ファイトカード

高田総統劇場

"「はやるな、大将! 楽しみは本番までとっておけ!」
 HGと天龍のつばぜり合いにストップをかけたのは、高田総統だった。『威風堂々』のテーマと共にモンスター軍を従えて高田総統が颯爽とバルコニーに登場。リング上には新生ハッスル軍が結集する。
 爆発する「そーとー、そーとー!」のコール。「おい、今日はいいよ」と観客のノリにご満悦の総統。「ハッスルも随分やってるけど、今日は一番いいね!」と珍しく一発OKだ。総統に褒められた観客はさらに大きな「そーとー、そーとー!」コールを爆発させるが、「もういいって言ってるだろう!」と調子に乗ったところを総統に叱られてしまった。
「おい、社会保険庁! こんの野郎〜っ!」といきなり時事ネタで怒りを爆発させる総統! 「何が社会保険庁の24時間安心テレホンサービスだよ! ん? フリーダイヤル、ロウゴナヤミゼロってこの野郎! とってつけたような語呂を使いやがって! 電話が通じないらしいじゃないか、こんの野郎〜っ!」と国民の怒りを代弁する総統であった。
「失礼! 私としたことが、ちょっと感情的になっちゃったよ」と我に返った総統は「先日、セレブ小川が旅に出たいというからさ、旅に出してやったんだよ!」と本題に入る。
「しかしだ! なぜこのタイミングなんだよ! 旅に出るタイミングまでしょっぱいな。間が悪いったらありゃしない! 間が悪い! 間が悪いのを、モーニング娘。に例えるならば、加護ちゃんの喫煙問題、そして辻ちゃんの妊娠騒動の真っ只中で、三流芸人との交際が発覚したミキティくらい間が悪いよ!」と、またしても時事ネタを織り交ぜる総統であった。
「ま、そんなことはどうでもいい。まずは挨拶をしておこう。我こそがハッスルの偉大なる支配者・高田だ!」
 恒例の挨拶が終わると、再び爆破する「そーとー、そーとー!」コール。まさに後楽園ホールは一体化した。「いいよ!」と総統も気持ちよさ気である。
「いよいよだ! ハッスル・エイドまであと3日となった。飛んで火に入るクロマティ…ハッスルにおける絶対的な支配者が、この私であることを、広く世間に教えてやるための準備がようやく整った。おい、そこにいるスケールのちいさ〜〜〜い芸人コンビよ! よく聞け! キミたちには、とことんやられ役に徹してもらうが、決して私を恨まないでほしいな!」と総統は早くも勝利宣言。
「そいつはどうかな?」反旗を翻したのは坂田だった。「負けて吠え面かくのは、てめぇらの方じゃねえのか? ハッスル・エイドで輝くのは、俺たち新生ハッスル軍だ! そしてその中でも、ピッカピカに輝くのは……この俺サマだ! リングネームを今から""ダイヤモンド坂田""なんて改名してもいいかな、なんて考えているのが正直なところだな」と少々行き過ぎた発言に場内から“え〜っ!”という声も挙がってしまった坂田だった。
「おだまり、B級レスラー!」インリン様がそんな坂田に釘を刺す。「お前なんか、ダイヤモンドどころかただの石ころよ! 石ころは石ころらしく、道端にでも転がってなさい。ハッスル・エイドの主役は、このワタシに決まってるわ!」と、今度はインリン様が主役宣言! 上半期最大のビッグイベントであるハッスル・エイドを前にして、全員が浮き足立っているようだ。
 しかし、坂田とは違いファンから圧倒的な支持を得たインリン様は続ける。「それから、そこにいる死にかけのフンコロガシ。よくも私のインランプを盗んでくれたわね。この罪は、3日後のエイドでしっかりと償ってもらうわ!」とRGに向けて怒りを露に。隣にいたTAJIRIも「おい! 早くインランプをこっちへ渡せ! お前がインランプを盗むから、ボクがインリン様にめちゃくちゃ怒られたんだからな!」と駄々っ子のように訴える。
 瀕死のRGは「ハッスル・エイドではな、絶対にムタを出してな、ぶっ潰してやるからな!」と勇ましく応戦するが、インリン様は「お前ごときにムタが出せるはずがないわ! TAJIRI、そもそもインランプを盗まれたのはお前の不注意が原因よ。この責任は、しっかりと取りなさい!」とRGを全く相手にしていない。
「セイセイ、天龍!」とこのやりとりに割って入ったのはHGだった。「私の大切な相方をやっちゃってくれましたね〜。いいですか、今日はあなたにハードなプレゼントを用意してるんですよ!」チエが取り出したのは、なんとハードゲイスーツ!
「私がいきつけのハードゲイショップで特注した、特別品ですよ〜。見てください、このハードなデザイン! ワンサイズ小さめに作ってますからね〜。たまりませんね、この下半身の食い込み! 200%、キン●マが飛び出しますよ! あなたが30年かけてコツコツ積み上げてきたミスタープロレスのキャリアは、音を立てて崩れ落ちますからね!」とハードゲイスーツを見せ付けるHG!
「おい、お前の芸は相変わらず品がねえなぁ。やかましいや、この野郎!」と半ば呆れ気味の天龍。「いいか、あんちゃん。お前を、二度とTVに出られない身体にしてやる。その下品な芸を封印する! あと3日しかないから、最後の芸人生活をしっかり勤めてこい、この野郎!」とドスの利いた声でHGを恫喝する。
 ニヤリと笑った高田総統が、再び口を開く。「新生ハッスル軍の諸君。何を言うのも勝手だが、最後に笑うのはこの私だ。分かるだろう? 下々の諸君! 今日はこの辺で終わりにしておこう。まだ、エイドの準備がいろいろあるからな……」と、早々に引き上げようとする高田総統。そこへ待ったを掛けたのは、隣にいた川田だった!
「総統! 総統! そーとー!!」と川田が何度も問いかけるも、総統は視線をあさっての方向へ向けて「それでは…」と締めようとする。「総統! 今、俺の目を見たでしょ!」を必死に抵抗する川田。
「あの、総統に、折り入ってお願いがあるんですけど〜」と可愛く迫る川田に、総統は「なんだよ! 今日はお前と絡む時間はないんだよ!」と冷たく言い放つが、川田は「総統が何と言おうが、俺はエイドで歌いますからね」と何が何でもリサイタルを決行することを宣言する。
「何を〜、勝手に決めやがって! 私は聞いてないぞ!」と総統が言っても、「いや、総統が何を言おうが、俺は歌いますから」と聞き分けのない川田。「おいおいおい、随分と反抗的じゃないかよ!」とイライラする総統に、「いや、絶対に歌う!」と一歩も譲らない頑固な川田!
「そんなにオープニングで歌いたいなら…この私にも考えがあるよ!」川田の粘りにさすがの総統もついに精根尽き果てたか、川田リサイタルを認めるような発言。「え! 考えってなに?」と顔を輝かせる川田だが、総統はその問いに答えることはなく、「ま、モンスターKの歌はともかく、ハッスル・エイドはとてつもなく楽しいイベントになる。下々の諸君、3日後のさいたまスーパーアリーナでお会いしよう。バッドラックだ!」と謎の言葉を残して去っていった。
 リング上に残ったハッスル軍。重苦しい雰囲気を坂田が破った。
「よし、みんないいか! 仕切りなおしだ。俺はノートン、HGは天龍に勝つ。リョウジはクロマティのサポートをしっかりしろ。そしてKUSHIDAとチエ、お前らは負ける事を考えず、死ぬ気でぶつかっていけ。ハッスル・エイドでは俺たち新生ハッスル軍が、真の意味でのレジスタンスを起こすぞ!」と高らかに吼える!
「出ましたね、レジスタンス! RGも悪運だけは強い男ですから、本番ではやってくれるでしょう。じゃあ皆さん、エイドに向けて気合を入れるためにいつものやつ、いきますか! おっ勃っちゃってくださ〜い!!」とHGも呼応した。
「いいですか、皆さん。3日後のハッスル・エイド、私HG、圧倒的な計画をビンビン考えています。全然、萎えてませんよ。皆さんもあの天龍がハードゲイになるのを見たいですよね!」とHGが問いかけると、観客席からは一斉に「みた〜い!」の声。このファンの後押しを受けて、新生ハッスル軍は高らかにスリーツーワン、ハッスル! ハッスル!! フォー!!!を決めたのであった。戦力的には弱くても、何か勢いを感じさせる新生ハッスル軍。3日後のエイドで、レジスタンスは成るのか!?"

メインハッスル

9分43秒 テキサスクローバーホールド

 ハッスルに突如現れた不思議アイテム「インランプ」(インリン様の魔法のランプ)。それはインリン様がまだ現役復帰する前に休養先で偶然見つけたもの。言い伝えによると、凶悪な魔人やモンスターを封じ込めることができ、そこから出した者のいうことなら何でも従うという。
 前回の5・9『ハッスル・ハウス vol.24』(後楽園ホール)でランプから登場したブッチャーは、インリン様の命に従い、RGを瞬殺した。
 それから月日が経ち、インリン様とTAJIRIが記者会見を開いた。その会見でインリン様は、ランプの中身をブッチャーから、魔界の住人グレートムタに入れ替えたことを示唆。さらに、『ハッスル・エイド2007』で、約1年半ぶりとなる自らのリング復帰も宣言した。
 と、その時……ランプの恐ろしさを身を持って知るRGがインランプ略奪という暴挙に! 怒ったインリン様は、自らの復帰戦の相手にRGを指名! これを高田総統が了承し、『ハッスル・エイド2007』では、インリン様とTAJIRIがタッグを組み、RG・インランプ組と対戦することになった。もし、インランプからムタを出せれば、RGにとってはこの上ない強力なパートナーになるのだが……。
 場面は変わって、そこはハッスル軍控え室。インランプと向き合っているRGはムタを出そうと必死。
「ハタリハタマタハタリハタマタハタリハタマタハタリハタマタ…」
 なかなかムタが姿を見せないために、「おっかしいな〜。確か、ハタリハタマタって言ってたはずなのに……」とRGは大きくため息をつく。
 小さい脳で試行錯誤するRGは「ん? ムタってことは……ハタリハタムタ! そうや、ハタリハタムタハタリハタムタハタリハタムタ……」と、ムタの名前を入れながら呪文を唱え始めるも出るムタが出てくる様子は微塵もない。
 すると、そこにRGの出番を知らせるスタッフが控え室に入ってきた。
「え! もうそんな時間? クッソ〜。せっかくムタを出して、天龍をやっつけようと思っていたのに……! こうなったら、一人でやるしかないか……。天龍に敵わないのはわかってる! でも、タダでは負けへんぞ」と、必殺の生肛門スターを天龍の顔面に押し付けることをぶちまけた。徹夜でインランプをこすり続けているために、何日も風呂に入っていないRG。もし生肛門スターを食らったら、天龍は一溜まりもないはず……。

閉じる インランプを手にして、ムタという最強の味方をつけたからか(?)余裕の表情が垣間見えるRGがノリノリで先に登場。次に天龍が入場すると、場外にいたHGが天龍の後ろから奇襲を仕掛けた!
 不意を突かれた天龍がよろめいていると、コーナートップに立ったRGはプランチャを敢行! 天龍は後頭部を強く打ってしまいフラフラ。無理やり天龍をリングインさせたRGは生肛門スターの体勢へ! これを紙一重で避けた天龍は怒り、RGを持ち上げながらマットに叩きつけた。
 RGは張り手で反撃するが、天龍のチョップを食らってしまう。さらにダブルアーム。スープレックスを放ち、強烈な逆水平! これで完全にグロッキー状態となったRGはコーナーに追い込まれる。
 天龍のグーパンチ一発で鼻血を出したRGだったが、泣きながら張り手を見舞っていく。すべてを受けきった天龍は不覚にもダメージを負ってしまい、目は虚ろだ。
 トドメをさそうと、天龍はラリアットからWARスペシャルへ。RG大ピンチのところ、セコンドについていたHGがペットボトルを投げ入れカット! 一瞬の隙をついてRGはスクールボーイで丸め込みにいったが、天龍ははね返す。
 立ち上がった天龍は、パワーボムからテキサスクローバーホールドで一気に勝負を決めた。
 助けにきたHGがエプロンに立ったところ、天龍が睨み返し一触即発のムードに! すると場内にいつものあの声が……。


セミハッスル

4分39秒 コブラクロー

 ハッスルのリングで増殖を続ける謎のマスクマン軍団。前回、青森大会で初タッグを組んだ、明からさまにケビン・ランデルマンな「ランデルマン」と、同じく明からさまにマーク・コールマンな「コールマン」。キンターマン、クロダーマンと同じく、正体不明と言い張る彼らの目的はモンスター軍入り。 先日の青森大会では、2vs3のモンスター軍入り査定試合で見事な勝利を収めたランデルマン&コールマン。しかし、1回勝ったくらいでは入団を認められず、アン・ジョー司令長官から追試マッチを言い渡される。その相手を務めるのは、なんと“狂虎”タイガー・ジェット・シン! 
 ハッスル・エイドでプロレスド素人のクロマティと闘うことになったシンは、以前にも増して凶暴性を増している。しかし、その正体があのPRIDEファイターであるならば、勝利の可能性も無きにしもあらず。ランデルマン&コールマンは悲願のモンスター軍入りなるか?

閉じる 試合前から筋肉を震わせハイテンションなコールマンと、人間離れしたハイジャンプでポテンシャルの高さを見せるランデルマン、これは期待が持てそうだ! そして「サーベルタイガー」の不吉な旋律の中をシン&ジョー之助組が観客席を蹴散らしながら登場。
 イスを投げるはサーベルを振り回すわとやりたい放題だ。そこへランデルマンが奇襲攻撃! サーベルを奪うと、シンのお株を奪う凶器攻撃。壮絶な場外乱闘の中、試合開始のゴングが打ち鳴らされる。早くも場内は阿鼻叫喚、恐怖と興奮の坩堝と化し、リングアナも「お下がりください! お下がりください!」と観客に注意を呼びかける。
 場外ではシンが観客から奪い取った傘でランデルマンを攻め立てるが、ようやくコールマンがジョー之助を引き連れて、戦場をリング内へ移す。続けてリング内に辿り着いたシンは、何やら鋭く光る凶器を取り出すとコールマンに突き立てる。
 怒りのコールマンは迫力のあるタックルでシンからダウンを奪うと、そのままマウントポジションをキープ。しかしジョー之助がすかさずカットイン。怒りのコールマンはジョー之助の体を豪快なフロントスープレックスで中に舞わせる。そして万力のようなケサ固めで一気にたたみ込むが、またもシンが凶器でカット。凶器を手にシンは狂喜乱舞、舌を出しながら獲物を狙う猛獣のようにリングをのし歩く。
 両軍入り乱れて収拾がつかず、秩序を見失ったリング上、最後はシンがランデルマンから必殺コブラクローでピンフォール勝ちを奪った。
 ゴング後もコブラクローを解こうとしないシン、そこに颯爽とバットを持った黒い影がリングに乱入! その勢いのままに昭和の名プロレスラーであるボボ・ブラジルの必殺技“ココ・バット”を髣髴させるようなヘッドバットでシンを蹴散らしたのは、ハッスルの強力助っ人・ウォーレン・クロマティだ! 
 ハッスル・エイド2007での対戦を前に、シンに先制パンチを喰らわせた形のクロマティ。不意をつかれたシンはイスを投げつけて怒りを露にしながら、モンスター軍に抱えられるようにして退場。
 クロマティはマイクを取ると「本当ニオ久シブリ! タイガーサン、バッカヤロ〜! クロマティサン、勝チマスカラネ〜! マッカセナサイ!」と力強く勝利宣言。そしてトレードマークである万歳三唱で四方の観客を巻き込むと、意気揚々と「クロマティのテーマ」をBGMに退場。
 ハッスル・エイド2007での猛虎狩りにむけて準備万全、最強の外国人助っ人は、ドデカいホームラン級のインパクトをカッ飛ばしてくれるに違いない!


川田×鈴木劇場

 休憩明け、タキシード姿の“モンスターK”川田がリングイン! 今日は試合がなく、オープニングも取られてしまった川田はちょっと寂しげ。どうやら今日は、大事なお知らせがあるために会場に姿を見せたようだ。するとビジョンに
『ハッスル・エイド2007 オープニング 川田利明 リサイタル開催決定!』
の文字が……。
「現在、毎日ボイストレーニングをしていて忙しい。大会当日は100%の歌声を披露するため、今日は喉を休ませるか…」川田が引き揚げる素振りを見せると、会場からは、ブーイングが飛ぶ。
 機嫌をよくした川田は「そんなに歌ってほしいの?」と、インリン様の名台詞をぱくって笑顔。
「やっぱり本番に向けてリハーサルを行うことにした」と決断した川田は、音響係にミュージックスタートを呼びかけた。
 すると場内に流れたのは川田の歌う曲ではなく『風になれ』だ。
 慌てる川田は「おい! ちょっと待て! 何だこの曲!? 俺が頼んだのと違うぞ!」と停止を呼びかけるが、その曲に乗って鈴木みのるが堂々とリングイン!
 呆気に取られていた川田だったが、「……長いよ! それ、お前が思ってるほど、カッコよくないぞ! 俺は今、忙しいんだよ」と完全に鈴木を無視しながら、気を取り直して「ミュージックスタート!」の掛け声。
 すると場内には、川田のリクエストしたものとは違う曲が再び流れるではないか! 次に姿を見せたのは高山善廣だ!
 リング中央にどっしりと構える鈴木と高山を目の前にして、かなり不機嫌な川田は「おい! 俺のオンステージを邪魔すんな! 何しに来たんだ!」と怒り心頭。
 ようやく口を開いた鈴木は「あのさ、6月17日、『ハッスル・エイド2007』当日は、俺の誕生日会をやろうと思ってんだよ。そんなに歌いてえなら俺のためにバースデーソングでも歌うか?」と川田を挑発する。
 即座に、「断る!」と返事した川田は「確かに総統がお前らとの試合、勝手に組んじゃったけど、俺は歌のことで頭がいっぱいなんだよ、さっさと帰れ!」と、2人を追い出すことに必死だ。
 鈴木からバトンを受けた高山は「お前さ、自分で歌、上手いって思ってんの? 俺、思うんだけどさ、こんな奴にビッグイベントのオープニング任せない方がいいんじゃね? 後楽園のお客さんは優しいかもしれねえけど、スーパーアリーナでやったら100%、いや200%スベるな〜」と余計なおせっかい。
 黙って聞いていた川田だったが、「なんだお前。ちょっと『徹子の部屋』に出たからって、いい気になってんな、この野郎! なんだったら、ハッスル・エイドで、俺と歌で勝負するか?」と理不尽な要求を突きつけた。
 しかし、高山は一切焦りを見せない。というのも、契約したソニーミュージックから7月にCD発売をするからだ。「お前、まだCDデビューしてないんだろ? お前、見てるとさ、売れない演歌歌手思い出すよ」と、言いたい放題の高山は勝ち誇った表情。
「そんなに歌で勝負したいんなら、まずリングの上で勝ってみろよ。高田モンスター軍だっけ? ナンボのもんか、確かめてやるよ!」と鈴木は川田に対し、本業のプロレスで対決することを明言した。
 すると、ここで川田とタッグを組む“ファイアーモンスター”ACHICHIが乱入! そんなことなど全く相手にしない鈴木&高山は「『ハッスル・エイド2007』で軽く遊んでやるから、誕生日プレゼント持って楽しみに待っとけよ!」と捨て台詞を吐いて会場から颯爽と姿を消した。
 完全に場の雰囲気を持っていかれてしまった川田は憮然とした表情で「俺はACHICHIと組んで、あの二人を『ハッスル・エイド2007』でめちゃくちゃにしてやるから。バッドラックだ!」とオンステージを邪魔された怒りに震えながら、リングを後にした。


第3ハッスル

9分2秒 ダイビングフットスタンプ

 新生ハッスル軍の控え室。
 崔は「セレブ小川がどっかに旅に出たか…。あいつ、きっと兄貴にビビッて逃げたんですよ」と、ハッスル・エイド2007で坂田と対戦予定だった小川の出場辞退は敵前逃亡だと言わんばかり。これに坂田は「それもあるだろうな。だが、ある筋から聞いた情報によるとモンスター軍に行った途端、ファンが露骨に野次りだしたろ、それに耐えきれなくなったらしい」と、ちょっと切ない裏ネタを披露。
 続けて坂田は「同情するわけじゃねえが、後楽園ホールのファンは世界で一番厳しいからな。トラウマになっても無理ねえな」と“格闘技の聖地”の敷居の高さをシミジミと語る。
 崔も「確かに、しょっぱいのはお前や! って言われたとき、目が泳いでましたもんね」と対戦経験のある小川の残念な様子を思い返す。そして「おい、チエ。お前もセレブみたいにしょっぱいっていわれんよう、頑張れよ」と後輩に当たるチエにアドバイス。するとチエは「お前もな!」と先輩をまるで先輩とも思っていないような受け答え。相変わらずな天然素材、大物の片鱗が見え隠れする。
 今夜はハッスル・エイド2007の前哨戦。崔は「兄貴。ノートンは要注意ですよ。デカイし、力もハンパやないし。エイドでのシングル、大丈夫ですか?」と坂田を気遣う。しかし坂田は「俺の心配する暇があったら、自分の心配しろ! ま、勝って名を上げるには、ノートンは悪くない相手だ。あいつには俺の踏み台になってもらうぞ。リョウジ、くれぐれも俺の足を引っ張るんじゃねえぞ」と兄貴分らしく頼もしく言い切る。
 崔も「引っ張りませんて! 俺だってエイドは、クロマティと組むんですから!」とエイドに向けて気合十分だ。そしてチエに対して「お前、俺の足引っ張るなよ!」と先輩風を吹かせる。すると「お前、クロマティの足ひっぱんなよ!」と減らず口で崔をやり込めるチエなのであった。

閉じる 試合開始のゴングを前にノートンに詰め寄る坂田、ハッスル・エイド2007を見据えて意識しまくりだ。この坂田をなだめて崔が先発で登場、対峙するのはノートン。ロックアップで組み合うと同時に崔を軽々とねじ伏せるノートン、続けて豪快なフライングショルダーでふっ飛ばし、その規格外のパワーを誇示する。
 ここで坂田がリングイン、ノートンの分厚い胸板に逆水平を何発も打ち込むが、逆にノートンの逆水平1発でダウンを喫してしまう。続いて登場のチエも、元気よくノートンに力いっぱいぶつかっていくが、超竜は全く動じず。ノートンは足にしがみ付くチエを引きずったままバボとタッチ。
 バボは高い打点の豪快なドロップキックをチエに炸裂。チエもお返しとばかりに精一杯張り手を叩き込み、バンザイエルボーを狙うが、バボは張り手一発で跳ね除けてしまう。続いてリングインしたACHICHIは、強烈な逆片エビ固めでチエをしゃちほこ状態に。これにはコーナーの坂田も「一応女だぞ!」とたまらず牽制するが、モンスター軍は全く意に介さず。チエを交互にまるで物のようにボディスラムで投げつけ始める始末。
 チエは何とか相手の同士討ちを誘うと、崔に命からがらタッチ。崔はレッグラリアット、ブレーンバスターとACHICHIを一気呵成に攻め込む。逃げるようにACHICHIはバボと交代、同時にリングインした坂田はバボに気合の入ったナックルパートを叩き込むと、ノートンに見せ付けるようにフロントスープレックス、バックドロップとパワフルな攻撃を繰り出す。
 ここでモンスター軍がリングに雪崩れ込み、坂田を捕獲。コーナーポスト目掛けて対角線上に坂田を振り飛ばすと、ノートンが巨体を利した強烈な圧殺プレス。坂田はグロッキー状態となるが、なんとかノートンをトラースキックで場外に追い出すと、リングに一人残されたバボにダイビングフットスタンプでピンフォール勝ち! ハッスル・エイド2007の前哨戦を自らの手で制した。
 しかし試合が終わったにも関わらず、ノートンは坂田に超強烈な高角度のパワーボム一閃! 勝利を収めたにも関わらずリングに大の字となってしまった坂田、この落とし前はハッスル・エイド2007のリングで晴らすしかない!


第2ハッスル

8分49秒 バズソーキック

 かつて同じハッスル軍として、固い絆で結ばれる「師匠」と「弟子」の関係にあった、TAJIRIとKUSHIDA。しかしTAJIRIはインリン様の母乳・イン乳を無理やり飲まされたことで、身も心もモンスター軍の一員として洗脳されてしまう。そんな師匠を救うべくKUSHIDAは、なんとかTAJIRIの目を覚まそうと奮闘するが、その思いは届かず……。
 ついには「もうお前なんか師匠でもなんでもない! 次は一対一で勝負しろ」とシングル対決を要求。これにTAJIRIが応える形で因縁の元・師弟対決が実現、KUSHIDAは変わり果ててしまった師匠を超えることは出来るか?

閉じる 先日の青森大会でのシン戦の傷跡が癒えないのか、痛々しく頭に包帯を巻いて入場のKUSHIDA。続いてイン乳を大事そうに抱えてTAJIRIがリングイン、その視線は完全にどこかにイッちゃっている……。
 KUSHIDAが奇襲する形で試合はスタート。ドロップキックでTAJIRIを場外に蹴散らすが、TAJIRIは素早くリングに戻ると、逆にKUSHIDAを場外追放、キャリアの差を見せるようにインサイドワークの良さを発揮する。そして場外でKUSHIDAの包帯を無造作に剥ぎ取ると、ハンマースルーで柵に叩きつける。
 開始早々に怪我を狙い撃ちされ、劣勢を強いられるKUSHIDA。TAJIRIは奇声を発しながら重点的にKUSHIDAの傷跡を攻め立てる。
「血がいっぱい出てるよぉ〜!!」と放送コードに引っかかりそうな表情を浮かべるTAJIRI。なおも傷跡にニードロップ、かきむしりとKUSHIDAの体力を奪っていくような攻撃を重ねて、かつての愛弟子を追い込んでいく。
 マットにはいつくばりながらも目は死んでいないKUSHIDAは、何とか反撃を試みようとするが、TAJIRIはそう簡単に許さず。逆に強烈なトラースキック、パイルドライバーをきめる。
 隙をついたKUSHIDAがコーナーに置かれていたイン乳を手にすると、TAJIRIは慌てふためいて必死に取り返し、異常な執着心を見せる。怒ったTAJIRIはエルボーを傷跡におしつける非情な攻めを繰り出し、続けて複合のストレッチ技から傷口に噛み付く容赦ない攻撃。
 TAJIRIのハンドスプリングエルボーを何とかドロップキックで返したKUSHIDA、リング外のTAJIRI目掛けて捨て身のトペ・コン・ヒーロ! リング内にTAJIRIを戻すと、トップロープからミサイルキック、そしてここを勝機とジャーマンスープレックスを仕掛けるが、惜しくもカウントは2。
 続けて果敢にランニングエルボーを叩き込むが、これも3カウントならず。ここでTAJIRIはなんとレフェリーに命よりも大切なはずのイン乳を放ち目潰し攻撃、そのスキをついてKUSHIDAに毒霧噴射! すかさずバズソーキックを叩き込み、貫禄の勝利を収めた。
 試合後、リング下からやおら何か取り出したTAJIRI、そこにはもう一つのイン乳が……。そしてマイクを取ると「おい、KUSHIDA! お前がイン乳を狙ってることぐらいとっくにお見通しだったんだ! だからオレはあえて偽物を用意して、この本物をリング下に隠しておいたんだ! しかしお前は素質が無い! プロレスラー以前に人間として生きていく素質が無い!」と冷酷に言い放つ。
 KUSHIDAにとってはあまりにも残酷な仕打ちである。続けざまにTAJIRIは「しかし、お前には若さがある。その若さを生かしてサラリーマンにでも転職すれば、お前の人生にも少しは光がさすとエールを送らせていただく! しかしプロレスラーとしてのお前は今夜ここで終わった!」と演説風にリアルな最終宣告。
 この悔しさをバネにKUSHIDAは立ち上がれるのか? ハッスルの将来を担うためには、ここが踏ん張りどころなのだが……。


第1ハッスル

8分20秒 ”か”ラリアット

 試合前のキンターマン&クロダーマンの控え室。
「ちょっと! マスクちゃんとかぶって下さいよ!」とクロダーマンが、自称・正体不明のマスクマンにも関わらず、堂々と素顔をさらしているキンターマンに注意。しかし「暑いねん、誰もおらんから大丈夫や」と、キンターマンはあまりマスクマンとしての自覚が無いのかお構いなしの様子。
 話は変わり「I●Fって景気よさそうだよな。カート・アングルとかブロック・レスナーのギャラっていくらなんでしょうね?」とクロダーマン。噂の新興団体の羽振りが気になるようだ。キンターマンも「そやな。俺ら2人の月給足して、そのうえ何回も風俗に行けるくらいちゃう?」と生々しい算段。
 これにはクロダーマンも「マジで? 自分たちもI●Fに行った方がいいんじゃないすか?」と目先の欲望に目が眩み始める。しかし、キンターマンは「やめとけやめとけ。ギャラなんて絶対もらえへん。行くだけ損や。それよりも、モンスター軍の方が、何倍も安心やって。だから、今日の査定試合は、絶対勝たなあかん」とたしなめる。
 どうやら高田総統に取り入る方が、I●Fよりも「一寸先のハプニング」に遭遇する可能性が少ないと考えているようだ。
 さて、今夜の対戦相手は「長州か」と「長州が」の革命戦士風モンスターコンビ。キンターマンは「今夜は楽勝や。本物の長州力だって大したことないんやで?」と暴言を交えながら余裕シャクシャク。「これで、モンスター軍入り間違いなしや。それに、念には念を入れて、絶対に負けんように必殺のアイテム用意しとんねん。これさえあれば、絶対に負けへん。よし! じゃあ行くど!」と何やら秘策を匂わせてリングに向かう。
 しかし大事な何かを忘れているような……「おい! マスク! マスク!」とキンターマンのマスクを手に、慌てて追いかけるクロダーマンであった。

閉じる まずはキンターマン&クロダーマンの入場、当然のようにお馴染みのブリブラダンス。そしてキンターマンはなぜか勢いあまって一人ムーサルトプレスまで披露、当然のように自爆する。
 続いてW長州がパワーホールが流れる中をヘンに大物感を漂わせながら入場、「か」のTシャツには「キレてないですよ!」では無く「サシてないですよ!」の文字が……。
 先発は「か」とクロダーマン、しかし「か」のラリアットを交わすと即座にキンターマンにスイッチ。キンターマンは観客を煽って、攻撃に合わせて掛け声をするように促す。観客もそれに応えてキンターマンと「か」が攻撃を繰り出すたびに「キン!」「か!」とコール。
 続いて「か」から「が」に交代、まずは2人がかりでキンターマンにストンピング、太鼓の乱れ打ちと長州風な攻撃を見せる。そして「が」はキンターマンに独特なエルボーからサソリ固めと、これまた「らしい」必殺フルコース。
 ピンチを切り抜けたキンターマンに代わってリングインのクロダーマンは、「が」をコーナーで捕獲すると「もう一丁エルボー」をリズミカルに繰り出す。そしてキンターマンが「が」を羽交い絞めで固定、クロダーマンはそこに場内狭しと走り回り、ランニングラリアットをブチ込む。
 リング内に戻ると、キンターマンが「が」にセカンドロープから軽快なムーンサルトプレス、今度は相手目掛けてきっちり10点満点の着地。そしてクロダーマンと息の合ったWエルボー、長州コンビ相手に試合を優勢に進める。勢いに乗るキンターマンはトップロープから大技を狙うが、「か」に雪崩式ブレーンバスターで切り替えされる。
 そしてラリアットからサソリ固め。慌ててクロダーマンがカットに飛び出すが、「が」はそれを阻止してサソリ固め、W長州によるWサソリの競演だ。ロープに何とか逃れると、クロダーマンはお返しとばかりにTOPロープから哲ちゃんカッターを「か」に炸裂させる。
「ここで最終兵器を出すか!」とキンターマンが取り出したのは殺虫剤。動揺する「か」と「が」に対して容赦なく噴射、まずは「が」が撃沈。続けて狙うは「か」、キンターマンが捕獲してクロダーマンがいたぶるように吹きかけるが、「か」に避けられてしまいなんとキンターマンに誤爆。あえなく卒倒するキンターマン。
 そのスキをついて「か」がクロダーマンをバックドロップで場外追放、続けてキンターマンにはラリアットを炸裂させ、そのままフォール勝ちを奪取した。
 試合直後、フォールを取られたクロダーマンに対してキンターマンは「おい!お前が悪い! これでモンスター軍入りも無くなったやないか!」と叱責。これに珍しく声を荒げてクロダーマンは「ちゃんと捕まえとかないから悪いんでしょ!」と責任のなすり合い。
「大事なとこでポカするからお前はインディー止まりなんや!」「自分だって、どインディーじゃん!」衆目の中で低レベルな言い争いを始める自称・正体不明のマスクマン二人。しかもキンターマンは言うに事欠いて「この黒田哲広!」と赤裸々に正体までバラしちゃう始末。
 これにはクロダーマンも「勘弁してくださいよ、そういうのは……本名は」とガックリとうなだれる。気を取り直してクロダーマンは「でも何とかなりますよ、コールマンとランデルマン、あいつらだったら、シンとジョー之助に勝ってくれますよ! だから、次2人のセコンドにつきましょう!」と前向きに呼びかける。しかしキンターマンは「いやや、ランデルマンとコールマンはたしかに仲間や。でも相手を考えてみぃ、タイガー・ジェット・シンやぞ! セコンドついて殺されたらどないすんねん!」と逃げ腰。
 そして唐突に「おい、それよりおっぱいパブ行こうや。今やったら安くいけるから!」と試合そっちのけで欲望丸出しな発言。クロダーマンも少し間があってから「……恐縮です」。2人揃ってセコンドをほったらかしにして、夜の街へと繰り出すのであった……。


アントキの猪木登場

「レディス&ジェントルマン……」
 いつものように、ケイ・グラントがオープニングに登場する人物の名を呼び上げようとしたその時、会場内に『炎のファイター』が流れるではないか!? この入場曲となれば、もちろんあの人が登場! ハッスルをジャックしに来たのか? それともI●Fの宣伝か! リングに上がった人物をよく見ると何やら小さいぞ??
「元気ですかー!! 元気があればなんでもできる。元気があれば、ハッスルのオープニングにも上がれる」
 四方にあいさつしたその男は、アントキの猪木だ! 会場が爆笑の渦に包まれる中、猪木は続ける。
「足跡が聞こえてきた6月17日には『ハッスル・エイド2007』。6月29日には猪木ゲ●ム『闘今 B●M-BA-YE』だ。エイドはどうでもいいが、『闘今 B●M-BA-YE』は果たしてホントにやれるんでしょうか?」と自虐ネタで観客をあおる。
「まあ、そんなゴタゴタはさておき、ハッスルとI●F、それぞれのビックマッチの前菜にあたる今日の大会……」と言いたい放題の猪木は、早速本日の対戦カードを発表し始めた。
 ビジョンに対戦カードVTRが流れ、それが終わると突然猪木は不満を爆発させる。
「俺は今、怒りの炎に燃えている……というのも、セレブ小川がハッスルから旅に出ちまったな。なんでも俺が金で引き抜いたからだ、という悪い噂がある!!」と、小川I●F参戦についての説明だ。
「ムフフフ……バカヤロー! 誰だ! そんなこと言うやつは!? どこのプロレスオタクだ!? お前か!? 2ちゃんねらーみたいな顔しやがって! いくらかつての愛弟子とはいえ、金で引き抜くやつがあるか! そんな金があったら永久電機の開発に使うわー!」と、一人突っ込みでネタを締めた猪木は満足顔。
 すると、ビジョンに『長いのでまいてください。』とのテロップが……。
「長いのは俺のアゴだけで十分か? このバカヤロー! えー、マキが入ったところで、最後にいつものやつ、やりますか? それでは皆さん、ご起立ください」
 観客を総立ちにさせたところで、猪木は「ま、『ハッスル・エイド2007』はともかく、ボンバイエはやれるかわからねえんですが、それでは一発ご唱和ください! 行くぞー! 1! 2! 3! ダー!」で締めくくり、アントキの猪木は花道を退場したのだった。


オープニングムービー