ハッスル通信

アブドーラ・ザ・ブッチャー初インタビュー(前編)
「対戦相手を“生かさず殺さず”がオレの信条だ!」

2007年5月17日

 5月某日東京都内にて、5・9『ハッスル・ハウスvol.24』でインリン様の魔法のランプから降臨し、RGとシングルマッチで対戦したアブドーラ・ザ・ブッチャーにオフィシャルサイト取材班がインタビューを行いました。地獄突きと毒針エルボーのたった二発でRGをKOした、ブッチャーの強さの秘密とは!? 試合を見逃した方は、試合速報をチェック!


――まさか、ブッチャーがインリン様の魔法のランプ(インランプ)から登場してくるとは思いませんでしたよ。

 そうだろう? 俺もビックリしたよ(笑)。数ヶ月前に砂漠の中を旅していたら、いつの間にか気を失っていた。そして気付いたらランプの中に閉じ込められていたんだ。もうあんな窮屈で、暗いランプの中に入るのはウンザリだな。でも、オレのハッスル初登場にみんな驚いていただろ?

――会場はかなりエキサイティングしていましたね。いつ以来の来日になりますか?

 3カ月ぶりの来日になる。韓国のレスラーのキム・イル(大木金太郎)が亡くなったんだけど、その追悼パーティーで来日したんだ。

――日本での試合はいつ以来ですか?

 6カ月前だったかな。もうちょっと経っているかもしれないが、ちょっとわからないな。どこのリングかも覚えていない。いっぱい試合をやりすぎているからな。場所は地方のどこかだったと思う。その前にも、ゲームの宣伝のプロモーションで東京に何度か来ている。

――来日してから、コンディションはどうでしたか?

 年寄りにしてはいいと思うよ。オレの年か? 今は26歳だ。

――あははは! 全く見えないですね。

 ジョークに決まっているだろ、66歳だ。

――66歳!? 先日ハッスルに登場したタイガー・ジェット・シンは63歳でした。ブッチャーは私が生まれる前から活躍されていますけど、全く姿は変わっていませんよね。

 そうか? そう言ってもらえると嬉しいな。見た目が変わったら仕事が出来なくなるので、神様がずっと自分のことをケアしてくれている。いつまで現役を続けるかはわからないけど、それが若さを保っている秘訣だ。

――昔と比べて、パワーの衰えを感じたりしますよね。

 実際に歳をとったな、と感じたことはない。「もう歳だな」と思った瞬間に、その時点でレスラー生活は終わりだよ。

――先月の『ハッスル・ハウス vol.23』(4・19後楽園ホール)&『ハッスル22』(4・21大阪府立体育会館)には、シンが登場し、対戦相手のHGを徹底的に痛めつけています。そしてRGを流血に追い込み、リング上は血の海と化しました。

 シンの試合は見ていなかったな。オレはRGを流血に追い込んでやろうとフォークを準備していたが、レフェリーに止められてしまったよ。

――あなたと同じヒールレスラーのシン以上に対戦相手を流血に追い込んでやろうとか、そういうライバル心はありますか?

 ライバルを超えようという考えは間違っている。自分は自分のやることをやるだけだ。

――対戦相手はRGという新生ハッスル軍の一員で芸人でした。

 あいつはかなりオレのことをビビッていたな。短い試合だったけど凄く良かった。楽しかった。

――闘う前にRGの試合映像であったり、写真は見たのですか?

 そういう情報は一切なかったね。いつどこでも誰とでも闘う準備が出来ていたので一切問題ない。それがオマエでもな。

――私が相手ですか? それは無理ですよ!

 エルボーでも、フォークでもオマエをいつでも倒す準備は出来ている(ニヤリ)。

――その本気の目が怖いですね……。人生でまだやり残していることがたくさんあるので早死にだけは勘弁ですよ。

 そうか、それなら仕方ないな。今度の時までオマエの命は取っておこう。

――過去にRGみたいな芸人と闘ったことはありましたか?

 名前は覚えていないが、アントニオ猪木に似ている芸人と闘ったことはある。その彼は自分のアトランタにあるレストランに遊びに来た。そして、ジムに行って一緒にプロレスをしたんだ。RGはゲイでもあるらしいな。昔イギリス人でそういうやつがいたぜ。

――芸人はお笑いのプロでもあります。自分がシビアに闘っても、お笑いに持ち込むかもしれません。そういう不安はなかったですか?

 オレを馬鹿にするのは、そいつの勝手だ。しかし、最後にリング上で生き残っているのはオレ。それだけで十分だろ?

――笑いに関係なく、倒しにいくだけなんですね。芸人みたいな素人さんと闘うことによって、もしかしたらキャリアのあるブッチャーが殺してしまう可能性もあります。

 殺すのが目的ではない。いい感じでぶっ飛ばすのがオレの信条だ。殺してしまったら犯罪になるので殺すわけにはいかないだろう。

――生かさず殺さずの精神ですか……。

 そんな感じだ。まあ、人の情けというか、対戦相手が試合後にセックス出来るぐらいの余力は残してあげるぜ。

――それは凄い情けですね。凶器で相手が血だらけになると、よりエキサイティングしたりするのですか?

 もちろんだ。ある意味、セックスするのと同じぐらいの感覚があるね。

――聞いたところによると、自らも額を痛めつけて流血を楽しむことがあるんですよね。

 そうだ。オレは痛みが好きなんだ。

――ブッチャーは、相手を痛めつける“ドS”かと思えば、“ドM”の精神も持ち合わせる人なんですね。そんなに痛めつけたりすると自分の身が持たないような気がしますね。プロレスのキャリアはどのくらいで何戦ぐらいこなしていますか?

 もうプロレス歴は47年になる。一番印象深かった試合か? オレの奥さんにぶっとばされた時だな。

――それはリアルファイトじゃないですか(笑)。

 天龍源一郎とは何度も闘ったな。ブルーザー・ブロディー、テリーファンクにドリーファンク。ジャイアント・馬場、キム・イル。そしてジャンボ鶴田、カーロス・コロン。スタン・ハンセンにルー・テーズ……名前を挙げだしたらキリがないな。どの試合も印象深い。

――現役を退いたり、亡くなられた方ばかりですね。その中、闘いを続けているブッチャーさんは凄いですね。

 そうだ。激闘を繰り広げてきたジャイアント・馬場は亡くなったけど、自分はここにいる。まだ健在だ。

――過去には、高田総統の友人である高田延彦とも闘っています。

 やったことがあると思うけど、覚えていないな。いっぱい試合をやりすぎてるしな。イチイチ誰と試合したとかメモらないだろ?

――確かにそうです。日本のバラエティ番組にも多く出演されています。記憶に残っていることは何かありますか?

 ケーブルテレビや、自分がゲームに出たときもテレビの宣伝で出たな。

――過去にたくさんのリングに上がっていますけど、ハッスルのリングには初登場となります。今までハッスルのことはテレビで見ていたりしていましたか?

 見たことないな。

――ハッスルで闘いたい選手もいない?

 ギャラさえあれば誰とでも闘うよ。お金が第一だ。

――先ほど名前を挙げていた天龍選手は同じチームに属することになります。

 天龍はとてもいい選手だった。あいつは自分みたいに頭がおかしいよな? クレイジーだ。彼が闘うのを見たことがあるだろう? 見れば一目瞭然だ。多分プロレス界一のチョップを持っている。顔面へのキックも一番きついんじゃないか? 相手の顔面を蹴っているときに、彼は快感を感じていることだろう。

――ブッチャーは毒針エルボーや地獄突きが有名です。何か秘密はありそうですよね。

 大きな特徴がある。チョップを食らったり、エルボーを食らった相手は必ず試合が出来ないぐらいのダメージを負うことになる。ぜひお前にエルボーを食らわせたいぜ。

――え〜っ! 私ですか……。まだ仕事が残っているので勘弁です。毒針エルボー食らった感覚は想像に絶するものがありそうですね。

 そうだ。セックスでイク瞬間と同じで、エルボーを食らう前に「あ〜っ!!」となって、気付いたら意識を失っているんだ。

――そういった感覚なんですね(笑)。それだったら私も食らってみたいです(笑)。もう一つの必殺技である地獄突きは、空手を学んで身につけたものですか?

 そうだ。オレは空手のマスターであり、七段のライセンスも持っている。家にあるので見せることも出来る。

――RGを一瞬でKOに追い込んだあの強烈な地獄突きはどうやって磨いているのですか? 砂に指を突っ込んだりとか、日々の鍛錬の成果ですよね。

 今はもうやっていないが、砂だったり水だったり、木を叩いたり、そういう鍛錬を昔はやっていた。

――凶器にはフォークがよく使われますが、こだわりがありそうですね。

 いや違う。椅子やビール瓶を割って刺したりしたぜ。棒も使うし、何でも凶器にする。

――シンはサーベル、ブッチャーはフォークという印象がありますが、なぜフォークだったんですか?

 相手に穴をあけやすい武器だろ? 毎回使えば相手に4つの穴が開くことになる。こんなに便利なものはないだろう?

――手軽に穴を開けることが出来るということですね。

 そうだ。今お前の額に穴をあけてやろうか?

――私ですか! 勘弁して下さい。親にせっかくもらった体なので穴は勘弁です。ピアスも開けてないのに……。

(アブドーラ・ザ・ブッチャーインタビュー・後編に続く)