ハッスル通信

マジでハッスルする12・30『ハッスル・マニア2008』直前!!
山口日昇ハッスル代表インタビュー

2008年12月26日

いよいよ開催まで1週間を切った、12・30『ハッスル・マニア2008』(東京・有明コロシアム)。世が乱れ、混乱をした時こそ、ハッスルの出番!! 100年に一度の世界恐慌といわれ、沈滞ムードが漂う現代社会において、はたして「どんな逆境でも、人はハッスルできる!!」のか? この壮大なテーマを掲げた『ハッスル・マニア2008』直前、主催者であるハッスルエンターテインメント代表取締役・山口日昇にインタビューした。


「ハッスルの世界観を今年こそ、世間に向けてブッ放す」

――さて、12・30『ハッスル・マニア2008』開催まであと1週間を切りましたが、まず今回のイベントのキャッチコピーが「どんな逆境でも、人はハッスルできる!!」ということですけど、このコピーはどういった経緯で決定したんですか?
山口 そもそも今年のマニアは、世の中の状況をそのまま反映させたイベントにしたかったし、テーマというか軸が欲しかった。ハッスルはファンタジーなんだけれども、そのファンタジーの中に、実はけっこうなリアリティが落としこまれてるというか、蠢(うごめ)いてるんですよね。ストーリーの中にも、キャラクターの中にも。
――はい。
山口 いつでも世相や時代性を映す舞台でいたいし、いつでも「そういうソフトを作り続けたい」と思っているわけですよ。それはまるで宮沢賢治のように……。
――あえて突っ込みません(笑)。
山口 「そういう人に私はなりたい」っていうか……いや、これは忘れてください。
――はい。ですから、あえて突っ込みません(笑)。
山口 そこでふと気がつくと、世の中が100年に一度の世界恐慌なんて言われてる時代の空気感の中で、なんとなくみんな気分が埋もれているけど、周りだけじゃなく、よく目を凝らせば、ハッスル自体だってのうのうとしていられないし、「俺たちだって逆境じゃねえか?」と。だから今年はハッスル自体も、「どんな逆境でも人はハッスルできる!!」というテーマを体現しなければならない。
――世の中も逆境であり、自らも逆境である、と。
山口 ポーズじゃなくて真の意味で「ハッスルしようよ」ということですよね。我々だって、いつ倒れてもおかしくないですから。上場企業ですらバタバタ倒れていく中で、経済的にも景気のいい時のような循環が期待できない。単純に言うと、他人の力はあてにできない時代にますますなっていく。追い込まれて、倒れないためにはハッスルしなくちゃならない、自らが発光体になって周囲を照らすことを本気でやろうよということです。どこまでできるかとか、リスクヘッジ主体に考えてしまうと尻込みしちゃいますけど。
――迫真なわけですね(笑)。
山口 迫真ですよ!(笑)。世間は暗いムードに押し流されて、「みんなで元気よくいこうよ。ハッスルしようよ」と口では言っても、どこかやっぱり「自分だけがハッスルしても仕方がない」とも感じてる。未曽有の不景気なんていう重圧に押し潰されかかっている。たしかに我々もこの空気感の中で一歩踏み出していくというのは、非常に勇気も体力も知恵もいるんですけども、「いまハッスルしなかったら、いつハッスルするの?」っていう状況でもあるんですよね。最大のピンチは最大のチャンスなり、ではないですけど。
――つまり、このコピーはリアル・アングルなんですね。
山口 リアルです。あくまでもリアルです。
――そうすると、これまでのマニアとはイベントのあり方が違いますよね。
山口 去年なら11月に『ハッスル・マニア』をやりましたけど、やはりマニアというものはその年一年のストーリーの集大成。大晦日に行なった『ハッスル祭り2007』。こちらは文字通り「お祭り騒ぎにしよう、ドンチャン騒ぎしようじゃないの」という趣旨でやったんだけれども、結果として非常にお祭りとしては中途半端に終わった感じが自分の中ではあったんです。マニアと祭りが物理的にも近すぎた。その反省も踏まえて、今年は『ハッスル・マニア』と『ハッスル祭り』を統合して、その上で一本芯というか軸というか、テーマを決めたかったというのがありますね。
――なるほど。ちょっと話がそれますが、昨年の『ハッスル祭り2007』が中途半端に終わった感じがしたというのは、具体的にどういう部分ですか?
山口 『ハッスル祭り2007』は、“プロレス界で初の大晦日ゴールデンタイム放送”ということを打ち出そうというテレビサイドの意向もありましたし、我々もそれに乗っかったものだったんですね。
――たしかに「プロレス大会」という色が強かったですよね。
山口 でも我々が打ち出すべきものはやっぱり、いい意味でもプロレスじゃなかったんですよ。そこからして中途半端だった。いまの時代の中では、プロレスというものの定義が曖昧すぎるし。我々が世間に打ち出すのは、約5年間培ってきたファイティング・オペラ、つまりは「闘いの作品」という部分。そこを自信を持って打ち出したい。「作品」というと高尚すぎる表現だけど、要はハッスルを見た人が喜んだり、怒ったり、悲しんだり、笑ったりしながら、楽しんでくれればいいなぁと思うんです。だから今年は、プロレスという概念に一切とらわれず、さらにそこにライブでも番組でも通用する一本のテーマを持って世の中に打ち出したいという気持ちが強いですね。これまでも、ハッスルというのは一大会一大会すべてにテーマを持ってやってきたつもりなんですけど、そこの部分を照れずに……大晦日のゴールデンタイムであろうが深夜帯であろうが早朝であろうが、もうこれからは臆することなく、我々の積み上げてきたことを打ち出したいですよね。
――ハッスルは普通のプロレス大会をやることが苦手だということを、一度やってみて気がついちゃったという(笑)。
山口 まあ……去年も、普通のプロレス大会ではなかったとは思いますが(笑)、僕個人の解釈ではファイティング・オペラこそが、わかりやすい現代のプロレスの定義なんですけど、業界の方々はそうは思ってくれないみたいなんで(笑)。
――でも、たしかに勝負にうって出るときに得意技を繰り出さない手はないですよね。
山口 だからさっきハッスル自体も逆境と言いましたけど、それは必ずしも経済的な部分や、時代背景的なことを言っているわけではないんです。プロレスというジャンル自体も逆境かもしれないけど、正直我々もまだ、ハッスルというものを確立しきっていないわけですよ。そういう意味でも逆境なんですよね。だから今年、2回目の大晦日ゴールデンタイムでの勝負となるわけですけど、もしかしたらこれが最後のチャンスかもしれないし、来年はないかもしれない。そういう覚悟でこれまで培ってきたもの、ハッスルの世界観を今年こそ、世間に向けてブッ放したいと思います。

「泰葉さんには闘魂を感じる」

――その“逆境”をテーマにした『ハッスル・マニア2009』に、泰葉さんの参戦が決定していますね。
山口 このテーマに沿って人選をしていったとき、この2008年の年末という時期に生でピタッとこのテーマにハマる人といったら、泰葉さんしかいませんでしたね。また、こちらの意図を汲んで舞台で勝負してもらえる素材という部分でも泰葉しかいなかった。そういう思いで出演の交渉を重ねてきました。実際にお会いしてみたら、この人はやっぱり凄ェと思いました。エネルギーというか、まず目力(めぢから)が違う。
――目力ですか。
山口 ある種イッてるというか(笑)。
――再びですが、あえて突っ込みません(笑)。
山口 でも、変な意味じゃなくて、落語の名門一家に生まれて、いわゆる一般の社会に出たこともなく、芸人さんたちに囲まれて育って歌手になった。そういう数奇な人生を送ってきた人でしょう。そんな人が今年マスコミだったり世間にあれだけバッシングを受けてきた。もっとヒネててもいいはずなのに、ミーティングしても、ストレートなエネルギーを感じるんですよ。逃げようとしない……なんていうか、闘魂っていうか(笑)。
――闘魂!!
山口 「これからも私は歌を歌っていく。新しい自分に生まれ変わる」「今のこの時代は元気がなさすぎる! 私は80年代がおもしろかった。あの80年代の熱気に負けないような時代にしたい」って、こんなこと、47歳のオバチャンが真面目に言いますか?(笑)。
――凄いですねえ(笑)。それを非公式な場で言うわけですよね?
山口 うん、非公式。僕はリアルに心を打たれましたね。「このオバチャンはちょっと違うな」って。変な意味じゃなくてね(笑)。このキャスティングが成功するか、どう転ぶのかはわからないけれども、そこに札を置いてよかったな、と思いましたね。
――リアルにどう転ぶのかわからないのが怖いんですけど(笑)。
山口 だからそこは、ファイティング・オペラとはいいつつも、ドキュメンタリーなんですよね、図らずも。交渉し始めてから、大会が終わるまで。「80年代はメチャクチャおもしろかった。みんな元気があった、熱があった。でもいまの人たちはホントに元気がない。熱がない。それはいまの若い人たちの表現方法なのかもしれないけど、私はイヤッ! 絶対にもう一回世の中を元気にしてみせたい!」って。「してみせたい」ですからね(笑)。そんな前向きな47歳がいるかっていう話ですよ。それも単なる懐古的な意味で言ってるんではなく、自分も変わろうとして、挑戦してますからね。
――これは逆にハッスル側が泰葉さんから影響を受ける部分っていうのも大きいのかもしれないですね。
山口 そう、泰葉さんはリアル・ハッスラーですから(笑)。いまのところ、泰葉さんとはいいコラボができてきていますけど、そこはやっぱりライブなので、リング上でどれだけのパフォーマンスができるのかはわかりません。肉体表現としてどこまでできるかはわからないけども、エネルギーに関してはマニアに出場するほかのハッスラーたちに負けないものがあるということだけは間違いないです。

「高田総統とムタ……従来のプロレスファンもビックリするはず」

――そしてどうしても看過できないのが、“モンスターK”川田利明&川田父vsボノちゃん&グレート・ムタというメインカードについてなんですが。
山口 いや、メインカードなんで、看過されたら困りますよ(笑)。
――グレート・ムタというプロレス界のビッグゲストが参戦するというのは想定の範囲内と言えると思うんですが、なんといってもこのカードの肝は川田父がラインナップされているという部分ですよね。はたしてメインがこれでいいのでしょうか?(笑)。
山口 圧倒的にいいんです!
――まあ、よくないと思っていたらマッチメイクしてないと思いますが(笑)。
山口 この一戦は「魔界の親子と川田親子が対決する」というファンタジーなんですけれども、その中に訴えかけたいことがどれだけ盛り込めるかっていうことですよね。さらに言うと、そこにどれだけサプライズが仕掛けられるか。このイベントのラストに「あ、このイベントで伝えたかったことはこういうことなんだ」っていうことが会場で観てる人やお茶の間の人たちにわかってもらえたらいいですよね。なんといっても今年前半の主役のボノちゃん。今年後半の主役のモンスターK。それに加えムタ、川田父。今年の集大成がこの対決ですから。ああ、こう繋がるのか? ハッスルってやっぱり一回も欠かせないな、というふうに思……ってくれたらいいな(笑)。
――川田父をメインハッスルに組み込んできたっていうのもハッスルらしいというか、ハッスルならやりかねないっていう感じは受けてるんです。ただ、大晦日のテレビ戦争に飛び込んでいくなかで、「え、ホントにそれやっちゃうの?」っていう当初からの印象がなかなか拭えないんですよ(笑)。
山口 「どんな逆境でも人はハッスルできる!!」っていうテーマを世間に届かせようとした場合、遠心力の部分では泰葉さんで勝負。あとは求心力なんですよ。このカードが求心力抜群とは言わないけど、ハッスルを初めて観るという人をハッスルの世界観に引き込むには、ハッスルそのものを見せるのが一番いいわけですよ。それで、今年の集大成を見せようってなったときに決まったのがこのカード。これはどこに出しても恥ずかしくないカードですよ。
――つまり、2008年のハッスルの集大成を表現するうえで川田父は欠かせないだろうっていう判断なわけですね?
山口 まあ、本当に川田父が欠かせないかどうかはここでは言明を避けますけども(笑)、高田総統がなにか仕掛けるんじゃないですか。僕が掴んでる裏情報では……。
――待ってました!
山口 その総統の仕掛けがムタと絡んだら、従来のプロレスファンでもビックリするようなシーンというか絵が見れるはずです。ハッスルから見始めてるファンでも驚愕の絵が見れますよ。いずれにしろ今年の集大成を大晦日に全国に向けて見せられるっていうのは大きなチャンスだし、そのチャンスをものにしたいですよね。この一戦で“ザッツ・ハッスル”を見せたい。そこは泰葉さんとはちょっと別の角度でね。だけど、番組内でも会場の中でも、じつはメインを一番見せたいんです。この一戦に散りばめられてるものが今年一年……いや、これまで試行錯誤しながらハッスルが積み上げてきたものであり、泰葉さんという強力な武器との二段重ねになってますから。この二段重ねが、僕自身もどう転ぶかワクワクドキドキなんですよ。
――それだけ自信を持ってお届けできるカードということですね。それでは12・30『ハッスル・マニア2008』、楽しみにしています!

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