ハッスル通信

和泉元彌、対戦相手に鈴木健想を指名!

2005年10月18日

 2005年10月18日(火)東京・DSEにて『京楽Presents ハッスル・マニア2005』の記者会見が行われ、今大会でプロレスデビューを果たす和泉流二十世宗家・和泉元彌が草間GM同席の元、改めてプロレスデビューにかける思いを語った。さらに草間GMが当初予定していた大物芸能人との対戦を蹴ったという和泉は、あの大物日本人レスラーへの対戦を表明した。

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 衝撃のハッスル参戦表明から6日、再び公の場に姿を現した和泉流二十世宗家・和泉元彌。この日も黒いスーツに髪を後ろで束ねたスタイルで、多くのマスコミを前にしてもしゃんと胸を張り、緊張の素振りは感じられない。会見に同席した草間GMによれば、当初の予定ではこの場で和泉のデビュー戦の対戦相手を発表するはずだった。そして“発表するはずだった”理由を草間GMが説明し始めた。
「対戦相手として、大物芸能人とのエキシビジョンマッチをイメージしたような試合で話を進めていたのですが、和泉さんの方からそれでは不満足だという声がありました。私共としましては和泉さんはプロレス未体験で、狂言という伝統文化の宝、国の宝でもありますので、和泉さんがケガをされたら大変なことになると説得を試みたのですが…」と、言葉を詰まらせる草間GM。それもそのはず、和泉は草間GMからの提案をすべて断り、結果的に対戦相手決定には至らなかったのだ。そして草間GMの発表の後、和泉がプロレスデビューにかける熱い思いを語り始めた。
「オファーを受けてから何ヶ月もの中、私は決して興味本位や遊び半分でハッスルのリングに立とうという思いはありませんでした。その中でエキシビジョン的に、お客様扱いをされて真似事だけして帰ってくるというのは、反対にプロレスというリングに命をかけているプロレスラーに方々に失礼にあたる。日本の伝統芸能を尊重していただいた中でハッスル参戦が決定したわけですから、自分もプロレスに敬意を表しプロレスを尊重して、リングに上がりたいという思いがあります」
 ハッスルというものは何でもありのリング、ハッスルには多くの“力”が存在すると主張する和泉。体力、腕力、想像力、表現力、知力だけでなく、これまで培ってきた『狂言力』を思いっきりぶつけることが出来る相手と戦いのだという。そして和泉が自ら指名した相手というのは、プロレスラー・鈴木健想だ。
「日本からエンターテインメントプロレスの本場アメリカのWWEに渡って、人気・実力ともトップクラスの経験を積んだ健想選手。しかも日本の文化を誇張した形でのファイティングスタイルということで、世界にその姿が伝わったと聞いてます」と和泉。ハッスル参戦にあたり、平成のエンターテインメントから室町のエンターテインメントに挑戦状を叩きつけられた、という想いを持っている和泉は「今度は私の方からアメリカのエンターテインメントプロレス、日本のエンターテインメントプロレスに挑戦状を叩き付けたい」と、力強い口調で健想への挑戦を表明した。
 さらに「プロレスにも200年近い歴史があり、それを見守る男と女、老若男女問わず沸かせてきたプロレスの魅力とは何なのか?そしてどういうものなのか?をしっかりと受け止めてきたい思いますので、本物のプロレスラーとの対戦を希望したい」と語った。
 和泉の言葉を受けて、今後は健想との交渉を本格的にスタートさせると草間GM。今週中にも日本に帰国するという健想との交渉はすでに水面下で進めており、「何とか実現できるよう最大限努力します」と、和泉の要求に前向きに応じることを明らかにした。
 そうなると健想参戦に大きな影響を及ぼしそうなのが鈴木健想&浩子と独占エージェント契約を結んだケイ・ササハラの存在。草間GMは無事ケイ・ササハラを相手に交渉を成功させることが出来るのか?

●記者との質疑応答

――鈴木健想選手が対戦を拒否する可能性はありませんか?

草間GM 現段階では実現できる方向だと思います。帰国時にはいい返事が聞けるでしょう。相手がレスラーじゃないということで詳細について話し合わなければなりませんが、「行けるぞ」という風に感じております。

和泉 芸能人と戦うことは、(ハッスルのリングに上がったとしても)あくまでプロレスのリングではなくなるじゃないですか。新しいチャレンジ、新しい何かを生み出そうという気持ちでプロレスのリングに上がるわけなので、自分とは違った本物のプロレスが出来る選手と戦うことで、プロレスに触れることが出来るでしょう。プロレスと狂言の化学反応が起きるのか? そして何を持って帰ることが出来るのか? 狂言師、表現者としての和泉元彌にプラスになる活動をしていきたいですし、それがハッスルやプロレスの広がりにもなると思いますので、芸能や伝統芸の枠内でまとまってしまわない相手を選びました。

――狂言のファンの方はかなり驚いていると思います。

和泉 そうですね。直に耳に入ってきますし、自分にも後援者の方がいますから。ただし自分もおふざけで、遊び本位でプロレスに出るわけではない。皆さんが自分を思う気持ちを分かった上で、さらに自分自身が狂言を守るということを生涯続けていく人間です。遊びで狂言を使ってしまって、狂言に支障をきたすということは絶対にしてはいけないということは、小さい頃から教え込まれて体に刻み込まれているものです。なので狂言のファンの方には「和泉元彌が選んだのだから、ついていこう。見守っていこう」という気持ちで見てもらえれば。その期待がいいプレッシャーになって、最上のステージになればいいなと思います。

――奥様やお母様は何か言っていましたか?

和泉 私がオファーを受けた時と同じ反応で「えっ!?」という反応です。プロレスと狂言。どなたも想像されたこともなかったですし、一番心配されているのはケガのこと。小指の爪をちょっとはがしても扇が持てなくなる。その中でどんな戦い方をするのか? そこに一番注目しているでしょうし、やると決めた以上は舞台が変わっても支えてくれる家族や人間は、試合が終わるまでは心配が尽きないとは思います。今から毎日何千回と腕立て伏せをやったとしても腕力で健想選手には敵わないでしょう。色々な戦略を持って、皆さんに見せられる試合をしたいと思います。

――健想選手よりも勝っているというものは?

和泉 それは今はまだ言えません。お客さんにとってはお楽しみ、健想選手にとっては不安になるくらいのトレーニングをしたいなと思います。

――当日はどんなコスチュームを着ますか?

和泉 自分が生きてきた、自分の持っているアイデンティティが表現できるもの。それが決して伝統そのままにならないように、新しいコスチュームを作りたいと思います。それは是非期待して欲しい。前の席の人だけでなく、一番遠い席の人にも楽しめる、エンターテインメント性を追及したコスチュームで戦いたいと思います。

――保険はかけているんですか?

和泉 それは出場するために必要なものなので。ただし私がケガをした時にいくらのお金を払われても、自分の代わりは出来ません。

――『狂言力』とはどういうものですか?

和泉 何十kgのものを持ち上げるという力ではありません。例えば数年前に色々マスコミの方や世間の方に攻撃を受けた時でも、立っていられる。自分には守るものがあって、自分の狂言で笑ってくれるお客さんがいる、そういうものが力になって、心身ともにこの場にいることも『狂言力』だと思います。自分は狂言の家で生まれて、強い精神力やそれこそ決してめげない強い芯をはぐくんだと思うので、体力だけじゃない、それを超えたところで見せることが出来る『狂言力』。それは実際にその場にならなければ見せられないものなので、11・3のリングでこれが『狂言力』なのかなと感じて欲しいです。

――狂言を守るためにわざわざリングに上がらなくてもいいんじゃなかとも思うんですが…

和泉 狂言師はかつて本当のオールマイティだったと思います。世の中に色んなものが氾濫していない時代で、歌が歌えて、踊りが踊れて、演技が出来て、即興が出来る、総合エンターテイナーだったんです。今回の参戦でプロレスファンに狂言の魅力を伝えたい。狂言を守るとともに、今のみなさんにどれだけ狂言の魅力やかっこよさを伝える事が出来るか? そしてそういった交流ができる、プロレスという舞台のこれから何百年も続いていくという可能性を皆さんに感じて欲しいですし、そういった意味でも伝道者として頑張っていくべきだと思いますので、ケガだけでなく色んな意味でのリスクを受け止めて、今回のハッスル・マニアに向かっています。

――逆に小川選手が狂言の世界に来ることになったら受け入れますか?

和泉 それはお受けできる事です。実際に狂言の場合は稽古を積んで舞台に上がらなければいけないわけですが、狂言の流儀を守っていただければ。こちらが責任を持って指導できれば、狂言の舞台には上がれることなので。ただ、装束だけは大きいものを用意しないといけませんが(笑)

――セコンドにはお母様がつく予定はありますか?

和泉 前回もその質問が上がったので、その発想がスタッフの方の頭の中によぎってなければいいなと思います(笑)。

草間GM それは和泉さんサイドで考えていただければ。

和泉 どうしても平成10年の、私と母が並んでいるイメージが強いと思いますけど(笑)、基本的に母は裏方の人間ですから。(和泉流宗家・宗家会の)理事長でもある母が、表に出る人間ではないと思っているのであれば実現しないと思います。ただし私は狂言者として、男として、たった一人でもリングに上がるつもりです。

――“キャプテン・ハッスル”小川さんはお母様にも参戦して欲しいと言っていましたが

和泉 でしたら母がハッスル軍で、私がモンスター軍で(笑)。ただ、それはないと思っております。

――もし健想選手が「健想夫妻VS和泉元彌&元彌ママで戦おう」という条件提示が合った場合はどうしますか?

草間GM 今のところシングルマッチで考えています。和泉さんもシングルマッチで戦いたいということでしたし、あんな大きな選手と和泉さんが戦うわけですから、やっぱりシングルというものが見たいです。