ファイトカード

高田総統劇場

 会場に『威風堂々』が鳴り響き、高田総統以下、モンスター軍が登場。高田総統はエスペランサーのダメージなどまるでない様子で、「我こそが高田モンスター軍総統、そして、『ハッスル』の偉大なる支配者・高田だ!!」と、いつもどおりの自己紹介を決める。続いて高田総統の口から、その様子を決定付ける言葉が……。「おい! 貴様らまさか本当に私が死んだと思ったのか? んなわけないだろうがよ! 言っておくが、エスペランサーはな、私の一部にすぎんのだ。したがって、負けたところで、痛くもかゆくもないんだよ」。それにしては登場が遅すぎる、と疑うHGを高田総統は、「君たちを束の間の喜びに浸らせてやったんだよ」と一蹴すると、「アホの坂田君。相変わらず君は、誰かの力を借りないと何もできない男だな。さすが! さすが! 小池の旦那だよ!!」と嫌味な言葉を放ったのだった。
 この言葉にカチンときたのは天龍だ。「1人の力で生きてる奴なんざ、この世の中、どこにもいねえんだこの野郎!」と、ベテランならではの重みのある言葉を高田総統に投げかけるが、高田総統は、「おいおい。若い時から好き勝手に生きてきたこの老いぼれが! この私に説教か? んん!? コンノヤロォォォ〜!」と、いつもの切り返しだ。そして坂田に矛先を戻し、「言っとくがな、私の闘う化身はエスペランサーだけじゃないんだよ! アホの坂田! 大みそか! 今度は、この私自身ともう一丁勝負するか? なんなら今度は、そこの小池栄子と2人まとめて相手にしてやってもいいぞ」と爆弾発言!!
 ここですかさずRGが、「この人は小池栄子さんではありません! 妖精さんです!」とツッコミ。これに対して高田総統は、「妖精だと!? 私はてっきり、丘に迷い込んだ海ガメかと思ったよ」と罵ると、「まあ妖精だろうが、海ガメだろうが、そんなこっちゃ知ったこっちゃないんだよ! ま、今日のところは、君たちに華を持たせてやることにしよう。しかしだ、大みそかではこうはいかん。覚えておくがいい! では、下々の諸君。次は、クリスマス、そして大みそかにお会いしよう。バッドラックだ!!」と言い残して、姿を消したのであった。

 リングに残ったハッスル軍。HGが坂田に声をかけてくださいと、妖精さんに促す。妖精さんは、「坂田さん、エスペランサーのレーザービターンをハネ返したのはいいんだけど、妖精さんとしての力は、どうやら使い果たしたみたい……」と告白。それを聞いた坂田は、「すまない。でも、もし妖精さんとしての力が尽きたのなら、これからは1人の女として俺を支えてくれるか?」と、まるでプロポーズのようなことを言うではないか!
 「ヒューヒューだよ〜!」と冷やかすRG。しかし、坂田は神妙な顔つきで、「みなさん。僕は普段から、天下を取るとか偉そうなことばかり言ってます。今までずいぶん身勝手な生き方をしてきたしつっぱてもきた。1人でなんでもできると思ってました。そんな僕がメインを任されました。この1ヶ月、みんなの期待を感じるたびにどんどん苦しくなりました。この年になって人間ひとりでは、なんにもできないんだということを知ることができました。でもそんな僕を支えてくれたのは、ハッスル軍の仲間や、スタッフ、ファンの皆……。ありがとうございました!」と号泣しながら、赤裸々に心の内を明かし、感謝の言葉を述べると、ファンに深々と頭を下げたのだった。
 そして最後は坂田が前日に考えたという新ハッスルポーズで締め。「大みそかの『ハッスル祭り』を大成功させて、来年必ず天下を取るぞー! 行くぞー!! 3、2、1、ハッスル、ハッスル! ラブアンド〜ハッスル!!」と、胸の前に上げた手でハートマークを作る新ハッスルポーズを妖精さんと決めて、感動の『ハッスル・マニア2007』を盛大に締めくくった。

 遂にエスペランサーを倒したハッスル軍。意外なことに、高田総統にはまったくダメージが残らなかったようだが、今まで以上に本気にさせたことは明らかだ。しかし、「化身はエスペランサーだけじゃない」という高田総統の言葉も気になる。次なる刺客は、高田総統本人か、それとも第2のエスペランサーなのか……!? 12月シリーズで全ての謎は明かされる!!

メインハッスル

12分34秒 スーパーキック

 高田総統の闘う化身、ザ・エスペランサー! その実力はまさに地球の規格外!! 強い、弱いという物差しでは計れない常識離れした圧倒的パワーに、これまでハッスル軍は何度も壊滅寸前まで追い込まれてきた。最初に餌食になったTAJIRIはエスペランサー恐怖症に陥り、エスペランサーの名前を聞くだけで怯える抜け殻状態に。続くHGはファイティングED、略してFED(闘いに対する勃起不全)に悩まされた。強靭な肉体にくわえ、目にも見えぬエネルギー弾“レーザービターン”を操る攻略不可能な、最強のボスキャラが三度降臨する。

 このエスペランサーに挑むのは、ハッスル軍の頼れる兄貴・坂田亘だ! かつては群れることを嫌った坂田だが、高田総統の暴君ぶりに真っ向から反発。新生ハッスル軍を立ち上げたのだった。プライベートでは、女優の小池栄子さんとめでたくゴールイン! そんな公私ともに充実している坂田が迎える今宵のエスペランサー戦。一歩間違えば、幸せから一転、栄子は未亡人に……! どこをどう切り取っても、坂田に勝ち目のないこの試合。坂田は勝機を見出せるのか……?

閉じる 先に入場してリングで待ちかまえる坂田に対して、エスペランサーは『トレイニングモンタージュ』のテーマ曲に乗り、ガウンのフードを深々と被りながらの入場。リングの直前でフードを脱ぐと、不気味に周囲を見渡し、ガウンも脱ぎ捨てゆっくりとリングインだ。そして、遂にゴング!

 場内には昨年の『ハッスル・マニア』の時と同様の音楽が鳴り、照明も薄暗くなる。リング中央で不気味に仁王立ちするエスペランサーに対して、坂田はその周囲を回るものの、なかなか近付くことができない。その間にも、エスペランサーは不気味に周囲を見渡している。坂田を探しているのか? 遂に意を決して、故橋本真也さんばりに十字を切ってから、ケサ斬りチョップで攻め込んだ坂田。しかし、エスペランサーは片手で坂田の右手首を掴むと、そのまま腕の関節を極めて、投げ飛ばしてしまう。ダメージで苦しむ坂田を、ゆったりとした動作で不気味に睨み付けるエスペランサー。再び十字を切った坂田は、ミドルキックを放つが、エスペランサーは軽々と片手でキャッチ。不気味に坂田を睨め付けながら、投げ飛ばしてしまう。そして、レーザービターンの体勢に! これを発射される前に逃れた坂田だったが、エスペランサーに飛び込んだところで、今度は掌底を食らってしまう。さらに、ローキックを叩き込まれた坂田。左ヒザを押さえているが、かなりのダメージを負っている様子だ。

 そんな坂田に、エスペランサーは2本指を向けて、遂にレーザービターンを発射! しかし、これは狙いが逸れて、なんと会場のテレビカメラマンさんに直撃! 哀れ、カメラマンさんは胸から血を流して倒れてしまった……。死んでしまったのか? あまりの残酷な状況にパニックになる場内。だが、坂田はエスペランサーをテイクダウンするべく、両足タックルで攻め込む。だが、エスペランサーはびくともしない。そして、指を突き出し、再びレーザービターンの構えだ。だが、坂田は間一髪これをかわして、ニールキック。だが、エスペランサーはこれを弾き飛ばすと、逆に地獄突きだ。ゆっくりと坂田に近付いたエスペランサーは地獄突きをもう一撃。さらに強烈なローキック、ヒザ蹴りで坂田を追い込んでいく。続いて、悶絶している坂田の顔面をアイアンクローで捕まえると、リングの中央まで引きずり出し、天を仰いでから、トドメのキックの構えだ。

 ところが、ここで「待って!」という声が場内に響き渡る! なんとステージに現れたのは坂田の奥さんである小池栄子さん似の妖精さんだ! 「私にレーザービターンを打ってみなさい!」と叫んで、「LOVE&HUSTLE」と書かれたハート型の盾を構える妖精さん。そこにエスペランサーは容赦なくレーザービターンを発射! しかし、妖精さんはこれを盾で受け止めると、なんとレーザービターンをエスペランサーに跳ね返す。これがエスペランサーに直撃! これを食らったエスペランサーの体からは爆音が鳴り、煙が吹き出しているではないか! そして、遂にエスペランサーがガックリとヒザを着いた! 一方の妖精さんもレーザービターンの衝撃で息も絶え絶えになりながら、「立って、今こそハッスルするのよ!」と坂田に絶叫! これに坂田も奮い立った! 気力を振り絞って立ち上がった坂田は、レーザービターンのダメージの残るエスペランサーにトラースキック! エスペランサーの体からはまたも爆音と爆煙が吹き上げて、遂にダウンだ。そして、そのまま坂田はエスペランサーをカバー! これで3カウントが入り、難攻不落のエスペランサーからまさかの勝利を奪った。

 勝利したものの力尽きてダウンした坂田に、ハッスル軍のメンバーが駆け寄る。ハッスル軍一同が、坂田を囲み歓喜の声を上げていると、なんとエスペランサーが動き出すではないか! 這うように花道を引き上げるエスペランサーに動揺するハッスル軍だったが、エスペランサーが煙の中に消えていったのを確認すると坂田に視線を戻す。
 HGが坂田に「大丈夫ですか! スペルマンサーを倒したんですよ!」と呼びかける。すると坂田は、「まだ動いたらあきませんて!」という崔の制止を振り切って、フラフラと花道を歩き出した。その先にはレーザービターンの衝撃で気を失った妖精さんの姿が……。坂田に抱き起こされた妖精さんは、次第に意識が戻り始める。見つめあう坂田と妖精さん。すっかり静まり返った場内には、2人の心の声が響き渡る。

坂田「妖精さん、俺だ。分かるか?」
妖精さん「小池の旦那さん? 小池の旦那さんなの?」
坂田「違う。俺は小池の旦那じゃねえ、坂田亘だ」
妖精さん「坂田さん、勝ったのね」
坂田「ああ、妖精さんのおかげでエスペランサーを倒せた」
妖精さん「そう。よかった……。あなたの役に立てた。これで、もう妖精として思い残すことはないわ」
坂田「バカなこと言うな。俺と妖精さんで今から一緒に仲間のところに行くんだ」

 2人はゆっくり立ち上がると、坂田が妖精さんを支え、仲間の下、リングへと歩を進める。するとまた二人の心の声が……。

妖精さん「不思議……。私、魔法をかけられていたから、リングには近づけないはずだったのに。身体が自然に動いてる」
坂田「レーザービターンの衝撃で、図らずも封印が解けたのかもしれないな。さあ。もうすぐだ」
妖精さん「坂田さん。あなたは本当に、いい仲間に恵まれたわね」
坂田「ああ。ほんとに……。最高の仲間だ」

 リングに入った2人を取り囲んだハッスル軍のメンバーたち。会場からは拍手が沸き起こっている。かなり緊張した面持ちのRGが、「は、はじめまして妖精さん! RGです。妖精さんと坂田さんと、RGは……、一生一緒にいてくれや〜♪」とRGなりのあいさつ(?)をするが、HGに「空気を読め!」と叱られる。続けてHGは、「しかしあのスペルマンサーを倒すとは、2人とも本当にセイですよ!」と賛美。天龍も「坂田。お前は男の中の男だよ。本当によくやったな。それと、妖精さん。あんたは、女の鏡だ!」と2人を褒めちぎたのだった。と、ここでそんな微笑ましいやり取りの中でTAJIRIがあることに気付く。「エスペランサーというのは高田総統の闘う化身なわけですよね。そのエスペランサーが壊れてしまった今、高田総統はどうなっちゃったんだろう?」。当然、気になる疑問だ。と、突然、映し出されたビジョンには高田総統の姿が……。

 「お、おのれ……。アホの坂田……、そして妖精め……」と、高田総統は息も絶え絶えだ。「ハァハァ……、まさか…ゴホッ! エ、エスペランサーが……、貴様ら如きに不覚を取るとは……。私の役目がこんなところで終わるとは……。む、無念だ……」。高田総統は、そう言い残すとガクンと頭を落とした。約4年にわたって繰り広げられた高田モンスター軍とハッスル軍の大抗争。これがようやくここに完結……、したかに見えたその時! 高田総統は、ガバッと起き上がると、「うっそだよ〜ん! よくぞ、私の闘う化身であるエスペランサーのレーザービターンをハネ返したな。ハッハッハッ! ここは大人しく引き下がろう……。バッドラックだ!」と、まるでピンピンしているではないか。しかも続けて、「……と言いたいところだが、アホの坂田、そして妖精とやら、今から直接褒めにそっちに行ってやるわ!」と、あっけに取られるハッスル軍に対し、会場への降臨を宣言した。


セミハッスル

10分24秒 ボノちゃん返し

 6・17『ハッスル・エイド2007』(さいたまスーパーアリーナ)。全ての因縁はここから始まった。この日、ハッスル軍のRGは魔界からの助っ人ザ・グレート・ムタをパートナーに、インリン様と対決。ムタの毒霧を股間に受けてしまったインリン様はそのまま失神。試合はハッスル軍の勝利となった。ところがその2ヶ月後……、なんとインリン様のご懐卵が発覚! インリン様は、8・15『ハッスル・ハウスvol.27』(後楽園ホール)にてその卵を産むと、3日後の8・18『ハッスル25』(愛知県体育館)では、孵化加速装置なるものを用いて、早くもその卵を孵化させてしまった。その卵から生まれた子供は、体重21万5000グラムの“魔界の横綱”モンスター・ボノであった。ボノは持って生まれたパワーと、おしゃぶりが口からはずれたときの凶暴化で、RGと天龍を続けざまに圧殺。この因縁に決着をつけるため、天龍&RGは、インリン様&ボノ親子タッグに宣戦布告。インリン様が、これを受け入れ今回のカードが決定した。
 さらに3日前に行なわれた11・22『ハッスル・ハウスvol.31』(後楽園ホール)で、TAJIRIがインリン様の顔面にグリーン・ミストを噴射。イン乳での洗脳によりムダにした半年間の恨みをぶつけた。これにキレたインリン様はTAJIRIもまとめてかかって来いと、独断で3vs3のタッグマッチに変更! モンスター軍は、アン・ジョー司令長官を追加した3人で、天龍&RG&TAJIRIを迎え撃つこととなった。

 試合前、モンスター軍の控え室では、インリン様がアン・ジョーの持つミットにムチを振るい特訓中。まるで、試合を待ちきれずに鬱憤を晴らしているかのように……。ムチの威力に驚くアン・ジョーにインリン様は、「私のことを侮辱した奴らを、魂ごとミミズ腫れにしてやるわ!」と、ぶっそうなことを言う。試合開始の時間になり、インリン様がそばで遊んでいるボノに声をかける。「ボノちゃん。行くわよ。お片づけしなさい」。しかし、まだまだ遊びたい盛りのボノは、ヤダヤダと首を振り、インリン様に「ボノちゃん! わがまま言うんじゃありません!」と叱り付けられると泣きだしてしまう始末だ。そんなボノをインリン様は優しく諭すように、「ボノちゃんはもうお兄ちゃんでしょ。今日は、わるーいお友達がいっぱい来るから、思いっきり遊んであげなさい」と語りかけながら、早くもおしゃぶりをはずしてしまう。ボノの暴走モードにスイッチが入り、「バ〜ブ〜」と不気味に唸るのだった。

閉じる まずは天龍の『サンダーストーム』で入場してきたハッスル軍。一方のモンスター軍だが、インリン様は新コスチューム。着物風のコスチュームで、下は白い足袋と下駄を履いている。その着物を脱ぐと、上ははだけ、胸の部分を白いさらしで巻いた着物風のコスチューム! 腰には金色の豪華な帯を締めている。先発はTAJIRIとインリン様でスタート。まずは近付いてくるTAJIRIにムチを叩き込んだインリン様は、ニーリフトを食らわせると、TAJIRIの腕を取って極めていく。そして、そのまま投げ飛ばして、白い下駄で踏み付けだ。続いてはアンもTAJIRIに攻め込んでいく。しかし、これにはTAJIRIもグラウンドテクニックで対抗。アンの足を取ってから、弓矢固めを極めてみせる。そして、ハンドスプリング式のエルボーを叩き込んだTAJIRI。

 続いて、モンスター軍からボノが登場すると、ハッスル軍からは天龍の登場だ。天龍はタックル、ラリアットをかましていくが、ボノはびくともしない。ならばと、延髄斬りを叩き込んだ天龍は、ブレーンバスターを狙う。しかし、さすがにボノの巨体は持ち上がらない。逆にボディスラムで叩き付けられてしまった。これで天龍を捕らえたモンスター軍は、アンがチョップで天龍を攻撃。しかし、天龍は得意の突っ張りで対抗すると、自軍のコーナーに持ち込んで、遂にRGにタッチする。RGは、全日本キックの小林聡GM仕込みのキックとパンチでアンに攻め込むが、やっぱり通じない。逆に捕まり、ロープでチョーク攻撃を受けると、あっという間に劣勢に追い込まれる。無理矢理逆立ちさせられたRGは、マットに頭を擦り付けられように引きずられると、今度はコマのように回転させられ、耳そぎチョップまで食らってしまう。アンに続いてはボノが登場し、RGにアトミックドロップ、合掌捻りの猛攻だ。

 しかし、さすがのRGもここで奮い立った。腰を割って構えるボノに対して回転エビ固めを仕掛けたRG。しかし、ボノの巨体が回転するわけもなく、そのままボノの巨大な尻を胸に落とされてしまった。今度はインリン様の出番だ。インリン様はミドルキックをRGに叩き込むと、なんとコブラツイスト! しかし、RGも逆にコブラツイストに切り返すと、舌を出しながら変態的にインリン様に迫る。これに怒ったインリン様は、再びRGのバックを取ると、なんとパロスペシャル! そして、ボノが出てきて巨大な尻をRGの顔面になすりつける屈辱的な攻撃だ。さらにインリン様はそのまま後方に倒れ込んで、ジャパニーズレッグロールクラッチホールドで固めてみせる。勢いに乗るインリン様は天龍を呼び込んでM十字だ。これに怒った天龍は、インリン様の技を外すとWARスペシャルで捕獲。そこにRGがタイツを脱いで、生肛門を押しつけにかかる。だが、アンが寸前でカット。逆に天龍が捕まり、ボノのドライビングエルボーを食らってしまう。

 そして、インリン様を肩車したボノ。インリン様が、「いくわよ! モンスター」と叫ぶと、そのまま天龍にボディプレスだ! しかし、ここは間一髪、TAJIRIがカット。そして、逆にボノを押さえ込んで、RGに生肛門スターを狙わせる。だが、ボノはRGの汚い尻を吹っ飛ばし、場外でRGに襲いかかる。一方のリング上ではTAJIRIとインリン様が対峙。ここで、インリン様をコーナーに追い詰めたTAJIRIはハイキックを一閃! さすがのインリン様もこの一撃には失神だ。インリン様に迫るTAJIRI。と、ここでリング内に戻ってきたボノがTAJIRIを追い出す。心配そうにママのインリン様に近寄るボノ。ところが、ここで息を吹き返した天龍がボノに起死回生のスクールボーイ! まさに起死回生、天龍が逆転の3カウントをボノから奪った。

 負けた腹いせにリングで暴れまわるボノは、ハッスル軍をリングから追い払うとコーナーで気を失ったインリンママのもとに駆けつける。「ママ! ママ! 大丈夫!?」と、ママを起こすと「お前らー! パパに言いつけてやるからな!」と意味深なセリフを吐き捨てて退場していった。
 その後、なんとか立ち上がったハッスル軍だが、とても勝ったようには見えないほどフラフラだ。TAJIRIが「パパって、ムタですよねぇ……。あんなんが出てきたら、一難去ってまた一難って感じですね」と、ぼやきながら引き上げようとするが、リングから動こうとしない天龍に気付く。天龍は、「何もしてやれないけどな、せめて気持ちだけでも、一緒に坂田と闘いてぇんだよ」と、心情を語る。もちろん、TAJIRIもこれに同調。「分かりました! 残りましょう!」と、坂田の大一番をリングサイドでバックアップすることを宣言した。この一致団結こそが、ハッスル軍の一番の強みと言ってもいいだろう。次はいよいよメインハッスル、坂田vsエスペランサー。雌雄を決する時が来た。


第5ハッスル

6分43秒 ビーストボム

 芸人とは思えない身体能力と、学生プロレスで培ったキャリアを生かし、またたく間に『ハッスル』のエースへと上り詰めたHG! その活躍からモンスター軍のマークは激しくなる一方だ。しかし、モンスター軍時代の天龍源一郎や、タイガー・ジェット・シンなどの襲撃を、ことごとく撃破してきたHGは、イロモノという汚名を見事、払拭した。すべてはハッスル軍を守るため。既に芸人としての枠はとうに超え、全身全霊で『ハッスル』を体現するハッスラーとなったHGに、今宵、最強の敵が立ちはだかる!
 そう、誰あろう、HGへの刺客となったのは“暗黒肉弾魔人”ボブ・サップだ! 高田総統の呼びかけにより、突如、モンスター軍に加入したサップ。一歩間違えば、芸人生命が断ち切られる恐れもあるが……。“至高のハッスラー”HGの集大成となるのか? 今宵、横浜アリーナが揺れまくる!

 ここは、ハッスル軍の控え室。部屋にはサップ戦を控えたHGと、坂田、それに崔の姿が。坂田が「お互い、生きてまた会おうぜ」と、HGに話しかける。HGはギョッとして「なんですか? 今生の別れみたいに〜。サップと闘うことを考えたら股間が『キュイーン!』ってなりますけど、ここまできたら、やらなあかんでしょ!」と、すっかり覚悟を決めた様子だ。続いて、元気がなさそうな坂田に、「絶対勝ってくださいよ!」と、ハッパをかける。坂田は「ああ、命がけで闘ってくる。終わったら、ゆっくり酒でも飲もうぜ」と微笑み、HGとガッチリと握手。世紀の一戦を前にした2人には、どこか哀愁が漂っている。
 するとそこに天龍が登場。「坂田、HG! しっかりやってこいよ。『ハッスル』の未来はな、お前ら若いもんにかかってんだよ」とハッスル軍を担うエースの二人にゲキを飛ばす。HGは、「やっぱりこういうときに天龍さんがいてくれると心強いですね〜」と、いくらか緊張が和らいだ様子だ。それを見ていた崔は、「ほんまっすよ。緊張するそぶりすらないですもん」と感心。続けて、「大将! 緊張しないコツってあるんですか!?」と、質問を投げると、天龍は、「そうだな〜。俺がハンセンとやったときは……」と首をひねって回想する。それになぜか反応した崔が天龍に手渡したのは、ハリセン。「はい、ハリセンでしょ?」と渡されると天龍は、「そうそう。これでウエスタンラリアットを打ち返す……って、ファーック!!」と、そのハリセンで思いっきり崔をしばき、またもや得意のノリツッコミで幕を閉じたのであった。

閉じる 今日は黒いコスチュームのHG。テンション高く入場すると、コーナーに上って、ハッスルポーズで観客にアピールだ。そして、サップの入場。お馴染みの『ツァラツストラはかく語りき』が流れると、ステージ上には黒いマントで身を包んだサップが現れる。どうやら、ドタキャンせずに会場に来てくれたようだ。そして、爆音と共に勢いよくマントを脱ぎ捨て、リングイン! 鋭い眼光で腰を振るHGを睨み付ける。

 ゴングが鳴ると、まずはHGの挑発に乗るかのように、サップはアメフト式のタックル! だが、HGはこれをヒラリとかわして、再び挑発するかのように腰を振る。しかし、サップは冷静にHGの頭を片手で掴むと、ハンマーパンチを叩き込む。そして、その巨体で思いっきりぶちかまし、HGを吹っ飛ばした。いったん、場外に逃げたHGがリングに戻ってくると、サップはコーナーでハンマーパンチを連打。さらにヒザ蹴りを叩き込むと、開脚して座っているHGの顔面をマットに叩き付けていく。首を掴んでは捻り、またもマットに顔面を叩き付けるサップ。HGを踏み付けて、早くもフォールの体勢だ。だが、HGはこれをキックアウトすると、エルボーで攻め込んで反撃開始。サップのボディスラムも背後に着地してかわすと、背中目がけてドロップキックを食らわせてみせた。そして、コーナーでPW! だが、サップには通じていない。

 サップはすぐにHGを捕まえると、コーナーに叩き付け、串刺し式のタックルを狙う。ところが、HGはこれを上手くかわして、足でサップの首を捕獲。そのまま三角絞めに捕らえてみせる。サップの顔面の前で激しく腰を振りながら絞め続けるHG。これで勢いに乗ったHGは、延髄斬りでサップを場外に追いやると、プランチャを発射。さらに、リングに上がってきたサップ目がけて、スワンダイブ式のミサイルキックをぶち込んでみせる。そして、トドメの昇天ドロップの体勢に。しかし、サップはこれを上手くかいくぐってかわすと、逆に正面から巨体をジャンプさせて、強烈なドロップキックを叩き込む。これでグロッキー状態のHGに、サップは雄叫びを上げると必殺のビーストボム! さすがのHGもサップのパワーでマットに叩き付けられては万事休す。遂に3カウントを許してしまった。

 両拳を振り上げ、野獣っぷりをアピールしながら引き上げるサップ。そのあと、青息吐息のHGが、KUSHIDAの肩を借りて退場。奮闘したHGだったが、黒星に終わってしまった。


ジャイアント白田登場

 ハッスル・ブレイク明けの会場に、アナウンスが流れる。「ここで、本日のスペシャルゲストをご紹介いたします! 最強フードファイター・ジャイアント白田!!」。なんと、大食い選手権で名を馳せた白田が故ジャイアント馬場の『王者の魂』に乗り、巨大スプーンを片手に花道を歩いてくるではないか! アナウンスが続けられる。「先日、大食い選手権を引退したジャイアント白田の新たなる旅が始まる。来る12月31日、『年忘れKYORAKUスペシャル 大みそか ハッスル祭り2007』において、ジャイアント白田選手のプロレスデビューが正式に決定致しました!」。かねてよりハッスルエンターテインメント・山口代表が実現を目指していたジャイアント白田のデビューが正式決定した!

 リングに上がった白田は、「大みそか! 僕は、ハッスルを平らげます! ファンの皆さんに、お腹いっぱいになってもらえる試合をしますので、どうか『大みそか ハッスル祭り』は、お腹を空かせて待っていてください!」と、大食い選手ならではの挨拶。会場からは温かい拍手がこだました。そして、リングに用意された特大カレーライスを前にした白田は、ゴングを合図にそのカレーライスを一気に平らげ、観客のド肝を抜いた。白田は、拍手や声援に笑顔で応えながら会場をあとにしたのであった。


第4ハッスル

5分43秒 パワースラム

 ペコポン(地球)侵略に、高田モンスター軍は邪魔であると言い切り、ハッスル軍との共闘を宣言したケロロ軍曹。これまで、そのノー天気で無責任な性格ゆえか、気の向くままテキトーに会場に姿を見せては、これまたテキトーにモンスター軍を挑発し続けていた。その結果、とんでもないモンスターの怒りに火をつけてしまった。

 そのモンスターとは、“超竜”スコット・ノートンだ! 元アームレスリング世界王者に睨まれ、はたから見れば“ヘビに睨まれたカエル”状態もいいところだが、ケロロ軍曹本人は、「戦闘用スーツがあれば、恐るるに足らず!」と言い張っている。そして、そのスーツを11・22『ハッスル・ハウスvol.31』(後楽園ホール)で、とうとうお披露目。果たしてケロロ軍曹は、この勝負で勝利を収め、ペコポン侵略の足がかりとするのか、それとも恐竜パワーに押しつぶされてしまうのか!? いよいよゴングであります!!

閉じる 花道に現れた二頭身のケロロ軍曹は、ステージの上で変身。緑と白のペコポン人用戦闘スーツとなったケロロ軍曹は、相変わらずのテンションの高い声を上げながら花道を入場してきた。ノートンが入場し、ゴングが鳴ると、「この戦闘用スーツでこの筋肉おっさんをやっつけてやる!」と叫びながら、ケロケロパンチ! しかし、まるでノートンには効いている様子はない。ならばと、トラースキックを胸板に叩き込んだケロロ軍曹。これもノートンにはまるで効いてないようだ。これに困って、「ちょっとタイムね」と言ったケロロ軍曹は、携帯電話で戦闘用スーツの開発者にクレームを付けている。

 これに煮をやしたノートンはケロロ軍曹を捕獲すると、チョップを一撃。そして、ロープに振って、ラリアットを狙う。ところが、ケロロ軍曹はこれを上手くかわすと、ドロップキックを叩き込み、さらにロープを緩めて場外に追い出すことに成功。続けて、スライディングキックを決めてみせる。そして、ノートンがリング内に戻ってくると、再びケロケロパンチ! しかし、ノートンはあっさりと拳を掴むと、逆にチョップで叩きのめし、コーナーに叩き付ける。もはやこれまでなのか? それでもノートンは容赦なくブレーンバスター! 決まったかと思われたが、ケロロ軍曹はギリギリで肩を上げてキックアウト。まだまだ勝負を諦めていないようだ。

 このケロロ軍曹の頑張りを見た会場のちびっ子から、「ケロロ!」コールが発生する。これに奮い立ったケロロ軍曹は、真っ正面からノートンにタックル。しかし、当然、ノートンの巨体に通じるわけがない。逆に吹っ飛ばされて倒れ込んでしまった。そして、遂にノートンはパワーボムでトドメの体勢に入る。しかし、ケロロ軍曹はこれを空中で逃れると、着地したと同時に低空ドロップキックをノートンのヒザに発射! そして、ラ・マヒストラルで慌てさせると、さらに背後からノートンの側頭部にドロップキックをぶち込んでみせる。ようやくチャンスを掴んだケロロ軍曹は、コーナー最上段へ。そして、「フロッグスプラッシュ!」と叫んで、ダイビングボディアタックを発射だ! しかし、ノートンはこれを軽々とキャッチ。そのままパワースラムでマットに叩き付けて、アッサリと3カウントを奪った。結局、ノートンの完勝で試合は終わってしまったのだった。

 「あて……、あててて……。まいった、まいった」とひどくダメージを受けた様子のケロロ軍曹。続けて、「ひどい目にあったであります……。あの脳ミソ筋肉おやじめ、シャレが全く通じないでありますよ……」と、一人で愚痴をこぼしながら花道を歩いていく。戦闘用スーツを脱ぎ、元の2頭身に戻ったケロロ軍曹は、周囲の冷ややかな目に気づき、「え? なに? この空気。『チビッ子のヒーローが負けちゃった……』みたいな視線を感じるでありますよ!」と我に返る。そして、いつもの調子で「ち、違うであります! 今日はあくまでも様子見! 我輩が手加減してやったでありますよ!」と、言い訳&強気発言だ。さらに、どこかで見てるであろう高田総統に対し、「くおらー、高田総統! 大みそかはこんなもんじゃすまさんでありますよ! 次は、我輩の仲間も連れてくるでありまーす!」と、早くも『大みそか ハッスル祭り2007』への参戦を予告。そして、モンスター軍へのさらなる宣戦布告を行なった。言うだけ言ってスッキリしたのか、「さ、我輩はさっさと帰ってガンプラ作るでありま〜す。ゲロゲロリンチョ〜」と、さっそうと会場をあとにするのであった。いやはや、まったく打たれ強いカエルも……、いやいや、ケロン人もいたものであります。


第3ハッスル(ウェポンマッチ)

10分44秒 ハントパンチ→体固め

 「高田モンスター軍に入って、色々おいしい思いをしたい!」と、不純な動機でモンスター軍入りを志願したキンターマン、クロダーマンのマスクマンコンビ。しかし、肝心の入団テストに負け続けること11回! そんな入団テストも今夜がラストチャンス。大谷晋二郎&モンスター℃という強豪を相手に勝機はあるのか?

 しかも本試合は、キンクロコンビを徹底的に痛めつけるためにモンスター軍が用意した特別ルールで行なわれる。その名も“ダイナマイト・ハードコア・ハッスル・ウェポンマッチ”だ! その試合のルールとは、選手はまず各自自由にウェポン、つまり凶器を持参して入場。もちろん試合中に使用するのも自由だ。そして試合開始から一定時間が経過すると、入場ゲートにあるパチンコ台のスロットが回転、と同時に、会場のどこかにこの回転を止めるボタンが出現。このボタンを押して、見事「当たり」を出すことができれば、ステージから登場する『スペシャルウェポン』を自由に使うことができる、というものだ。
 かつて『ハッスル3』(2004.5.8横浜アリーナ)で行なわれたが、そのあまりの危険さに封印され続けた伝説の試合形式が、今夜ここ、奇しくも同じ横浜アリーナで大復活……!! キンクロコンビは、壮絶な展開が予想されるこのウェポンマッチを制して、入団テストを突破できるのか!? いや、生きてリングを降りられるのだろうか……。

閉じる お馴染みのブリブラダンスを大勢のバックダンサーと共に踊りながら入場してきたマスクマン軍団。モンスター軍がリングインすると、早速、奇襲を奇襲を仕掛けた。まずはキンターマンがフランケンシュタイナーで℃に先制だ。そして、「キン!」、「℃」の掛け声付きでエルボーとローキックを打ち合う。しかし、これは℃に軍配。ならばと、すぐさまクロダーマンが登場し、℃を捕らえる。そして、コーナーに開脚して固定すると、キンターマンがそこにボーリング玉を発射! これが℃の股間に直撃! 悶絶した℃は、リング外に逃亡だ。さらに、℃が持ち込んできた脚立を奪ったクロダーマンは、大谷めがけて脚立プレス。そして、コーナーに脚立を据え付けると、そこに大谷に据え付けて串刺し式ラリアットを狙う。ところが、大谷はこれを間一髪スルー。クロダーマンを脚立に自爆させると、顔面ウォッシュだ。

 と、ここで会場の巨大パチンコ台のスロットが回転。花道に出現したスイッチを押したのは大谷だ。しかし、スカだったため、凶器は出てこなかった。この隙にキンターマンが大谷を急襲。さらに、℃を捕獲すると、テーブルに寝かせて、テーブルプレスを叩き込む。勢いに乗ったマスクマン軍団は、クロダーマンが自転車を持ち出し、花道を疾走しながら大谷にラリアットだ。これを往復で決めたクロダーマン。と、ここでまたもや巨大パチンコ台のスロットが回転。今度のスイッチは客席に出現だ。℃とクロダーマンが必死に追いかけ、これを押したのは℃。しかし、またもスカとなってしまった。一方、リング上ではキンターマンと大谷が攻防を繰り広げている。キンターマンの顔面をコーナーに激突させた大谷は、℃と2人がかりで攻撃。トレイン攻撃でキンターマンを追い込んでいく。

 と、ここで、またも巨大パチンコ台のスロットが回転。今度のスイッチは実況席に出現だ。しかし、なんと、これをゲスト解説のケンドー・コバヤシがなぜかリング内に持って行ってしまう。そして、スイッチを押したのはマスクマン軍団だ。回転するスロット。そして、今度こそ当たり! すると、K-1のテーマ曲が鳴って、なんと登場したのは、先日の後楽園ホールで参戦を表明していたマーク・ハントだ! 白いグローブを着けて登場したハントは、パンチで大谷を蹴散らすと、℃にも強烈なパンチを一撃! すぐさまキンターマンが覆い被さり、3カウントを奪ってしまった。

 「みんなー! 勝ったどー!!」。キンターマンが、嬉しさのあまり雄叫びをあげる。続けて、「ハント、よう助けてくれたな。センキュウ〜!!」とペコリ。「苦節8ヶ月、ようやくこれで俺らもモンスター軍入りだよ……」とはクロダーマン。見事、勝利をものにしたキンターマンは、ここぞとばかりに「おーい! 高田総統、見てるかー!? もう文句は言わせへんで! とりあえず入団祝いに高級フーゾク連れてってくれーい!!」と、高田総統にお祝いを要求。それを聞いたクロダーマンはあわてて、「ダメだよ、キンターマン! 今日は会場にチビッ子がたくさんいるから、そっち系のネタはNGだって、スタッフに言われてるじゃん!」と、キンターマンを制止するが、ご機嫌な様子のキンターマンはそんなものどこ吹く風だ。「マークも行きたそうな顔しとるやんけ! 夜のサモアンフックが炸裂じゃー!」と、そこに居合わせただけのハントを勝手に巻き込む始末だ。これにクロダーマンが、「そんなこと言ってるから、僕ら地上波に映らないんですよ!」と、正当なツッコミを入れると、「恐縮です」と頭を下げるキンターマンであった。

 退場では、もちろんハントも一緒にブリブラダンス! 花道を意気揚々と引き上げる3人であった。今夜は以外な形で参戦したハントだが、ハッスルへの長期参戦をにおわせているだけに今後の動向に注目だ。


第2ハッスル

10分14秒 カイカワロック

 「グラビアアイドルとして伸び悩む自分をなんとかして変えたい」。そんな思いを胸に、ハッスルのリングに海川ひとみが参戦。そして海川は、ジャイアント・バボとのデビュー戦で、アイドルにとって致命傷ともなりうる全治1ヶ月の鼻骨骨折を負い敗北。その上、インターネット上では「ハッスルを舐めるな」と批判の声が飛び交った。
 しかし、海川はこれにめげず、翌年の3・18『ハッスル21』(愛知県体育館)で復活。ジャイアント・バボとのリターンマッチに臨むも、再び敗北を喫してしまう。モンスター軍からの妨害があったため、この試合結果に納得のいかない海川は、ハッスルを牛耳る高田モンスター軍に、この『ハッスル・マニア2007』への出場を直訴。弱みにつけこんだ島田二等兵の猛烈なセクハラに耐え抜き、ザ・グレート・サスケの協力も得た海川は、先日ついに出場権をゲットした。

 しかし対戦相手である島田二等兵は、この試合で自分の欲求を満たしつつ、海川に恥をかかせることしか頭にない。そのために、セクハラ専用必殺技“エロチカロック”をマスターする始末だ。果たして海川は島田のセクハラ攻撃をかいくぐり、かつ、これまでの屈辱を返すことができるのだろうか……!?

閉じる スペシャルリングアナウンサーの真鍋かをりに呼び込まれて、まずはサスケと海川が入場。続いては、モンスター軍の入場だが、会場内にはどこかで聞いたことのあるテーマ曲が鳴る。ステージに現れた島田は白い柔道着姿だ。そして、正座をすると、なぜか深々と礼。続いて、バボとセコンドの佐藤耕平と手を繋いで入場だ。どこかで見たシーンだが……? 花道を歩いてきた島田は、リングイン直前にはリップクリームを塗って、唇をヌルヌル状態に。やはり、狙うは海川の唇ただ一つといったところか。

 ゴングが鳴る前、まずはバボがサスケのヒザに一撃! そして、邪魔なサスケをリング外に追いやると、変態面全開の島田がすぐに海川にタックルを決めて、ガードポジション越しから海川の唇に襲いかかった! なんとか、この窮地を脱した海川はドロップキックを決めて、横四方の体勢で覆い被さるが、島田は下からキス狙い。それでもめげずに海川はマウントポジションを奪うと、これまでのお返しとばかりにパンチを叩き込んでいく。さすがの島田もこれには激怒。サングラスを外し、さらに上着を脱ぐと、ワンショルダータイツ姿になって、海川に襲いかかる。そして、タッチを受けたバボも海川の髪の毛を掴んで蹂躙していく。頼みのサスケは未だにリングの外で倒れたままだ。しかし、海川はバボに自力でミドルキックを叩き込んで、ようやくこの窮地を脱出。そして、サスケにタッチだ。

 ようやく出番が回ってきたサスケは、バボに正拳付き連打から、首筋にエルボーを叩き込むと、トップロープからの飛びつきネックブリーカー、そしてミサイルキックを連発して、バボを追い込んでいく。しかし、バボもパワーでこれを凌ぐと、ニーリフトでサスケを悶絶させる。そして、高い角度のチョークスラムを敢行! これでダメージを負ったサスケは、自軍のコーナーに転がるように戻ってしまう。そして、再び海川の登場だ。海川はガムシャラにバボの顔面を張り飛ばしていくが、バボに効いている様子はない。容赦ないバボは、海川を張り飛ばすと、バレーボールで滅多打ちだ。だが、海川はこれでも3カウントを許さない。ならばと、バボはカナディアンバックブリーカー。そして、実況席にいる真鍋かをりと浜田翔子を指さし、見せつけるようにして、自らヒザをマットに着いて、海川にダメージを与える。

 続いて、またも島田の登場だ。舌なめずりしながら出てきた島田は、すぐさま海川を捕獲すると、恐怖のエロチカロック! 執拗に海川の唇を狙う。ここは間一髪、サスケがカット。窮地を逃れた海川は、バボの蹴りを島田に誤爆させると、さらにバボをロープの隙間からリング外に転落させることに成功。そこに、サスケがノータッチのトペ・コンヒーロだ! このチャンスに海川もトップロープへ。そして、コーナー最上段で立ち上がると、叫びながら、なんとバボにプランチャを発射! 凄まじい闘争心だ。しかし、海川にもダメージがあるのか、バボの体の上に覆い被さって、なかなか起き上がれない。カウントギリギリでリングに生還した海川は、島田の蹴りをロープに自爆させると、ローキックを連発して、島田にダメージを与えていく。そして、髪の毛を掴んで起き上がらせると、腰を掴んでバックドロップ! さらに島田の足を掴んでアンクルホールドだ! ロープに手を伸ばそうと必死の島田。しかし、ギリギリのところで海川が強引に引っ張って、リングの中央に引きずり戻す。もはや万事休す。さすがの島田もタップして、海川が嬉しい初勝利をもぎ取った。

 島田は、バボの肩をかりて退散。観客に対しても罵声を浴びせ続けた島田の失態に、会場はえも言われぬ爽快感に包まれた。サスケは、「ひとみさんのあきらめない強い気持ちが、実を結んだんです! 会場の皆さん! この1年間の、彼女のひたむきな努力をどうか認めてあげてください!」と観客に向けて呼びかける。すると、会場からは温かい拍手が鳴り響く。ようやく訪れたこの瞬間に感極まった海川は、「皆さん! 私はハッスルが大好きです! こんな私をここまで応援してくれて、本当にありがとうございました!!」と、涙を流しながら深々と一礼し、リングをあとにしたのだった。


第1ハッスル

8分58秒 超新星プレス

 いよいよ幕を開けたハッスル最大の祭典。もちろん先陣を切るのは、期待のフレッシュ・ハッスラー、KUSHIDAと\(^o^)/チエ、それに坂田亘の下でメキメキと力をつけた崔領二だ! この一年間、モンスター軍との激闘を経て格段にアップした実力は、トップバッターを任せるに十分値するものだ。対するモンスター軍からは、しわがれ声の殺し屋“モンスターK’”佐藤耕平と、変幻自在かつトリッキーな動きで対戦相手を捕食する暗闇の狙撃手・赤鬼蜘蛛、青鬼蜘蛛の凶悪モンスタートリオが出撃! 果たして、大事な初陣を制するのはどちらだ!? ハッスル軍とモンスター軍の最終戦争がいよいよ開戦!!

閉じる KUSHIDAと赤鬼蜘蛛の先発で試合はスタート。腕の取り合い、グラウンドの攻防を経たKUSHIDAは、ルチャ式の攻防で赤鬼蜘蛛を上回る動きを見せる。そして、続いてはチエと青鬼蜘蛛の攻防だ。「ワーワー」と喚きながら青鬼蜘蛛に挑むチエは、勢いよくドロップキック、スピアーを決めて、青鬼蜘蛛を蹴散らすと、耕平をリングに呼び込んだ。しかし、耕平は容赦なく蹴りでチエ、そして入ってきたKUSHIDAを追っ払い、崔と対峙。崔にはドロップキックを食らってしまった耕平だが、再び勢いよく挑んできたチエをすぐに叩きのめして、逆片エビ固めに捕らえてしまう。早くもチエはピンチだ。しかし、ここは素早い動きでKUSHIDAがカット。それでも、チエは背中に耕平のサッカーボールキックを食らってしまう。ここで、またもカットに出てきたKUSHIDA。

 これに怒った耕平は逃げるKUSHIDAを花道まで追いかけ、ステージ上で蹴りで蹂躙していく。一方、チエはリング上で青鬼蜘蛛の前に防戦一方。グロッキー気味のチエに、青鬼蜘蛛は赤鬼蜘蛛を呼び込んで、ダブルのダイビングヘッドバットを発射だ。しかし、チエはこれを間一髪スルー。崔のカットにより息を吹き返すと、リングの外に出て、崔と共に耕平&赤鬼蜘蛛&青鬼蜘蛛を捕獲。そこに、ステージで倒れていたKUSHIDAが起き上がり、勢いよく走り込んで、トペ・コンヒーロを決めてみせる。そして、リングに戻ると、青鬼蜘蛛の顔面にドロップキックを叩き込んだKUSHIDA。そして、セカンドロープからムーンサルトを発射だ。しかし、青鬼蜘蛛はこれを剣山で防御。

 すぐさま、赤鬼蜘蛛が蜘蛛の糸を発射して、KUSHIDAを捕らえる。さらに、救出に来たチエをも捕まえると、赤鬼蜘蛛と青鬼蜘蛛揃ってのダブルのローリングクレイドルだ。ここはなんとか崔がカット。すると、崔とKUSHIDAはチエを持ち上げて、チエの頭頂部を青鬼蜘蛛に炸裂させて、蹴散らす。そして、耕平と赤鬼蜘蛛にチエを投げつけて、リング外に追い出すと、最後は青鬼蜘蛛にKUSHIDAが超新星プレス! これが見事に決まり、KUSHIDAの3カウントで、ハッスル軍が幸先良く1勝目をもぎ取った。


オープニング劇場

 いよいよハッスル年間最大のイベント『ハッスル・マニア2007』がスタート! オープニングを務めるのは、やっぱりこの男、“歌って踊れるハッスラー”川田利明だ。自己紹介をすませた川田は、「ファイティング・オペラなのに歌がないと歌い始めて、早9ヶ月。オープニングに専念しすぎて、試合が組まれなくなっちゃったんだよ。出番が歌だけってどういうことだよ?」とぼやく。そう、本日は川田の試合が組まれていないのだ。しかし川田は、「俺はハッスラーだ。どんなことでも真剣に取り組む。だからこのハッスルマニアでは、今年の俺の歌の集大成にしようと思う」と、前向き(?)に頑張ることを決意。続けて、「今日は、こんなに沢山のファンが観に来てくれて、本当に幸せだよ。ありがとう! まさにビューティフルサンデーだ!」と感謝の気持ちを示すとともに、本日の歌『ビューティフル・サンデー』をスタートさせた。

 「さわやかな日曜 降り注ぐ太陽 ヘイヘイヘイ イッツァ ビューティフル・デー♪」と、川田がご機嫌に歌い始めると、なんとご本人の田中星児さんがにこやかに花道を歩いてくるではないか! そして田中さんは、前回の高田総統同様、川田から歌を横取りするのであった。これに気づいた川田は、田中さんをリングに迎え入れた。そして、田中さんと川田と会場は一体となって『ビューティフル・サンデー』を大合唱したのであった。曲が終わると川田は、「結局、最後まで一人じゃ歌わせてもらえなかったけど、今日は田中さんが来てくれたんだ! おれは気持ちいいよ! ありがとう!」と、田中さんとガッチリ握手をかわした。盛大な拍手に包まれて、田中さんはここで退場。リングに残った川田は、「いやあ、ハッスルマニアって本当にいいな。今年の集大成の場で、最高の武勇伝が作れたよ! 来年も俺は歌、そして試合で武勇伝を作るぞー!」と、高らかに宣言だ。

 するとお笑い芸人・オリエンタルラジオの二人が登場! どうやら川田の「武勇伝」という言葉を聞きつけていてもたってもいられなくなったようだ。そして二人はリングに上がると、すぐさま持ちネタ・武勇伝を開始。
 「あっちゃん、いつもの言ったげて!」。「暇さえあれば歌練習。だけど、代わりに試合がなくなった! 武勇伝、武勇伝、武勇デンデンデデンデン! ハッスルマニアで完全燃焼。そのまま燃え尽き灰になる! 武勇伝、武勇伝、武勇デンデンデデンデン! レッツゴー! カッキーン!」。「意味はないけれど〜 マニアに来ちゃった 目の前にいるのはウガンダだ〜♪」と、川田を一通りいじると、藤森慎吾が、「トシちゃん! トシちゃん! 会いに来たよ〜!」と川田に声をかける。川田は、「俺、トシちゃんなんて言われたことねえよ。ていうか、オリラジじゃん!」と、まるで一般人のような反応。続けて、「お前ら忙しいんだろ? こんなとこで、俺と競演してる場合じゃねえだろ。早く帰ったほうがいいぞ!」と、売れっ子の二人を帰そうとするが、中田敦彦が「バ〜カ〜ヤ〜ロ〜!」と川田の顔面を打ち抜く。不意をつかれた川田は、「なにすんだ、コノヤロウ!」と中田を睨みつけるが、中田は真剣な顔で「お前の口からそんな言葉聞きたくねえよ。ハッスルっていうのは、どんなバカバカしいことでも一生懸命に取り組むリングだって言ったのはお前だろう!」と川田に投げかける。この言葉に目が覚めた川田は、ハッとした様子で、「そうだ。俺は、相手がレスラーでもお笑い芸人でも、全力で戦う“モンスターK”だ!」と、自分の持ち味を再認識。それを見た藤森が「かっこいい〜!」と褒め称えると川田はオリラジの決めポーズを「カッキーン!」と決めるのであった。

 これで打ち解けた3人は、武勇伝ネタをコラボレーション! 「顔がウガンダそっくりです!(藤森) カレーライスを一気飲み!(川田) 武勇伝、武勇伝、武勇デンデンデデンデン! レッツゴー!」。「マニアで残すぞ武勇伝!(中田) でも、俺の出番はお終いだ!(川田) 武勇伝、武勇伝、武勇デンデンデデンデン! レッツゴー!」。そして、川田はもう一度、「カッキーン!」とポーズを決めオープニングを締めるのであった。


オープニングムービー

 2004年から3年にわたり繰り広げられてきたハッスル軍と高田モンスター軍の抗争は、高田総統のハッスル買収劇により、あっけなく終焉! 権力を握った高田総統は、ハッスラーたちへ絶対服従を強要した。しかし、一匹狼であったはずの坂田亘の呼びかけにより、ハッスル軍の残党が、新生ハッスル軍として一念発起! 坂田亘、HG、崔領二、TAJIRI、KUSHIDA、\(^o^)/チエ、そしてRGは、打倒・高田総統に執念を燃やし立ち上がるのであった。

 新生ハッスル軍は、6・17『ハッスル・エイド2007』(さいたまスーパーアリーナ)で、その貧弱なメンバーながらも屈強なモンスター軍を相手になんと全勝! さらにモンスター軍を追放された天龍源一郎を迎え入れたことで大きく成長を遂げた。しかし……、この結果を見かねた高田総統はモンスター軍の増強を図り、これでもかと大型モンスターを招聘! 新生ハッスル軍を苦しめた。極めつけは、インリン様の子供であるモンスター・ボノと、かつて格闘技界を震撼させた“暗黒肉弾魔人”ボブ・サップだ。これだけでも、本大会での新生ハッスル軍の苦戦は、もう目に見えているが、高田総統のハッスル軍・壊滅計画はこれだけにとどまらなかった。なんと、新生ハッスル軍のエース・坂田の対戦相手にエスペランサーを投入! まさに“銀河系最強集団”がここに誕生した。坂田率いる新生ハッスル軍は、この史上最大の危機をどう乗り越えるのか? ハッスルは今日、クライマックスを迎える。