諸君。キミたちの大切な仲間であるイエロー君は預からせてもらった。もし、仲間を助けたいというなら、次の名古屋でどうぞ遠慮なく取り返しにくるがいい。モンスター仮面はいくらでも相手になるぞ、フハハハハハ!」


RG、GMWリングに登場

 前GMのRGが『Lifetime respect』のテーマに乗って花道に現れた。曲に合わせて踊るRGだったが、会場はシーンと静まり返り、時折失笑が漏れるだけ。リングに上がりRGが「ヨ〜ヨ〜ヨ〜」と観客に問いかけてもブーイングしか起こらず、「RGで〜す!」と自己紹介しても帰れコールが起こるだけだった。するとRGは「帰らない、俺は帰らない!」と叫び、帽子とサングラスを外して土下座! 「みなさん、今まですいませんでした。今まで調子に乗っていました。俺の話を聞いてください」と大阪のハッスルファンに対する数々の無礼を詫び始めた。
「前回、大阪に来た時、僕はGMだったので、少し天狗になっていました。そしてリングの上で阪神タイガースのハッピを踏んづけてしまいました。あの日の夜は本当に怖くて、ホテルから一歩も出ることができませんでした。あの時の『死ね!』という言葉も聞こえていました。
 僕はGM総選挙で落選してしまいました。GMから失職して、本当に職がなくなりました。僕が一番輝くことができるハッスルのリングに戻ってくることはできないと思いました。でも今、こうやってハッスルのリングに戻ってくることができました。
 みなさん、僕のことが嫌いですか? 本当は好きでしょ? 僕はお客さんのことを相方だと思い、ブーイングをツッコミだと思ってきました。僕はこのリング、そして大阪が大好きなんです。大阪で笑いを教わり、吉本新喜劇に3年間在籍し、チャーリー浜師匠や桑原師匠に笑いの厳しさを教えていただきました。僕をハッスルのリングに上げさせてください! お願いします!」
 悲痛な様子で観客に語りかけるRG…とでも言いたいところだが、RGは何やら怪しげな表情を浮かべたまま。その不穏な空気を呼んだのか、RGに同情するお客さんは一人もいない。するとついにRGが本性を現す。それまでの態度から一変、RGは「うそだっー! ボケ!」とわめき散らし、帰れコールには「うるせえ、俺は戻ってきたんだよ!」と悪態をつくのであった。
 そんなRGは「俺を拾ってくれたすばらしいお方がいるんだ。マイボス・マイヒーロー、カモン!」と、新GMに就任したばかりの坂田亘をリングに呼び込んだ。
 ゴッドファーザーの壮大なテーマに乗って、花道に現れた坂田はブルーのド派手なラメジャケットにサングラス姿。貫禄たっぷりにリングへと上がる。そんな坂田にすかさず駆け寄り「十分、客席をあっためておきましたよ」とRG。しかしどう見ても場内の空気は冷め切っており、坂田はRGを「おい、犬のクソ! 長いんだよ、この俺を何分待たせてんだ!」と足蹴にする。一旦、場を落ち着かせた坂田は「お前ら、まずは自己紹介からだ。俺様がハッスル最高責任者の坂田様だ。英語を絡めて言うとGMWだ!」と、GMWコールを期待して高らかと叫ぶものの、お客さんはきょとんしたままである…
「おい、犬のクソ! 何だこの微妙な反応は!」と坂田。RGは自分のネタのために、最も大事なGMWコールの説明と振り付けを教えてなかったのだ。RGは慌ててGMWコールを説明し、「G・M・W!」と叫び全身を使ってGMWポーズを決めるのだが、誰一人としてRGの動きを真似するファンはいない。「ほとんど誰もやってねえじゃねえか! ここからは俺一人でやる!」そう言ってRGをリング下に蹴落とした坂田。ここでようやく今日の対戦カード発表となった。
「本来なら俺様がメインなんだが、それは11月23日の『ハッスル・マニア2006』からだ。対戦相手はもちろんエスペランサーだ」と、改めてエスペランサー戦をアピールした坂田。さらに「お前たちが喜ぶ選手の参戦が一つ」と、一部で噂される『ハッスル・マニア2006』の“えい子”参戦に向けての交渉が最終段階に入っていることを明らかにする! 正式な参戦発表ではなかっただけに、客席からは若干ため息も漏れたが「俺は一流のプロレスラーであると同時に、一流のプロモーターだ。お前らの期待を裏切るようなことはしねえ」とニヤリ。どうやら“えい子”参戦に絶対の自信を持っているようだ。そして最後は「今日はいい夢見させてやるからな!」と締めくくり、『ハッスル19』の開催を宣言した坂田。GM就任後一発目の大会で、しっかりGM職をこなしたのであった。


オープニングムービー