ファイトカード

高田総統劇場

●そして、高田総統が登場!

 颯爽と客席から姿を現した、“キャプテン・ハッスル”こと小川直也。しかし、リング上にはすでにモンスター軍の姿はなかった。相変わらず逃げ足だけは速い。小川の怒りの矛先は、坂田と崔に向けられた。

 「オラッ、立て! あんなヤドカリ野郎に負けやがって! お前ら、こっからが勝負だからな!」と叱責する小川だが、その時、別の声が場内に轟いた。

 「チキン君、自分の事は棚に上げてほざくのはやめなさい」

 そう、高田総統の登場だ! バルコニーにモンスター軍を引き連れて華麗に現れる高田総統。今日は一体、どんな毒舌が展開されるのか!? 場内は大ブーイングに包まれる。

 「今日はなかなか上手なブーイングだ。間抜けなハッスル軍の諸君、そして平日の夜にも関わらず何の予定もないプロレスファン諸君、私が高田モンスター軍総統の高田だ」

 と、相変わらずファンをもバカにする高田総統。怒り心頭の小川は「このコスプレ野郎がっ!」と言い返すが、高田総統は全く動じない。

 「これはチキン君。先日のPRIDEでの試合、ご苦労だった。キミのハッスル査定試合、拝見したよ。いや、正確に言うと拝見してはいないんだ。8月23日のフジテレビの放送を見ていたんだが、ちょっとNHKのオリンピック・ハイライトを見てからチャンネルを戻したら、キミはもう負けてたじゃないか!」

 これは厳しいお言葉。小川は1R54秒、エメリヤーエンコ・ヒョードルに敗れてしまったのだ。

 「キミよりヤワラちゃんのほうが強いんじゃないか? 彼女を我がモンスター軍に勧誘したいぐらいだ」と侮辱は更に続き、小川の反論にも「ここに集まっている暇で暇で仕方がないプロレスファン諸君は、これを楽しみにモンスターパークへ来ているんだろう? だから続けさせてもらう」とやはり意に介さない。

 「チキン君、査定試合は54秒だったな? ずいぶんと早かったじゃないか。そこでだ、キミにグッドアイデアを差し上げよう。あの吉野家の豚丼に対抗して、小川屋のチキン丼はどうだ? キャッチフレーズはこうだ。“早い、弱い、しょっぱい”! そして注文してから54秒で出てくるんだ。ワッハッハッ!」と、小川の敗北を侮辱する非情な高田総統!

 これには小川も黙っていられない。「今日こそ決着をつけてやるぞ、泣き虫が!」と挑発したが、これはやぶへびとなった。高田総統はさらに上手だったのである。

 「キミは今、泣き虫と言ったな? 本当の泣き虫はキミの方じゃないかな。これを見たまえ」と、場内モニターにヒョードル戦後、ハッスルイベントでファンの声援を浴びて感動する小川の姿が映し出された。ファンの暖かい声援に、今にも泣き出しそうな小川。本来なら実に美しいシーンなのだが、高田総統の手にかかれば「分かったろう? キミこそ本当の泣き虫だ」と、笑いのネタにされてしまうのだから、始末に悪い。

 さらに高田総統は続ける。「おい! これから私が査定試合の評価を言う。では、採点だ」。小川が敗れるシーンが映し出され、そこに得点ボードが…出された点数はたったの「3点」。

 「失礼な!」と怒鳴る小川。当然だろう。しかし、高田総統にそんな言葉は効かない。「ありがとう、チキン君。今回も随分とネタにさせてもらった。しかし、もう飽きた! うんざりだ!」。小川は「お前に採点される覚えはねぇ!」と言う小川の声も、高田総統の耳には届かない。全く無視して、高田総統は続ける。「我々からひとつ、間抜けなハッスル軍と暇なプロレスファン諸君にニュースがある。我がモンスター軍に新たなモンスターが加わった。恐れを知らないこの男だ」と、爆弾発表を行ったのである。

 現れたのは白い着物に身を包み、顔に梵字が書かれた男…その姿はまさに、先日モンスター軍が墓から遺体を盗み出した“白使”に酷似している! 高田総統の“ビターン”の呪いによって、白使が蘇ったというのか!?

 「どうだ! ビビッたか、たじろいだか!」と勝ち誇る高田総統。「最後にひとつだけ言っておこう。泣き虫チキン君、君はハッスル査定試合に負けたんだ。それも54秒でだ。よってこれから54日間、キミは出場停止だ!」と、何と小川に出場停止命令を下したのである。それでは9・20『ハッスル5』に小川は出場できないという事になってしまう!?

 「この野郎!」と噛みつく小川だが、高田総統はやはり無視。「それでは諸君、次回楽しみにしておいてくれたまえ。バッドラック!」とマントを翻して去ってゆく。白い着物の男は、何者かにとりつかれたような目でしばらく小川を見下ろしていたが、一言も発することなくその場を去っていった。

 「おいっ! 何だその白いのは! どうせまた出てこねぇんだろっ!? そんなハッタリが通用するか!」と、ごもっともな突っ込みを入れた小川だが、後の祭りだった。

 リングに集合したハッスル軍の若手たちを睨み、小川は言う。「おい、お前らよく聞け
! PRIDEでひとつ学んだ事がある。それは、勝っても負けてもハッスルしなきゃ皆同じってことなんだよ!」と熱いメッセージを飛ばした。

 すると、小川の目に一人の男の姿が映った。「そこのサッカー少年! 会場間違えてんじゃないのか?」

 そこにいたのは、Jリーガーで元サッカー日本代表の城彰二選手だった。小川に呼び出されてリングに上がると、「ところでお前は誰なんだよ」と小川に聞かれ、「Jリーガーの城です」と素直に答える城選手。Jリーガーと知った小川は、ある提案をした。

 「おう、Jリーガーか。よく分かったよ。でもな、サッカー界だけは、ハッスルしてねぇじゃねぇか! 野球界、陸上、水泳、自転車、ゴルフ! みんなハッスルしてんだぞ。サッカー界だけは、まだ「1、2、3、ダーッ」なんだよ。今日よ、ここに来たって事は、ハッスルを伝授されに来たんだろ? じゃあ、お前がハッスルの伝道師になってくれよ。これからはお前がサッカー界にハッスルを広めてくれ!」と言い、「今日からお前はハッスルEジョーだ!」と任命したのである。

 さあ、全員揃ってのハッスル…と思ったのだが、ここで場内からは前回の『ハッスル4』に続いて「長州コール」が。しかし、小川によれば「先ほど長州さんはお腹が痛くなって帰ってしまいました。橋本はまだ病院で看護婦さんのお尻を追っているので来ることが出来ません」という。残念だが仕方がない。最後は「サッカー界とプロレス界と皆さんが頑張るためにハッスルします! 3、2、1、ハッスル! ハッスル!!」と会場全体で“ハッスル”をきめ、『ハッスル・ハウス vol.2』は幕を閉じた。

第5ハッスル

10分11秒 バッファロースプラッシュ→体固め

 モニターには秋川渓谷の地下40メートルにあると言われる、“モンスターの穴”通称“モン穴”でプロレスラーデビューに向けて猛特訓を積む島田参謀長の姿が映し出されていた。ともすれば挫けてしまいそうなほど、厳しい特訓。そんな島田レフェリーを、パートナーのダン・“ザ・バッファロー”・ボビッシュが「ヤルマエカラ マケルコトヲ カンガエルヤツガ イルカ」と、どこかで聞いたような台詞で叱咤激励する。島田参謀長もそれを受けて、一世一代の大勝負へ向けて特訓を続ける。アン・ジョー司令長官は「コレダケヤレバ “ナルチビ”ナンカ イチコロネ」とお墨付きを出した。

閉じる さあ、両軍がリングに登場だ。島田参謀長は勇ましくマイクで、「ナルチビ! 魂入れてかかって来い!」と雄たけびを上げる。それに対して坂田は、「島田、本気だぞ」と静かに凄む。すると島田、大いにビビる! どうした、ヤドカリ!

 場内からは同情の「島田コール」が沸き起こったが、あっという間に「坂田コール」でかき消される。先発はボビッシュと坂田。ボビッシュはパワフルな攻撃で坂田を痛めつけ、島田にタッチしようとするが島田は何とタッチを拒否。場内のブーイングには耳を塞いで知らんぷりだ。

 その後も島田は全くタッチに応じず、ボビッシュが崔を痛めつけている間に便乗して手を出すという実にセコイ作戦。負けじと中村カントク・レフェリーも、ボビッシュがフォールされるとマッハの速さのカウントだ。

 これに抗議する島田だが、中村カントクによってリング内に入れられてしまった。焦る島田だが、アン・ジョー司令長官も乱入して坂田にバックドロップを見舞い、島田をフォローする。このチャンスを逃すまいとトップロープに上がろうとした島田だったが、あまりにもモタモタとしていたため坂田がダメージから回復してしまい、逆に雪崩式ブレンバスターで叩きつけられてしまった! さらに今度はなぜか中村カントクがコーナーに登って、坂田とツープラトンのパイルドライバー! 島田はこれで完全にグロッギーとなってしまい、アン・ジョー司令長官の肩を借りて退場となった。

 これでハッスル軍有利かと思いきや、ボビッシュが中村カントクをふっ飛ばし、謎の覆面レフェリーが登場。ボビッシュは崔の腕ひしぎ逆十字固めを返して、崔をボディスラムからのバッファロープレス。カウントは1、2、3! ボビッシュがスーパーヘビー級の強さを見せつけた。

 「ハッハッハッ!」と高らかな笑い声をあげるアン・ジョー。「今日モ モンスター軍ガ BIG WINネ! 島田サンノ 実力ニ “ナルチビ”ハ タジタジネ」と勝どきをあげる。そして、「小川ノ チキンモ PRIDEデ クイックルーズネ」と先日のPRIDEで敗れた小川直也までもバカにするアン・ジョー。そこで場内に怒声が響き渡った。

 「何だと、コノヤロー! いまそこへ行くから、待ってろ!」

 “キャプテン・ハッスル”小川直也の登場だ!


第4ハッスル

10分21秒 急所蹴り→エビ固め

●試合直前ハッスル劇場

 試合前、マッチメイクに悩む笹原GMの姿がモニターに映し出された。すでに三日三晩は試行錯誤している様子だ。公平がモットーのGMにとって、マッチメイクは頭を悩ます問題である。

 「うーん…ハッスルKとモンスターCか。ヒザカリ、ヒザカリ、イシカリ…石狩! もうこれでいいやっ!」と寝転ぶGM。そ、そんなゴロ合わせのようなマッチメイクでいいのか、GM!

 というわけで決定したカードは、“ハッスルK”こと川田&石狩組VSモンスターC&“膝狩酋長”HIZAKARIによるタッグマッチ。初登場のモンスターCは、スラリとした大男。HIZAKARIは…あれれ、“肩狩酋長”KATAKARIと瓜二つだ! どうやら似たような系統の部族出身らしい。川田はブルース・リーのテーマに乗って、黄色地に黒いラインの入ったトラックスーツで登場、石狩も同じ色合いのガウンを着用している。

 試合に先立ち、ルール変更がアナウンスされた。モンスター軍より申し入れがあったという。それは、HIZAKARI族は神聖なる闘いの時には太鼓をならさなければいけないというものだった。これをハッスル軍が認めたため、ルール変更となったが、どこがルールと関係あるのかはハッキリしない。

閉じる ゴングが鳴ると、KATAKARIは足踏みをして独特のリズムを刻む。すると、場内にはHIZAKARI族の民俗音楽が流れ始めた。「ウンバウンバウンバチャッカ…」と、まるでここはアフリカかと勘違いしてしまうような曲が流れる中、これでパワーを得たHIZAKARIは石狩を攻め立てる。HIZAKARIは川田を呼び出すと、川田の右膝に狙いを絞ってキック、持ち上げてマットに膝から落とす、デスロックと集中攻撃を仕掛ける。リングの外では、HIZAKARIをもっと盛り上げるために、アン・ジョー司令長官がHIZAKARIの槍と盾でリズムを刻んでいる。

 しかし、最高潮に盛り上がったのはモンスターCの登場だ。その出で立ちは、川田と逆で黒地に黄色のラインが入ったトラックスーツを着込み、川田ばりの顔面キックやストレッチプラムも使いこなすという、まるで川田のコピーのようなモンスターだったのだ。まさに「K」対「C」の激突! 場内も2人の動きに合わせて「K! K!!」「C! C!!」と大合唱だ。

 勝敗が決まったのは、川田がHIZAKARIとの攻防で熱くなってしまった時だ。リング上で対峙した石狩が、モンスターCにスイングDDTを決め、さらにコーナーへ叩きつけてロープを駆け上っての延髄斬りを放った直後の事だった。不用意に後ろを向いてしまった石狩の股間を、モンスターCが蹴り上げたのである。悶絶する石狩を丸め込んで、モンスターCが勝利を収めた。

 マイクを握った川田の表情は冴えなかった。石狩のハッスルが足りなかったのと、「せっかく“俺だけのハッスル”が定着してきたのに、ハッスル出来なかった」からである。さらに「その格好、何とかしろよ。DSEにちゃんと作ってもらえ」と、石狩のコスチュームにも苦言を呈した。

 納得のいかない川田だったが、「橋本の長期欠場が決まったし、小川だけにハッスル独占させるのは悔しいので」とハッスルポーズを自ら進んでやる事に。しかし、1人では恥ずかしいので、「リーダー!」と観戦に来ていたダチョウ倶楽部のリーダー肥後さんを呼び出し、一緒に「3、2、1、ハッスル! ハッスル!」を決めた。


第3ハッスル

7分19秒 ビッグフット→片エビ固め

閉じる 今回の『ハッスル・ハウス』で最も謎の多いモンスター。それがヒマラヤン・ビッグフットだ。会場に現れたのは真っ白い毛皮を着込んだ大男。顔にはおどろおどろしいペイントが施されている。急遽、参戦が決まった湯浅和也をメンバーに加えた横井&藤井のヤングハッスル軍はハッスルすることが出来るか。

 最初にリングに上がったビッグフットだが、藤井のローやエルボーの連打を食らうとヨロヨロ。攻撃に至っては、自分のパンチの反動でバランスを崩してしまう始末。その風貌とは全く正反対の弱々しいファイトに、観客からはブーイングが飛ぶ。

 しかしそれには理由があった。日本でも猛暑といわれた今年の夏。ヒマラヤ生まれのビッグフットは、とても闘える状態ではなかったのだ。そこでコールマンとアン・ジョーがバケツ一杯の氷を用意。それをビッグフットの体に振りかけ始めたのだ。すると、ビッグフットはみるみるうちに元気を取り戻していった。

 充電が完了したビッグフットは、それまでとは打って変わって、圧倒的なパワー殺法でヤングハッスル軍をボコボコに。最後につかまった湯浅には、対角線上に振っての強烈なフロントキックとボディプレスのフルコース。湯浅はばったりと前のめりに倒れてしまった。

 対するヤングハッスル軍はアン・ジョーに照準を絞り、藤井と横井がハッスルニーとハッスルパンチを決めるが、これまたパワー殺法を得意とするコールマンのスピアーの前に一発でマットに沈んでしまう。

 そしてアン・ジョーとコールマンが場外に藤井と横井を引きずり出した隙に、ビッグフットがハイアングルのノド輪落としを湯浅に決める! これ以上ないアシストを受けたアン・ジョーが余裕の3カウントを奪ったのであった。

 これまで多くのモンスターたちを発掘してきた高田モンスター軍だが、このヒマラヤン・ビッグフットはその中でもトップクラス。今後もハッスル軍を苦しめるに違いない。


第2ハッスル

14分45秒 高速ウラカン・ラナ

閉じる両親を殺され、サーカスに売られたという悲しい過去を持つザ・デビル・ピエロ1号&2号。陽気な感じのビジュアルとは裏腹に高田総統から「恐ろしさが伝わってくる」と称されるモンスターだ。対するハッスル仮面は、今回ブルーを引き連れて登場。何かと素性が分からないハッスル仮面ではあるがレッドとブルーと2人いることが明らかになった。

 先発を買って出たデビル・ピエロ1号は高田総統の言葉通り、見た目からは想像もつかないようなパワフルな動きでレッドを圧倒する。体のサイズをみるにつけ、明らかにレッドよりも大柄ではあるのだが俊敏さはほぼ互角だ。タッチを受けた2号も1号と何ら遜色のない動きでハッスル仮面を追い詰めていく。

 そんな中、一人気を吐いたのがハッスル仮面ブルーだ。空中で綺麗な放物線を描くフランケンシュタイナーをはじめ、アクロバティックな空中殺法で反撃の狼煙を上げる。しかし、肝心なところでやられてしまうのがレッド。疲れのせいなのか動きにキレがなく、せっかくブルーが作ったチャンスを活かすことが出来ない。そうこうしているうちに、ブルーもスタミナ切れ。

 ここぞとばかりに攻め込むデビル・ピエロは、レッドをトップロープに持たれかけさせて、トップロープからのギロチンドロップ。さらに、カットに入ったブルーに対しては、綱引きのパントマイムで笑いを誘ってからのボディプレスと、一方的に攻め続ける。

 しかしどんなにピンチに陥っても、最後は勝つのがヒーローだ。一瞬の隙をついたブルーのスモールパッケージホールドでピンチを脱出すると、ムーンサルト式のDDTで1号を破壊。するとタッチを受けたレッドは、これまでとは別人のような鋭い動きを見せる。ブルーのトペコンヒーロに続けと言わんばかりに、1号に対して場外へのボディプレス。さらにスピンキックを顔面に叩き込むと、そのまま1号の顔に飛びついて、完全に空中で1回転する超高速のウラカン・ラナでフォールを決めた。

 これまで不甲斐ない闘いを続けてきたレッドだが、この鮮やかなフィニッシュシーンに会場も大盛り上がり。最後は拍手の中マントを翻し、去っていったのであった。


第1ハッスル

3分14秒 リキラリアット→片エビ固め

閉じる 試合が始まるまで誰と誰が対戦するか分からない今回のハッスル・ハウス。その気になる第1試合に会場にはなんと「パワーホール」が!

 そう第1試合から革命戦士・長州力の登場だ! のっけからヒートアップする後楽園ホール。客席からは大“長州コール”が巻き起こった。この異様な空気にビビったデスだが、ぬいぐるみに話しかけて意を決して猛然と襲い掛かっていく。コーナーに長州を押し込むとエルボーと膝蹴りを連打。しかも唾まで吐きかけてしまうではないか! そして長州の足を引きずりながら場外戦に持ち込むと鉄柵攻撃。腕に巻いたバンテージをほどいて長州の首に巻きつけるとやり放題。そしてトップロープからフライングヘッドバットを敢行する。

 しかしそれをかわした長州は、ゆっくりと立ち上がり腕をブンブンと振り回す。そしてより一層強くなった長州コールの中、渾身のリキラリアット一閃! そして貫禄の3カウントを奪った。

 圧倒的な強さを見せつけて勝利を手にした長州だがこれまで通り、勝ち名乗りを受けることもなくさっさと引き上げてしまった…。前回の『ハッスル4』での小川の呼びかけに応える日は来るのだろうか?


オープニング劇場

●モンスター軍作戦会議

 オープニング・ハッスルの興奮も冷めやらぬ内に、場内のモニターには高田モンスター軍の作戦会議の模様が映し出された。

 例によって高田総統に、不甲斐なさぶりを責められる島田参謀長の情けない姿…総統によれば、『ハッスル4』で坂田に不覚を取ったケビン・ランデルマンとウテ・ワナには、すでに制裁を加えているという。これからどんな恐ろしい目にあうのか…ガタガタと震える島田参謀長は、一通の書類を総統に差し出した。それは、島田参謀長のモンスター軍退職願いであった。

 「島田、お前の気持ちはよく分かった。そこまでやるなら、最後にもう一度チャンスをやろう」と慈悲深い高田総統。しかも、「私の愛情を込めた治療を施してやろう」と秘技“ダブル・ビターン”で、島田参謀長の目・首・足を治してあげたのである。先日、島田参謀長がピンピンした体で会見に現れたのは、こういう事だったのだ。


●GM笹原登場!

 VTRが終わると、リング上には最近ファンレターまで来るようになり、すっかりスター気取り(高田総統・談)となったGM笹原が登場。どういうわけか、『ハッスル4』でモンスター軍からプレゼントされたキンキラキンのラメラメジャケットを羽織っている。GMは前回の『ハッスル・ハウス』で宣言した所信表明、「笹原死すともハッスル死せず」をもう一度改めて宣言。「その所信に微塵の曇りもありません」と、超満員札止め2,200人の観衆から拍手喝さいを浴びた。

 続いて、10月21日(木)に後楽園ホールで『ハッスル・ハウス Vol.3』、10月23日(土)に初の地方興行となる『ハッスル6』が名古屋・愛知県体育館で開催が決定した事をファンに報告。そして、『ハッスル4』で小川直也が直訴した、チケット料金の値下げも断行した事を告げた。そのため、次回『ハッスル5』は超・お得なチケット料金になったって感じ?

 「チーズが1切れあれば、皆さんと半分ずつ。毛布が1枚あれば、皆さんと半分ずつ。ハッスルは今後、皆様とともに歩んでいきます」とGM。場内は感動に包まれた。

 そこへ、あのテーマが流れて感動は打ち消された。島田参謀長の登場だ。場内は一転して、大ブーイング。「いや〜、さすがGM!」とさっそくおべっかを使う島田参謀長。GMはそっぽを向いてしまう。

 「前回、僕があげたジャケットを着てくれているじゃないですか」(島田)

 「クリーニングに出しているだけですよ」(GM)

 といったやりとりがあった後、島田参謀長から図々しい提案がなされた。

 「私、今日プロレスデビューするんですよ。つきましては、対抗戦のメインに出してください。そして、レフェリーはGMがやってくださいよ!」と島田。何というハチャメチャな提案だろうか。それをGMが突っぱねた所で、今度はあのテーマが…中村カントクの登場だ!

 「おいっす!」と現れた中村カントクは、さっそく島田参謀長に噛みつく。「おい島田、レフェリーがどうとか言ってたな。俺がやってやるよ」と意外な発言。さらに、「俺はNWAのボブ・ガイゲル会長公認のレフェリーライセンスを持っているんだ」と衝撃の事実を明らかにした。今日はそのライセンスをたまたま持ってきているという。モニターに映し出されたサのライセンスには、確かに「レフェリー免許証」の文字が! 「死ぬまで有効」とまで書いてある。NWAが公認した割には、ずいぶんとしょぼい免許証だが…。

 「NWAなんか、もうないんだよ!」と鋭い突っ込みを入れる島田参謀長。しかし、中村カントクも譲らない。果てしなく続く両者の罵り合いに、GMの堪忍袋の緒が切れた!

 「シャラーーーーーーーーーップ!」

 GMの一喝は強力だ。思わずシュンとしてしまう両者。「よし、分かりました。島田さんはメイン、中村カントクはレフェリーをやりなさい。これでフィフティー、フィフティーでしょ」と、まるで大岡越前のような見事なお裁き! シッシッと野良犬を追い払うかのように、島田参謀長と中村カントクをリングから追放した。”


オープニング・ハッスル

13分40秒 ショーンキャプチャー

閉じる ハッスルオープニングマッチの顔となったスパンキー&カズ組だが今日は思わぬ苦戦を強いられることになった。日高&藤田組の上手いタッチワークに翻弄されスパンキーが長時間つかまってしまうという展開が続く。日高はスパンキーの左足に照準を定め、エルボーから足首固めと非情な攻め。それに続けといわんばかりに藤田も弓矢固めの要領で左足を極めるといった複雑な関節技でスパンキーの左足を絞り上げる。

 藤田のバックドロップを空中で前転し何とかエスケープに成功したスパンキーだが代わって入ったカズも悪い流れを断ち切ることが出来ない。ハッスルポーズを決めてから敢行する通称ハッスルムーンサルトは綺麗に決まったものの、追撃のムーンサルトはかわされてしまい、逆に藤田のフランケンシュタイナーの餌食に。スパンキーのトップロープから決める鮮やかなスイング式DDTから合体攻撃につなげようとするも、逆に日高のカットにあってしまいピンチを招いてしまう。最後は日高のショーンキャプチャーの前にスパンキーがカウントを奪われ、『ハッスル2』から続いたオープニングハッスル連勝記録は4でストップしてしまった。