「下々の諸君! モンスター軍の偉大さを思い知ったか?」
威風堂々のテーマが鳴り響くと、今日はバルコニーではなく高田総統がリングに登場。久しぶりのリングインに場内が大いに沸く。当然、「そーとー、そーとー」コールも大爆発だ。
「うん、うん。キミたち、バカじゃないんだな。少しずつ進歩している」と高田総統もご満悦でお褒めの言葉(?)である。「しかしだな、今日は日曜の真昼間だぞ。おい、11時開場・12時開演だよ。何なんだ、キミたちは! 性懲りもなく暇でもてないしみったれたヤツらが、随分と集まったじゃないかよ!」高田総統はやはり高田総統なのであった。
「我こそが高田モンスター軍総統、高田だ!」と“お約束の美学”である挨拶を済ませた総統に、再び爆発する「そーとー!」コール。これには高田総統も感心し、「正直、嬉しいよ」と喜びを隠し切れない。
だが、「外はさわやかな陽気だ。しかしな、私はなここへ来る度に思うんだ。むさ苦しいな! 呼吸をするのも不愉快だな!」と一瞬にして豹変する高田総統。
「ところでだ、昨日、私の右腕であるニューリンに対して、闘いたいだなんだと寝言を言いやがった馬鹿ども! 所詮、ハッスル軍のヤツらなどこんなものなんだ。分かるだろう? 私の思ったとおりだ。今日はニューリンを呼ばなくてよかったな」勝ち誇る高田総統であったが、場内からは一斉に「エーッ!」というブーイング。どうやら会場のファン全員を落胆させてしまったようである。
そこへ、あの男の声が!
「おい! これで勝ったと思うなよ!」
『8時だヨ、全員集合!』の入場曲が鳴り響き、小川を先頭にハッスル軍が東側のバルコニーに現れたのだ!
「オイーッス!」と故・いかりや長介ばりにファンへ呼びかける小川。ファンも呼応して「オイーッス!」と元気がいい。
「いや〜、こうして高いところから見下ろすと、リング上にいるお前らは随分ちっぽけだなぁ!」と立場が逆転して気持ちよさそうな小川は、「挨拶はしておこう。我こそはハッスル軍キャプテン、小川だぁ!」と総統の真似まで披露だ。TAJIRIは「はい、皆さん! 盛大なキャプテンコールをお願いしまーす! はい! キャープテン! キャープテン!」とキャプテンコールを煽る。
「おい! 随分と気持ちよさそうだな」高田総統がたまりかねて口を出す。小川は「つい笑顔が出ちまうぜ」と相変わらず嬉しそう。これには高田総統も「キミの笑顔は久しぶりだよ!」とつられてにこやかになるが、「ただな、ひとつ言っておくよ。言うに事欠いて今なんと言った? 我々がちっぽけに見えるだと? 誰に物言ってんだ! この野郎!」といきなりキレる!
「どうだ、俺たちの気持ちが少しはわかったか? こうして上から見下ろすと、本当に気持ちいいもんだなぁ! いいか、よく聞けよ。プロレスっていうのはな、こういう駆け引きが必要なんだよ。お前の言うところのサイコロジーってやつだな」精神的にも優位に立った小川の毒舌は止まらない。
しかし、総統はさらに一枚上手だった。「おい、さすがだ。道場主ともなると言う事が違うなぁ、チキン君」と褒める総統であったが、場内からはなぜか笑いが…。
「そういえば先日の話だ。キミの道場開きのお祝いに贈り物をしようと思ってな、小川道場のホームページを見たんだよ。ひとつ言っていいか? 月謝が高すぎるよ! あれじゃあボッタクリだよ! 君はな、子供たちからもお金を巻き上げる、そういう気持ちはよくないんじゃないの? おい、お前はやっぱり銭ゲバだよ!」としっかり下調べしてきていたのだ。場内からはさっそく、「銭ゲバー!」という野次が飛ぶ。
「おい、営業妨害で訴えるぞ! この野郎! 小川道場はな、極めて良心的なんだよ!」と反論する小川だったが、“銭ゲバ”コールは収まらない。
ここで川田がマイクを持った。「本当にそうか、チキン? 俺もな、お前にお祝いを贈ろうと思ったんだよ。俺は慣れてなくてヘタだけど、ホームページを見たんだよ。そうしたらなんだ? 強い心、強い体、そして礼儀の分かる子供たちに育てたい? そういうお前は、何一つ出来てないんじゃないか!」と痛いところを突く。「おい! ハッスル仮面イエロー! お前、正義の味方だろ? その嘘つきをやっつけなくていいのか?」
困惑するイエローを制し、小川が反論。「黙れ歯抜け! そういう寝言はな、本当に物を贈ってから言えっつーんだよ!」ちょっと説得力のない弱い反論であった。
「おかしいなぁ?」と首を捻りながら口を挟むのはTAJIRI。「あの〜僕もね、家のパソコンで高田道場のホームページを見たみたんですよ。そしたらね、月謝は小川道場と一緒か、確かむしろ高田道場の方が高かったと思うんですよ」さすが人間が細かいTAJIRI。
「おい、お前はいっつも細かい事ばかり。何をやってんだよ! 何を調べてんだ。毎日毎日、何をやってるんだ?」と川田が問いかけると、TAJIRIは「いつも何をしているかですか? まず毎朝7時に起きてですね、犬の散歩です。犬の名前はゴン太くんって言うんですよ。それから朝ごはんですよね。僕はね、どっちかって言うとパンよりもご飯が好きなんです。それから……」とまたしてもマシンガントークを展開するTAJIRI!
「おーい! お前がご飯喰ってようがクソ喰ってようが関係ねぇだろ、この野郎!」しびれを切らして川田が叫ぶ。
すると今度は大谷が口を開いた。「おい、歯抜け! いっつも人の頭の事にケチをつけやがって! しかしな、こうやって上から見るとな、なんだかんだと難癖つけたくなる気持ちが凄くよく分かる。今日は言ってもいいかな? おい、歯抜け! 歯抜け! 歯抜けーーっ! あ〜気持ちいい!」と満足そうな大谷!
川田も黙ってはいない。「おい、江頭。お前、あんまり興奮すると髪の毛によくねぇと言っただろ」
すると大谷は「おい、もう分かったからもう黙っててくれ」とちょっと落ち込んだが、「高田総統!」といきなり高田総統を名指しにする。場内からは「おーっ!」というどよめきが。「高田総統! 高田総統! 高田総統!」と調子に乗るあちちは「今日のところは負けたけどな。来月の仙台、HGが戻ってくるぞ。その時に改めて、大阪と今日の借りを返してやるからな。仙台は必ず、あの“乳輪”とかいうヤツを連れて来いよ!」と、5・13仙台市体育館で開催される『ハッスル17』でHGが復帰戦を行う事を明言し、乳輪の登場を促した。ん!? 乳輪?
「ちょっと待てよ、ユー。だから発音には気をつけなサーイ。ニューリン様デース!」とイントネーションを注意するアン・ジョー司令長官。
「うるせぇんだよ、ダボハゼ! 乳輪だろうがニューリンだろうが、そんな事はどっちだっていいんだよ! おめぇがゴタゴタ言ってるから、時間が来ちまったじゃねぇか、この野郎!」と、せっかくの晴れ舞台を邪魔された小川は激怒。
しかし、アン・ジョーも言い分がある。「ミーのセリフはこれだけですヨ!」
うるせぇ、とアン・ジョーの言い分を却下した小川は、「今日はこれをやりたかったんだ。今日は、ここまでだ! それじゃあ、皆さん! また、お会いしよう。グッドラック!」またしても高田総統のお株を奪い、満足そうにハッスル軍と共に引き上げていくのであった。
「あんな低俗な連中に見下されるのはね、正直、腹が立ちますネ!」とご立腹のアン・ジョー司令長官だったが、高田総統は「気持ちを取り直して、ひとつ大事な事を言わせてもらう」と仕切り始める。
「いいか、よーく聞いておくんだ。ハッスル軍の連中はな、常に試合の結果ばかりにこだわり、勝てばいずれこの私をリングに引きずり出せる、そう考えているようだ。しかしだ! そんな甘い考えでは、私がヤツらと闘う、そんな機会は永遠に来ないとここに断言しておく」
場内からは一斉に「エーッ!」という声。高田総統は慌てて「誤解してほしくないんだよ。いまエーッって言ったろ?」と続ける。
「誤解しないでほしいんだが、私は明日にでもリングに上がる準備は出来ているんだ」これには場内拍手喝采。「リングで闘うことが嫌なんじゃないんだ。どうしたらヤツらが私にふさわしい相手になるのか、これを待っているんだ」と高田総統。思わずファンから「カッコいい!」と声援が飛ぶが、「当たり前だ」と総統は冷静だ。
「もう一度、大事な事を言っておく。私は日本のプロレス界を根こそぎブチ壊し、その瓦礫の上に新たな道をつくりあげる。分かるだろう? ハッスル軍の軽率はなはだしい連中! 物事を、根本を見つめてくれたまえと言いたい。物事の根本が見えて来た時、私はリングに上がっているかもしれないぞ」
総統の宣言に場内が沸く。ここで一服する高田総統。ところが!
「そういう事だよ、バッドラックだ!」と川田が奇襲攻撃で締めてしまったのだ!
このハプニングに動揺するモンスター軍。「やっちゃった…」の空気が漂う。
「おい! 言っちゃったよ。そろそろ来るかなと思ったら。それもいい話の後に来たね?」と高田総統が川田の方を見ると、なんと川田がニッコリと笑顔。仏頂面がトレードマークで、今まで一度も笑った事のない川田がリング上で“してやったり”の表情で歯まで見せてニッコリと笑っているのだ!
「何だ、その満面の笑みはよ!」激怒する総統だったが、川田の笑みが消える事はない。
「しかし、残念だったな、モンスターK」意外な言葉を口にしたのは総統だった。川田の表情が曇る。
「実はな! 今日のエンディングはな、久しぶりに私の“ビターン”で締めることになっているのだ! という事は、今のバッドラックはノーカウントという事になる」
やられた! という表情で宙を仰ぐ川田。とんでもない逆転劇が待ち受けていたのである。どうやら高田総統の方がやはり一枚上手だったようだ。やり場のない無念さに総統を睨みつける川田だったが、「何だ、その反抗的な目はよ! おい、二人でコントをやってるわけじゃないんだからよ! シリアスに行こう。ひとつ言っておく。彼はな、不満があったら楽屋で話そうと言っているにも拘らず、すぐシャワーを浴びて帰っちゃうんだよ!」と楽屋ネタまで暴露されてしまった。
今日は川田に完全勝利を収めた高田総統は、島田・アンにポーズを説明させると、「やりたまえ!」とあまり乗り気でないファンを一喝。「それでは、モンスター軍信奉者の諸君、またお会いしよう。スリーツーワン、ビターン! ビターン! バッドラックだ!」威風堂々のテーマ曲が再び鳴り響き、高田総統はマントを翻して颯爽と去っていった…。
6・17さいたまスーパーアリーナで開催される『ハッスル・エイド2006』へ向けて、ハッスル軍とモンスター軍、そして坂田軍、さらにはカイヤと鈴木家の抗争などますます混乱の一途を増してきたハッスル。ロード・トゥ・ハッスル・エイドはすでにスタートを切っている!
9分39秒 ソドムバスター→片エビ固め
昨日、ニューリン様との対戦をぶち上げ、ニューリン様からの指令によりソドムとゴモラを迎え撃つこととなったTAJIRI。この試合への参戦を直訴したハッスル仮面イエローと大谷とのタッグを結成し、決戦へ挑む。
体をぶつけ合って気合いを入れるソドムとゴモラ。ハッスル軍はイエローと大谷、そしてTAJIRIというフレッシュな組み合わせだ。そして黄色コールの中、イエローが先発を買って出て、ソドムとのマッチアップとなった。
閉じる ハッスル仮面の中に混じれば巨漢のイエローだが、2mのソドムと並ぶと体格差は歴然。イエローが渾身のチョップを何度叩き込んでも、ソドムはビクともせず。逆に攻撃しているイエローの方が吹っ飛ばされる。
そしてソドムがイエローを場外へ落とすと、一気に場外戦がスタート。アン・ジョー司令長官は客席までTAJIRIを連れまわし、壁にTAJIRIの頭を叩きつける。
リング上ではゴモラが大谷を攻め込む。滞空時間の長いブレーンバスターを決めると、ソドムとダブルでショルダーアタック。その後もソドムとゴモラは大暴れ。大谷とTAJIRIをパワフルな攻撃で痛めつけていく。しかし大谷はソドムのダイビングプレスをかわしてTAJIRIとタッチ。TAJIRIは鋭いキックでソドムを攻め込み、飛びつき式のDDTを決める。するとコーナーに倒れこんだソドムに、TAJIRIとタッチした大谷が顔面ウォッシュ。さらに大谷のアシストを受けて、イエローがソドムにダイビングプレスを決める。
さらにイエローはソドムに変わって入ったアン・ジョー司令長官もパワー殺法で圧倒すると619! ショルダースルーでアン・ジョー司令長官を投げ捨てると、待ってましたと言わんばかりにTAJIRIがアン・ジョー司令長官にグリーンミスト! イエローがコーナーからダイビングプレスでアン・ジョー司令長官をフォールするが、ここでゴモラがカット。するとすかさずソドムもリングインし、大谷とTAJIRIを場外へ落とすと、イエローを合体攻撃で攻め立て、最後はソドムがイエローから3カウントを奪った。昨日はハッスル軍に惜敗したモンスター軍だが、ソドム&ゴモラの番犬コンビの活躍で4月シリーズの最終戦を勝利で飾った。そして試合後、高田総統の言葉が鳴り響いた…
12分09秒 ブレインバスター→体固め
今、ハッスルで最も熱い男といえば坂田軍団のボス・坂田亘! 以前は嫌われ者の一匹狼だったが、現在は弟分の崔領二、マネージャーの青木裕子、PRIDEに遠征中のマーク・コールマン。そして、オジキとしてあの“ミスタープロレス”天龍を引き入れ、ハッスル軍、モンスター軍に次ぐ第3勢力になりつつある。
昨日はハッスル軍の大谷&横井組を撃破し、今日はモンスター軍のTOPである“モンスターK”川田利明と“モンスターK'”佐藤耕平組と激突! 坂田にとって真価が問われる一戦だ。
そして対するモンスター軍の川田と佐藤はというと……。そこはモンスター軍の司令室。マイクを持って何かをしている佐藤。「えー、マイクテス、マイクテス。えー……」はたから見てて何をやっているのか分からない。
そこに現れたのは川田。「耕平、お前何してんだ?」耕平は川田の問いかけに「発声練習です」と答えたのだが、川田は「…え? 何? 活性酸素? 体に悪いぞ」と全く聞き取れていない様子。
何とか自分の言葉を伝えたい佐藤は紙に「マイクアピールの練習」と書いて見せる。リアルで字幕スーパーが必要な人間が、ここに存在した瞬間だ。
「試合前からそんなこと考えてんのか? お前は勝つことだけに集中してればいいんだよ。しょうがねえなぁ、これを使え!」いい案が浮かんだのか、そう言った川田はヘリウムガスを佐藤に手渡した。「いいか、これをマイクでしゃべる前に使えば、お前の声もきっと伝わるようになるよ」
佐藤は早速ヘリウムガスにチャレンジ! 何とハスキーボイスの声が甲高くなり聞き取れるようになったではないか。佐藤の声のあまりの変わりっぷりに、薦めた自分も驚いた川田は自らもチャレンジ! 川田もファニーボイスに変身!
「おい、耕平。もう時間だ! 調子こいている坂田の野郎をぶっ潰してやるぞ!」川田は強く意気込んだが、妙にかわいい声……。今イチ説得力に欠ける。
閉じる 最初に坂田と崔がハッスルのタッグベルトを持って入場。セコンドにはマネージャーの青木裕子がつく。続いて佐藤と紫のマントを付けた川田がリングイン!
先発は佐藤と崔。崔はヘッドロックで絞り込む。エルボー合戦に出る両者。一発の重みがある崔がやや有利か。崔は即座に坂田にタッチ。佐藤の額にナックルを見舞う坂田。更にはストンピング攻撃を見舞う。坂田の狙いはただ一つ。モンスター軍のトップの一人である川田だ。
坂田は「出て来い!」とばかりに川田を挑発する。そして佐藤に攻撃すると見せかけ、坂田は掟破りの逆ビッグブーツを川田の顔面にお見舞い! 怒りに火のついた川田はストンピング連打。そして正式にタッチを受けた川田は坂田とバチバチのチョップ合戦。お互いに意地になっており、一向に引く気配を見せない。お互い苦しそうな表情だ。胸も真っ赤に染まっている。川田はチョップ合戦に終止符をうつように蹴り。そして逆片エビ固めでじりじりと坂田を痛めつける。
立ち上がった坂田は意地になり、水平チョップ合戦に出た。一進一退の攻防の中、坂田はトラースキックで打開する。坂田からタッチして出てきた崔は川田にミドルキック。「なめるな!」とばかりに川田は、崔を一方的に痛めつけた。流れを継いだ佐藤は崔にエルボー、パイルドライバー2連発。完全にグロッキー状態となった崔はカウント2で返すのが精一杯。垂直落下式ブレーンバスターをも耐える崔。死力を尽くして立ち上がった崔は脳天直下のバックドロップで返す。
しかし、川田は崔をコーナへ追い込み、ケンカキック。続けざまにストレッチプラムでグイグイ絞り込む。ラリアット、顔面へのジャンピングハイキック、ブレーンバスターと大技で畳み掛けられた崔に返す力なし。川田がカウント3を奪い勝利を収めた。
試合後、悔しさに唇を噛み締めながら聞いている坂田に対して、川田は「アホの坂田! お前らの力はこんなもんか? よくそんなもんで天下取りたいって本気で言ったもんだな、この野郎! そんなにな、ハッスルのてっぺんはな、そんな低くないんだよ」
続けて耕平もマイクを握ったのだが、相変わらず何を言っているのか全く分かりはしない。その様子を見かねた川田は「お前の言いたいことは全く伝わってないよ」と、先ほど言った佐藤の発言の通訳を買って出た。
「お前らの持ってるベルトなんて、挑戦する価値もねえってよ」と川田は伝えたのだが、どうやら違っていたらしい。佐藤は首を横に振りながら否定する。(※佐藤の真意はベルトに挑戦したかったのだった)
「俺は・・・」自分の言いたいことを語りだした佐藤だったが、川田は「そういうことだよ。バッドラックだ」と、高田総統の決め台詞を言い放ち、会場から引き揚げていった。
残された坂田は「おい、歯抜け! おいしいところ持っていきやがって! こんなんで勝ったと思うなよ! 次の仙台で、もう一回モンスター軍とやらせろ!」とモンスター軍にリベンジ宣言。「タダでとは言わねぇ、ベルトをかけてやってもいいが、それより次は……」マネージャーの青木裕子を指差した坂田は、青木の水着マッチを提案する。日曜日の昼なのに暇でモテない男性諸君は、この坂田の発言に大盛り上がり!
急な展開に呆然とする青木は「ちょっと、何言ってるんですか? 勝手なこと言わないで下さいよ!」と坂田に食ってかかる。
が、坂田は逆ギレ。「うるせぇ! お前もマネージャーだったら、これぐらいはやれ! オレは命をかけてやってんだ。お前は何のためにそこにいるんだ! オレたちはチャンピオンだ、堂々としろ! オレがやると言ったらやるぞ!」そう言い放った坂田は、改めてハッスルの天下取り宣言をし、颯爽と引き揚げた。
『ハッスル・エイド2006』でプロレスデビューが正式決定したタレントのカイヤ。2005年の『ハッスル・マニア』での和泉流二十世宗家・和泉元彌以来の大物芸能人のプロレスデビューだ。すでにデビューに向けて過酷なトレーニングに励んでいるというカイヤ。今日はハッスルファンに挨拶するため、リングに上がった!
赤コーナーより登場したカイヤ。カウボーイハットにシャツを着込み、全身白づくめ。モデルをやっているだけにその場所だけ荘厳な光を放っている。
マイクを握ったカイヤは「はじめまして! カイヤです! 6月17日、『ハッスル・エイド2006』に出ますので一生懸命頑張ル! 応援してくだサイ!」と意気込みを語った。
拍手喝采を浴びるカイヤ。しかし、そこで会場内に甲高い声が響き渡った。
「ちょっと待った! そこのあんた。お客に挨拶する前に、世界の鈴木家に挨拶するのが礼儀じゃなくって?」声の主は鈴木浩子だ! 夫の健想を引き連れて颯爽とリングインした。
「皆様、ご機嫌いかがですか? 私、鈴木浩子でございます」そう挨拶した浩子にウェルカムの拍手が沸き起こった。続けて浩子は「あなた、カイヤさんっておっしゃったっけ? 見ましたよ〜記者会見。雑誌やテレビでね〜。何でもきっかけは健想の試合を観てだとか? それからWWEのDIVAも大好きだとか? 私も実はね、元WWEのDIVAなんですのよ〜」
最初は笑顔のカイヤだったが、上から目線の浩子にだんだんとイラつきだしたのか「それが何なの?」と反抗的になった。
浩子はそんなカイヤをなだめるように「素人がプロレスをするのは大変でしょうから、これも何かのご縁ですし、何なら鈴木家に入っても構わなくってよ?」と鈴木家加入の勧誘を進める。
それに呼応するように、健想も「世界のスーパースターのこの僕が、プロレス教えてあげましょうか?」浩子もDIVAの所作を教えようと口説きにかかる。
イライラが爆発したカイヤがさっさと引き揚げようとしたところ、慌てて止める浩子。
「ちょっと、待ちなさいよ。あんね〜。大きい男とやりたいとか言ってるけど、プロレスはそんなに甘くはないわよ! だいたいね、図体はデカイかもしれないけれど、あんたはただのアメリカ人なの! 日本のローカルスターよ! 私たちはね、日本人だけど世界の鈴木家なの!」
カイヤを小バカにした浩子は、カイヤの頭を扇子でコツン。すると目の色が急変したカイヤは「ナニ スルノ〜(怒)」そう叫び、浩子の着物の襟元を掴んでぐるんぐるんに回し見事な投げ!
それを見て怒った健想はカイヤにのど輪を仕掛け、暴れるカイヤをコーナーに押し込んだ。するとその時! リングに“キャプテン・ハッスル”小川が猛ダッシュで入場! 健想は慌てて場外へとエスケープした。マイクを握った小川は「おい! バカ夫婦! せっかくな、(カイヤが)ハッスルに参戦しようとしてるのに、ふざけるんじゃねぇぞ!」
やられっ放しで怒りの収まらない浩子は「あんたのデビュー戦、私がやってあげる!」とカイヤのデビュー戦の相手に名乗りを挙げ、ハッスル史上初のランジェリーマッチを要求した!
次に健想は「先輩! 邪魔しないでください。先輩には全く関係ない問題ですから。あんたは、モンスター軍とやってればいいじゃないですか!」と大学の先輩である小川に対して、生意気な口を聞く。
「ま、せいぜい、そのプロレスが下手くそな先輩に鍛えてもらいなさい!」そう捨て台詞を吐いた浩子は健想とそそくさと退場したのだった。
小川はまだ少し苦しそうな表情をしているカイヤに向かって「カイヤ…大丈夫?」と優しい言葉を投げかける。女性にしては強そうな体つきをしているカイヤに面食らいながらも、小川はカイヤの6月のデビュー戦に向けて全力でバックアップすることを約束した。
「よし。じゃあ、ハッスルに参加してくれることになったカイヤと一緒に皆で、ハッスルポーズを決めてやろうじゃないか!」
カイヤは小川と一緒に人生初のリング上での「スリーツーワン、ハッスル! ハッスル!!」とハッスルポーズを決めたのだった。
7分21秒 ダイビングエルボードロップ→片エビ固め
今日のエリマーのタッグパートナーは金村。控え室で金村は「俺はいつでもエリマーの味方や。マーガレット、俺のことを“キンタ”って呼んでくれ」と、マーガレットに話しかける。するとマーガレットは「Erica」「キンタ」「マーガレット」と順番に名前を呼び始める。
「Erica・キンタ・マーガレット」
「Erica・キンタ・マーガレット」
「Erica・キンタ●・ガレット」
「Erica・キンタ●・ガレット」
日本語があまり上手ではないマーガレットは区切るところを間違い、あまりよろしくない言葉を連発してしまう。すかさずEricaは「マーガレット、続けてはっきり言っちゃダメ!」と注意した。
すると今度は金村の「二人に悩みを打ち分けるわ。実は俺最近負けが多いねん」という言葉を聞いたマーガレットは「キンタ、マケガオオイ」。さらに「俺がピンチになったら『負けるな』って応援してくれ!」と金村が言えば、「キンタ、マケルナ!」と繰り返すマーガレットであった。
閉じる 先発は金村とドクロンZ。金村は「チューするぞ」と宣言して、顔を近づけるもあえなくドクロンに一蹴される。そんな金村に後方から鬼蜘蛛が糸攻撃! そのまま金村を場外へ落とすと、ドクロンが金村にムーンサルトを敢行した。しかしハードコアの雄・金村も負けてはいない。場外でバッケン・ブレイクを机の上に寝かせると、何とマーガレットと二人がかりでサンドイッチ式のボディプレスだ。
リング上では金村とマーガレットが交互に鬼蜘蛛に攻撃。すると「キンター!」「マー!」とコールが起こり、同時の攻撃には「キンタ●ー!」と声援が生まれる。
ここまで押され気味の鬼蜘蛛だったが、得意の粘着質な組技で金村の技を切り返して、ドクロンとタッチ。金村はドクロンを豪快に投げると、そのままコーナーポストに駆け上がるが、ここでバッケン・ブレイクが足を外して金村の股間をコーナーに打ちつける。悶絶する金村にドクロンがフランケンシュタイナーを決める。
そしてここでバッケン・ブレイクがリングイン。昨日の弱々しい姿とは打って変わって、秘密警察仕込の関節技で金村を攻め立て、素早い腕十字で金村の左腕を絞り上げる。さらにカットに入ったマーガレットとEricaを軽々と投げ捨てた。そして鬼蜘蛛とバッケン・ブレイクは二人で金村にボディプレスを決める。
続けてドクロンがリングに入るが、金村がセクハラまがいの抱きつきからフロントスープレックス。そしてマウントポジションを取ってドクロンの唇を奪おうとするのだが…そこは鬼蜘蛛とバッケン・ブレイクが二人がかりで金村を阻止し、バックドロップで投げ捨てる。さらにドクロンが金村をジャーマンで投げ捨て、ムーンサルトプレス! そのままフォールの体勢となるが、Ericaが一斗缶を手にそれをカット。すかさずドクロンに垂直落下式ブレーンバスターを決めると、金村のアシストを受けたEricaがダイビングエルボーでドクロンから3カウントを奪った。
9分08秒 ラリアット→片エビ固め
最初にジャイアント・バボとバンパイアが入場。昨日の後楽園大会からの新しい凶器であるバレーボールがたくさん詰まった袋を振り回しながら、バボはリングインした。次に手拍子の中、登場したのは田中と金村だ。
閉じる 奇襲攻撃を仕掛けるモンスター軍だが、田中と黒田は返り討ちにしてしまう。そしてその勢いのまま黒田はストンピング連打。バンパイアはロープを利用してのムーンサルトで迎撃してみせる。
次にバボが登場。バボに対し、黒田と金村は二人で攻撃を仕掛けるも軽く一蹴される。そして場外で大暴れする両軍。田中は南側の客席にバボを連れていき、走りこんでのラリアットを決めると、会場は大盛り上がり。
一方の黒田はバンパイアの足をコーナーポストに備え付け、エルボーを一撃! 黒田は「てっちゃん!」の女性の甘い声援に応える余裕ぶりを見せる。さらに黒田はバンパイアに足四の字固めを極める。
そこにバレーボールの凶器でカットに入ったバボ。そのまま自軍のコーナーへ黒田を追い込む。追撃するようにバンパイアが黒田の足に噛み付くと、黒田はあまりの痛さにうめき声をあげるのみ。グロッキー状態の黒田に対し、バボはドロップキック。またしても凶器を振り回し、黒田にダメを押す。
しかし、ここまでやられっ放しだった黒田が逆襲に出た。タッチを受けた田中はコーナーに上がり、最上段からミサイルキック! そしてバボとバンパイアを捕まえた田中は同時攻撃である“まとめて”。白いギターを持った田中は一撃を狙うのだが、バボがチョークスラムの体勢に持ち込み、凶器攻撃を阻止する。
田中と黒田はバボにツープラトンのブレーンバスター! リング上で横たわるバボに対し、トドメとばかりにコーナーポストに上り、スーパーフライを狙う田中。しかし立ち上がったバボがバレーボールのサーブ攻撃に出た! ボールがボンボンと打ち込まれて会場は騒然。危ないったらありゃしない。
そして今度はバンパイアと田中が対峙。田中はパワーボムを見舞おうとしたところ、バンパイアはフランケンシュタイナーのカウンター。バンパイアはそのまま黒田にもコーナーからの攻撃を見舞おうとするも、黒田は哲っちゃんカッターで切り返す。最後は黒田がランニングからのラリアットできっちり勝負を決めた。納得のいかないバボは白いギターを振り回すも、黒田と田中はさっさと引き揚げるのであった。
場内が暗転、ドラムロールが鳴り響き、RGMの名前がコールされるも、昨日に引き続きリング上にRGMの姿はない。代わりにリングへ上がった岸本PRによれば、RGMは今日も何らかの理由で欠席、その理由を説明したビデオレターが届いているという。しかしRGMの欠席が伝えられると、客席からは大声援が起こった。
ビデオレターの中のRGMは今日もハイテンションだ。「RGファンの皆さん、すいません。今日もどうしても外せない仕事が入ってしまって、後楽園ホールには行く事が出来ません」と、明らかに場違いな挨拶だ。さらに昨日同様「RGへの声援が聞こえてきますよ」と、一人で「RG」コールを繰り返すRG。その姿は若干病的なものすら感じさせる。しかしいくらRGでもGM職であることには変わりない。「RGがいなくて悲しんでいる皆さんのために、今日も素晴らしいマッチメークが組んであります」と、今日の対戦カードを発表した。
するとそこにHGが登場! 「何こっそり仕事しているんだ! ギャラは折半だからな」と逆ギレするRG。そんなRGにHGもかなりあきれた様子で「もういいよ。お前GMだろ。GMがこんなところにいていいのかよ。もっと責任を持って仕事しろ。それにお前は俺のバーターだから出番はないよ」と、真面目な表情で説教をする。相方にごもっともな指摘を受けたRGのテンションは下がりっ放し。そんなRGに追い討ちをかけるように、HGはファンへ向かって「次回からRGがリングに現れたら思いっきりブーイングしてください」と呼びかける。そして「お前、近いうちにGMクビになるからな」と捨て台詞。より一層へこむRGに「あら、RGのテンションが下がりまくり、EDになってしまいましたね。では会場にお返しします」と、RGとの絡みでもしっかりと笑いをとるHGだった。
RGの欠席を改めてお詫びする岸本PR。するとそこに現れたのは草間元GMだ! 久しぶりの草間元GMの登場に会場からは大声援が起こる。「どうもご無沙汰していました。元敏腕GMの草間です」と自己紹介すると、客席からは「噛まないように」と忠告が。しかし「大体、GMたるものが大会を欠席するなんてけしか●※?×/」と、いきなり噛んでしまう草間元GM。しかし「そもそも経営の『け』の字も知らない素人にGMは出来ないでしょ! ね、お客さん!」と煽れば、客席は大盛り上がり。
「相変わらず、グダグダですね!」と、何と今度は笹原初代GMがリングに現れる。なぜかレスラー以上の大声援に迎えられてリングに上がる笹原初代GMは、「いいですか、ハッスルに命を賭けられないようなクソ芸人に、ハッスルの未来を託すことは出来ませんよ。そうでしょ」と、草間元GMと同じようにRGMには面白くない様子。そして笹原初代GMは「私はたった今、RGMの不信任案を提案したい。そして次回の後楽園大会でGM総選挙の実施を提案したい」とぶち明ける。「笹原死すともハッスル死せず」と、改めて所信表明する笹原初代GM。そんな笹原初代GMに「GMは酸いも甘いも知っている経営のプロじゃないとダメなんだよ」と忠告する草間元GMは、リング上の岸本PRに「それに僕が上司の方がやりやすいだろ?」と同意を求める。すると笹原初代GMもすかさず「ぶっちゃけ俺が上司の方がやりやすいだろ」と岸本PRに問い詰める。
そんな二人の元GMに囲まれた岸本PRだったが憮然とした表情で「誰かこの部外者を連れて行って」と一言。するとハッスルスタッフにリング下へ引きずり下ろされる草間元GMと笹原初代GM。「お前ら、社長に言いつけてやるからな! 俺がGMだ! ハッスル・ハウスvol.14スタート」と、スタッフに両脇を抱えられる姿はちょっと情けなかったものの、久しぶりの笹原初代GMの雄たけびで大会は始まった。